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水曜会:社内講演会の記録

952022年10月12日(水)

佐々木 睦朗佐々木睦朗構造計画研究所

構造デザインの美学

コロナ禍の到来により延期となっていた佐々木先生の講演会が、2年越しに実現した。
構造デザインの系譜の中での自身の相対的立ち位置を明らかにしながら、これまでの仕事への取り組みを、エピソードを交えながら語っていただいた。

「構造家はエンジニアであると同時に作家である。」
せんだいメディアテークをはじめとする、時代を象徴する数々の建築は、建築家との協働の中で、完全な構造合理からブレイクスルーしたその先にある構造美を実現したものだ。
穏やかな語り口の中にも、エンジニアとしての強い使命感と、作家としての冒険心、そして情熱がこもる。
構造家として130余の作品を世に送り出し、大学での教鞭をとりながら、さらに国内外での講演や執筆活動に取り組むなど、精力的な活動を続けるコツは、先生は体力、気力とおっしゃるが、困難な状況をも楽しむ軽やかさが大切であるように感じられた。先生の講演にはそういった一貫性があった。

講演の冒頭、先生は吉阪隆正の「生命の綱の曼荼羅」を引用された。建築家としての一生を、どのように針を進め、縄を綯い、太くしていくのか。そのヒントを沢山与えてもらった我々部員の多くは、胸に手を当て、自身へ問いかけたはずだ。

(小林 春香│KAJIMA DESIGN)

写真:佐々木 睦朗
佐々木 睦朗
1946年
愛知県生まれ
1970年
名古屋大学大学院工学研究科修士課程修了後、
木村俊彦構造設計事務所
1980年
佐々木睦朗構造計画研究所設立
1998年
博士(工学)取得
2002年
SAPS(Sasaki and Partners)設立
2016年
法政大学名誉教授

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