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ICTソリューション

建物とICTの融合で
実現すること

グループ長 河村 一(かわむら はじめ)
鹿島建設株式会社
ITソリューション部 企画管理グループ

【プロフィール】
情報通信工事の黎明期からITソリューション部施設ITグループにおいて、「建物とITのハーモニー」をコンセプトに、情報技術を活用して建築物の付加価値を向上させる活動に取り組んできた。
B・OA(ボア)ネットシステムの起案・開発者。
2014年4月より現職。

図版:河村 一

Q1:建物のICTソリューションを手がけるようになったきっかけは?

1998年頃から世の中のインターネット化が進み、建物に住まう人がネットワークを通じて様々な情報を入手することが当たり前になってきました。鹿島ではその頃から電気・ガス・水道のようにネットワークが建物の第4のユーティリティとなる時代を予見して、当時の情報システム部(現ITソリューション部)内にICTで建物に付加価値提案するグループを新設して活動し始めたことがきっかけです。立上げ当時は、学校や大型マンションを中心にICT利用による教育スタイルやライフスタイルの変化を建築計画と合わせて提案し、ソリューションを展開してきました。その後、鹿島の強みであるオフィス分野にも取り組み、ビル設備系ネットワークとオフィス系業務ネットワークを統合するB・OA(ボア)ネットシステム等の技術開発を行いました。

最近では、ビル設備システムがICT技術をベースにオープン化されてきていることもあり、建築とICTの距離が益々近づいています。また、建物計画段階から、省エネやBCP対策の一環としてその建物にどのようなICTを施すかがお客様の関心事であり、ICTインフラの構築だけでなく、ICT活用による建物の高機能化の提案も求められています。

このようなニーズにお応えするかたちで、鹿島では、建築、設備、ICTのスペシャリストが協業して、建物はもちろんのこと、ICTの切り口からも真にお客様のニーズを満たせるよう、建物に付帯するICTソリューションの開発に取り組んでいます。

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図版:イメージ

Q2:鹿島にICTまで任せると、どのようなメリットがありますか?

建築計画の一環としてICT工事を捉え、ワンストップでトータルコントロールできることです。この利点として建物全体の品質向上とお客様の事業計画の早期化が考えられます。

従来のように建物竣工後にお客様手配にてICT工事を行う場合ですと、配管工事と配線工事が別々の業者になる等、時間的にも費用的にも合理的なものであると言えません。最悪の場合、機器設置スペースや電気、空調容量の過不足による無理、無駄や内装の見た目に問題が出るなど、後戻り工事が発生してしまう危険性もあります。

鹿島にICTインフラ構築をお任せいただきますと、建物、設備そしてICT計画にまたがるお客様の調整事項を、鹿島が一手に引き受けコーディネートしていきます。また、引渡し前に、建物、設備、ICTを総合して、日常の利用シーンや停電、火災時などを想定した機能・性能検証を実施します。竣工後の運用保守においても、鹿島グループでは建物管理とICTの機能子会社を有しており、お客様のニーズに合わせた体制を構築してトータルにサポートできます。

最近では、移転に伴う二重投資を極力少なくしたいとか、建物完成後すぐに事業を開始したいとのニーズがあり、ICT工事をお任せいただく機会も増えてきました。「お客様本位」がモットーであり、実際にお客様から感謝のお言葉を頂くことがモチベーション向上に大きく繋がっています。

図版:イメージ

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Q3:ICTに対応した建物のトレンドは?

東日本大震災以降、社会は省エネやスマート化構想の実現に向けてICTに大きな期待を寄せています。また、ビル設備システムの監視、制御技術がインターネット技術をベースにオープン化している技術の潮流があります。このような背景から、ICTを利用して建物に住まう人の快適性や利便性と省エネを両立できるインフラを備えたビルがトレンドです。

具体的な例でお話しますと、人感センサや温度センサ等のセンサと、空調や照明などのビル設備システムが連携して我慢する省エネでなく、「賢い省エネがやりやすい機能」、「スマートデバイス等を有効活用してワークスタイル改革をやりやすい機能」、そして、「高度なセキュリティシステムで安全が確保され、人と人をつなぐコミュニケーションが安心してできる機能」、この少なくとも3つの機能を満たしていることが、先進ビルとして求められているものだと思います。

従来のビルのインフラは、建築内装工事で扱うブラインドや、空調、照明のようなビル設備、入館セキュリティ、電話、業務用のネットワーク、それぞれが独立したつくりでした。しかしながら、上記のような先進ビルでは、工事範囲や管理区分を超えた有機的かつ合理的なシステム間連携が必要であり、将来的にも建物寿命に合わせて柔軟に連携範囲を拡張できる安定したインフラが必要になります。(下図参照。赤枠のようなシステムが連携する。)

図版:イメージ

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Q4:『B・OAネットシステム』の実績はどれくらいありますか?

鹿島では、オフィスビルで初めてビル設備系(BA)とオフィス業務系(OA)のネットワークを完全統合させ、自席のパソコンによる空調・照明の操作や、会議室予約システムなど業務アプリケーションと連携してビル設備機器を制御する「B・OA(ボア)ネットシステム」を開発し、2007 年に竣工した二棟の新本社ビルで採用しました。

その後、両ビルで蓄積した運用実績データを設計部門にフィードバックすることで、データに裏付けられたネットワークの設計・施工技術を確立し、複数のプロジェクトで採用されました。

直近では計画・施工中も含め累計総数で約10棟のビルに採用され、建物用途も事務所ビルのほか生産・研究施設や空港施設など多分野で実績があります。

図版:本社ビルで稼働中の「B・OA(ボア)ネットシステム」画面

本社ビルで稼働中の「B・OA(ボア)ネットシステム」画面

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Q5:将来の目指すところは何でしょう?

我々の取り組むICTソリューションが社会に貢献し発展することを目指します。まずは鹿島が2020年の実現を掲げているZEB(Zero Energy Building)化の一翼を担うべくソリューション開発を進めています。ZEBとは、建物の運用段階でのエネルギー消費量を省エネや再生可能エネルギーの利用などにより削減し、限りなくゼロにする考え方で、ICTの観点から当社では、「B・OA(ボア)ネットシステム」に、電力デマンドレスポンスや消費電力の見える化など省エネの機能を高度化したサービス展開も含め、「B・OA Plus(ボア・プラス)」という総称で実施しています。

その一環として、2011年10月には、当社KIビル6階の1/2フロア(500m2)に、ZEB化へ向けた改修を行い、「エネルギーのリアルタイム見える化システム」を導入しました。これによって、照明や空調・コンセント等のエネルギー消費量を、自席のパソコンやタブレット端末からリアルタイムに確認可能となり、在席者の節電意識を高める環境を実現しています。

また、その翌年3月には、建物管理側における電力ピーク時の全自動節電制御を可能とする「鹿島スマート電力マネジメントシステム」を自社ビルである赤坂別館に導入し、既存建物では国内初のデマンドレスポンス自動制御を実現しました。今後はさらに、老朽化したビルの総合リニューアルや大都市を中心としたスマートコミュニティ構想に対応するためのICTソリューションの研究、開発を進めたいと思います。

フレキシビリティ、環境配慮、安全・安心といった、建物へのニーズに応えられるサービス基盤として統合ネットワークを推進し、これまでの実績データを基に裏付けされたソリューションによって、空間デザインと機能を融合した高品質な施設づくりをお手伝いしていきたいと思います。

図版:イメージ

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