コラム

愛妃の墓廟

ムガール帝国の皇帝シャー・ジャハーンは、最愛の妻ムムターズ・マハルを溺愛していました。その愛妃に先立たれると、国中が2年間の喪に服すことを命じ、みずからも深い悲しみに沈んで、生涯、心が晴れることはなかったといいます。帝国の領土拡大や宮廷政治に意欲を燃やし、「世界の王」と名乗ったかつての面影はなく、ただ愛妃をしのび、彼女の記憶を永遠に留めるために墓廟の建設に没頭したのです。

画像:愛妃の墓廟