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レジリエンシーの向上
巨大地震に対して備えるべき能力を正しく評価し、
対策を立案します。
2011年3月11日に発生した東日本大震災を教訓として、広域・複合・長期化という特性を持つ巨大地震に備えるべき能力を総合的に評価・検討する考え方が「レジリエンシー」です。鹿島の関係会社のERSは、いち早くこの概念を取り入れた総合的な防災力・BCMを提案します。
- レジリエンシーの概念からBCM・BCPを再定義します。
- レジリエンシー向上のポイントを示します。
レジリエンシーとBCM・BCP
レジリエンシー (Resiliency)は、心理学などで「精神的な回復力」などの意味で用いられていました。近年、ネットワーク型ビジネスの発展・サプライチェーンのグローバル化に伴い、リンクするが故の脆弱性に関する研究が主に米国で進展し、災害・事故時においても「レジリエンシー」の確保や強化がサプライチェーン・マネジメントの一つのキーワードとして認知されるようになりました。我が国でも、東日本大震災での教訓として注目され、防災、BCM等その考え方が取入れられ始めています。
災害・防災分野におけるレジリエンシー
災害・防災分野でのレジリエンシーは、災害が発生して大きく被災した後に、企業の機能が通常に戻る能力と定義されます。回復力自体と、それに掛かる時間で測定する事ができます。
回復力でみた企業のレジリエンシーの比較
例えば下の図のような事例の場合、初期の機能低下は同じであっても企業AよりもBの方がレジリエンシーは高いと評価されます。このような復旧期間の差は、主にBCMの構築や復旧体制の整備によって生じます。
機能の低下率でみた企業のレジリエンシーの比較
次に機能の低下率が異なる場合のレジリエンシーの比較です。同じ期間で機能が回復されるのであれば、当然初期の機能低下が小さい方がレジリエンシーは高いと評価されます。初期機能低下の差は、主に耐震化や代替手段の有無に依存します。
これまでのBCM・BCPとの定義比較
BCM・BCPでも、RTO(目標復旧時間)・RPO(目標復旧レベル)の目標値が示されていました。これらの組み合わせで面的に回復力を評価・表現し、最適なバランスを確保するために資源配分・対策を講じていくのが、レジリエンシーに基づくリスクマネジメントなのです。
- 回復に掛かる時間の目標値がRTO(目標復旧時間)、機能回復の目標値がRLO(目標復旧レベル)。
- 言い換えれば、RTOとRLOを達成することが、レジリエンシーの向上に繋がると考えることができる。
現状のレジリエンシー評価と改善
レジリエンシーの考えに基づき企業の防災力や復旧力を高めるためには、現状の把握が重要となります。その際には、特定の施設のみならず事業全体に係る様々な施設や機能、さらにインフラやサプライチェーンについてもウィークポイントを評価し総合的に評価することが重要となります。
レジリエンシーの向上を図るためには復旧のボトルネックとなる阻害要因を、地震リスク評価のプロセスに準拠して抽出することがまずは重要となります。対策は、初期性能低下の抑制が基本であり、次に早期復旧対応体制の整備が鍵となります。
レジリエンシー現況把握から対策までの流れ
レジリエンシーの現況把握から改善策実施までの流れを右図に示しました。可能な限り定量的な現況把握がスタートとなりますが、同時に幅広い視野が必要となります。
レジリエンシーを評価すべき三つの対象
事業遂行に必須の3項目それぞれのレジリエンシーを評価する必要があります。
3つの項目すべてに対して、
- 耐震性
- 冗長性
- 体制・準備
を評価し、それぞれの復旧曲線を作成します。
4つの復旧曲線を重ねた包括的な面積が、企業全体のレジリエンシーを示すこととなります。
このように整理・評価することで、ウィークポイントの種類や程度が一目で共有できます。
復旧曲線に基づくレジリエンシーの向上のポイント(1)
基本:耐震性・冗長性を高め、機能低下を抑える
対策の基本は、まずは初期の機能低下をあまりに大きくしないことです。初期機能があまりにも低下しすぎると、事業の機能のみならず復旧活動の機能も阻害し、つまり復旧曲線の回復速度延遅にも繋がる恐れがあるからです。
復旧曲線に基づくレジリエンシーの向上のポイント(2)
初動体制を整備し、早期応急復旧を実現
復旧段階では、なるべく早期に資源を集中投入することが結果的に全体の回復速度を高めることに繋がります。これは、機能回復が次の復帰を加速する、正のスパイラル効果が期待できるからです。