20KAJIMA202405 KAJIMA彫刻コンクールは,当社の創業150周年記念事業の一環として1989年に創設以来,「彫刻・建築・空間」をテーマに隔年で開催されている。彫刻と建築空間の緊密な関わりを特徴とした国内唯一の屋内彫刻展として,回を重ねてきた。 第18回となった今回は,国内外から個性溢れる201点の模型応募作品が寄せられた。押味会長をはじめ,美術評論家・彫刻家・建築家ら5名を審査委員に迎え,昨年9月4日,8点の入選作品と36点の模型入選作品を選出。本年3月4日に行われた最終審査では,実物制作された入選作品の中から,金・銀・銅・奨励賞各1点が決定した。3月11日,当社KIビル(東京都港区)で行われた表彰式には関係者が出席し,新たな芸術作品の誕生を祝った。 引き続き本コンクールは,彫刻と建築が互いに語り合う空間の創造と新たな個性を持った作家の輩出を目指す。第18回KAJIMA彫刻コンクール テーマ:彫刻・建築・空間金賞作品名:彫刻家具(みんなの本棚)作者名:西村浩幸(ニシムラ・ヒロユキ)素材:ケヤキ【金賞受賞者コメント】雑木の肖像山の麓にある大磯のアトリエには,ケヤキ,シラカシなどの大木が並んでいる。屋根も壁も無い大空の下。雨の日や夜は仕事が出来ない。夏は暑い,冬は寒い。一日の作業が終わる頃,夕陽に照らされた作りかけの作品は,オレンジ色に輝く。都市の伐採など,捨てられる木のみを貰い受けて制作をしている。街路樹や雑木は,捻れ,腐れ,枝分かれなど,不揃いなものばかり。作品スケッチに一番適した原木を選び,その樹勢に合わせて,線を引き直す。切っては線を引き直し,そうこうしている間に自分の退屈な線が,面白くなる。屋内のアトリエでは,人物デッサンなど,象る為の鍛錬を日々心がけている。人物デッサンは,線の良し悪しが歴然とする。彫刻も同じ目線で判断する。30年以上続けたこの環境が,この作品を生み出す。審査委員酒井忠康(美術評論家)安田 侃(彫刻家)深井 隆(彫刻家)谷口吉生(建築家)藤森照信(建築史家・建築家)押味至一(当社会長)The18thKAJIMASculptureCompetition当社ホームページでは,第1回からのコンクール入賞作品を紹介しています。https://www.kajima.co.jp/csr/culture/sculpture/index.html当社KIビルアトリウムでの審査風景 入選作品の一般公開•当社KIビル・アトリウム 3月13日∼4月5日(会期終了)•あすとHall(大阪府泉大津市) 4月26日∼5月9日第18回KAJIMA彫刻コンクールの入賞作品は,下記の二次元コードを読み取ると映像でご覧いただけます。
21KAJIMA202405銀賞作品名:森の聲作者名:橋本和幸(ハシモト・カズユキ)素材:ヒノキ・スチール塗装銅賞作品名:Curlicue作者名:KarolinaKonieczny素材:紙と樹脂・メタル構造奨励賞作品名:mementomori-iris-作者名:松岡圭介(マツオカ・ケイスケ)素材:施釉陶・ステンレス入選作品名:どこに屋根を置くか作者名:里佳孝(サト・ヨシタカ)素材:木作品名:DISSONANCE作者名:神まさこ(ジン・マサコ)素材:錫・ステンレス網状・ステンレス板作品名:帷(とばり)作者名:林岳(ハヤシ・ガク)素材:御影石作品名:智恵の森作者名:林勝煌(リン・ショウコウ)素材:ステンレス12345675746312【制作意図】森のように木々で溢れた建築屋内環境下に「木」の持つ神々しさや儚さを表現した彫刻を置きたいと考えてきた。最近の科学で植物たちは会話をしていることを知り,それは以前から感じてはいたがとても感動した。昔から木を使った造形物を作ってきたシリーズの技法や形状ではあるが,森の聲(こえ)がここに集まり,木々のエネルギーがそこに集まったような形を顕在化させたカタチにしたいと考えた。木と建築と人が寄り添う空間になればと想う。