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CRE(Corporate Real Estate=企業不動産)戦略の考え方は,1980年代に米国で生まれました。我が国でも,2008年4月の国土交通省によるガイドラインと手引きの公開を契機に,急速に普及しています。
CRE戦略が注目されるようになった要因のひとつに,「土地神話の崩壊」が挙げられます。土地の価値が右肩上がりにあった時代,企業は不動産を持ち続けていても業績に悪影響を与えることは少なく,遊休不動産を保有し続けるケースが多々ありました。ところが,景況に応じ土地の価値が大きく変動するようになった現在,経営に貢献しない不動産はリスク資産とみなされるようになりました。
「企業経営の透明化」への動きも重要です。国際会計基準・減損会計といった不動産価値の変動が財務状態に反映される仕組みや,コーポレートガバナンスの追求による企業の情報公開を促す規制も強化されています。我が国の民間企業が所有する約490兆円に上る不動産についても,他の経営資源と同じく,ステークホルダーに説明可能な最適な活用形態が求められるようになりました。
また,不動産取得を目的として外部から仕掛けられたM&Aのように,不動産保有は経営を脅かす要因にもなり得ます。自社が保有する不動産の価値を的確に把握し,戦略的に活用することが企業経営にとって大変重要なのです。
CRE戦略の実践は,企業が自ら保有する不動産全体を見渡した現状の把握,すなわち情報の収集と整理から始まります。建物の構造種別や築年数,敷地面積といった基本情報から,建物内の設備機器等の種類やその配置状況,改修履歴や建物の耐震性能といった詳細情報,あるいは土地建物の市場価値を推し量る周辺取引価格など,可能な限り定量的かつ全体に共通する情報を整理する事が重要です。さらに,変動する情報については経時的に更新する必要があります。
こうして一元的に整理された不動産情報と経営戦略との整合性を考慮し,企業価値全体を高めるように企業不動産を活用(売却・転用も含む)していくことがCRE戦略の実践です。
当社は,建設事業で培ったエンジニアリング力を背景に,お客様の土地・建物の情報収集・整理や評価を通じて,CRE戦略を支援するサービスを提供しています。
代表的な支援ツールとして「建物改善優先度評価システム」があります。これは,複数の建物を「機能」「劣化」「耐震」「省エネ」「LCC」「IT」の6つの視点からそれぞれ総合評価し,相対的に比較できるようにするものです。本システムの特長は,ヒアリングや図面資料等の簡易調査のみで評価が可能なことです。多大な費用と期間が必要となる詳細診断・評価の前に,複数の不動産を一次的にスクリーニング評価したいとのお客様のニーズに応えるものです。
最近は,省エネ性能・CO2排出量など「環境性能」が不動産の重要な評価視点として浮上してきました。また,平成の大合併による余剰資産や高度成長時に整備し老朽化しているインフラなど,国や地方自治体等が所有する不動産(PRE:PublicReal Estate=公的不動産)についても,その利活用戦略が求められています。当社は,評価・診断をはじめ建設・運用に至るライフサイクルの視点から,これらのニーズにも応える技術と手法の整備に取り組み続けています。
CREの視点は極めて多岐にわたります。当社は,フラットな組織から各々のエキスパートの力を結集し,お客様のCRE戦略をサポートする体制を構築しています。
CRE戦略の入り口は,経営的要請からのみではありません。例えば,それぞれの不動産の耐震性や省エネ性能を共通指標で評価したいといったニーズもCRE戦略の一環です。普段はそれぞれの組織に属するエキスパートが,部門の最先端情報に接していることが当社の最大の強みです。関係者は常に綿密な連携を図っていますので,こうしたニーズの萌芽があれば,担当者のいずれでも結構ですので是非ご一報
下さい。