20KAJIMA202406 建設資材には鉄骨などの重量物と型枠材などの軽量物があり,軽量物を運ぶ際には「重量」のロスが生じる。また,荷下ろし後に荷台が空となる「空荷」など,非効率な状態が度々発生する。当社は,それらを解消し,効率よく積み荷を計画・連絡・調整する運送マッチングのプラットフォーム「TraMatch™」を開発し,稼働中の現場で実証を行っている。 建設資材は大型車両で現場に一括搬入するのが効率的。しかし立地条件により,小型車両での分割搬入しかできず,十分な資材置き場の確保が厳しい現場もある。特に集合住宅の工事では,設備・備品など多くの資材を各室に少量ずつ搬入する必要がある。そこで物流センターを活用した中継システムを計画し,稼働中の現場で実証を行った。各メーカーは物流センターへ大型車両で一括搬入した後,現場が資材を欲しいタイミングで小型車両によりピストン輸送する。その結果,搬入車両台数が減少し,現場での車両待機時間削減につながる。センター内での仕分けにより,現場の資材置き場不足の問題も解消できる。さらに従来通りの直接搬入と比較して,メーカーから現場への総走行距離や搬入車両台数の減少などの観点から,CO2削減効果も期待される空き車両に関する配車情報と,運びたい資材に関する現場運送情報を同じブラウザ上に表示して,資材を運ぶ人と運んでほしい人の双方の情報を共有することで,一元管理する。運ぶ人は,低積載や空荷の車両を登録し,資材を運んでほしい人が,プラットフォーム上で,表示されている積載可能な車両を選択し,運送依頼することでマッチング。これにより,低積載・空荷車両が解消され,効率的な運送が可能となる建設現場には,建設資材を運搬する車両が日々出入りし,資材が入ってきてはじめて工事が進む。しかし,慢性的に運転手不足が続く物流業では,必要なものが運べない「物流の崩壊」が危惧されている。さらに,2024年度からはじまった時間外労働の上限規制が物流業にも適用され,その影響を建設業も避けることはできない。そこで当社横浜支店ではこれらの課題に対応すべく,建設業と物流業の異業種で連携した取組みを開始。業界の垣根を越え,効率的な運送を実現する2つの取組みを紹介する。低積載を解消する取組みのイメージ空荷を解消する取組みのイメージ取組みの概要は動画でもご覧いただけます#KAJIMA#kajimaステキシェアいいね!#現場と資材と車両をつなぐ現場運送情報配車情報一元化マッチング運送マッチングプラットフォーム物流センター中継システム効率的な運送を実現するマッチングと中継システム▼

21KAJIMA202406横浜市旧市庁舎街区活用事業建設工事(横浜市中区)岡野学所長羽賀運輸商会安全推進室長兼運行管理部長大坂義一さん横浜支店建築工事管理グループ倉本太一課長代理建設現場の資材の搬出入は,圧倒的に搬入の割合が多いため,1つの現場で搬出入の車両をバランスよく合理化するには限界があります。このプラットフォームは多数の現場を横断的にマッチングしているので,資材搬入後に空荷となった車両を他現場で搬出車両として使うなど,合理的な運送が可能です。物流業も建設業同様,2024年問題,担い手不足などの課題に直面し,今後は車両を手配できない事態が増加すると想定されます。当プラットフォームを活用した運送の合理化が,建設現場の合理化にもつながると期待しています。#新たな発想で効率化へ#業界を越えた助け合い#TraMatch検索#建設業界で初 #持続可能な物流のためにモデル現場の声-1モデル現場の声-2開発担当者の声運送マッチングプラットフォーム「TraMatch」物流センター中継システム市街地などの狭隘地におけるオフィスや集合住宅工事での資材搬出入の苦労の経験から,当工事では搬出入の効率化を計画していました。内装部材をどう効率的に搬入できるか,現場外ロジスティクス※の導入を,住戸の内装工事を担当する大橋さんに相談したことが,当システム試行のきっかけです。まず,品目の選定や物量の算出,工程をもとにした搬入スケジュールの策定などを約半年かけて準備し,試行に入りました。試行の結果,現場への搬出入車両の調整が容易になり,仕分け作業が減ったことで順調に工事を進められ,搬入を担当する協力会社の方から,次回も採用してほしいとの声が上がりました。今回は1現場のみでの運用でしたが,例えば1つの倉庫を複数現場で共有するなど,より効率的な方法を検討し,改善を重ねていきます。 運送マッチングのプラットフォームは,物流の2024年問題を危惧し,4年前から対応してきました。建設資材は一つひとつ大きさ,形,重量などが違い,運送時の荷台での積み方や固縛方法も異なり,組合せに工夫が必要です。また各地から運ばれるため,合理的な経路計画は多くの情報を必要とします。効率的なマッチングを調査し,建設向けのプラットフォームを開発しました。一方で画面は簡素化して,誰でも使弁天通3丁目計画(横浜市中区)二藤部弘樹所長協力会社さんにもお聞きしました!今までは,搬入資材を必要な分だけ小分けし,時間調整して直接現場に運送していましたが,時間指定なく一括で物流センターに入れることができ,効率的でした。パナソニック建設エンジニアリング部長大橋仁さん※現場外での運搬効率化協力会社さんにもお聞きしました!お客様の配車依頼は,電話やFAXでの問合せがほとんどで,当社では,手書き管理した配車表を見て,配車の可否を判断しています。そのため,依頼する側は車両の空き状況が把握できません。当プラットフォームでは,車両の空き状況が双方一覧で分かるので,効率的です。また,新規のお客様でも当プラットフォームを活用することで,当社が鹿島さんの協力会社であるという信頼のもと,安心してご利用いただけ,さらなる依頼が増えることを期待しています。いやすいシステムを構築し,2023年度から横浜市旧市庁舎街区活用事業建設工事で試行を開始しました。今後は土木現場を含めて試行を重ね,知見を蓄積します。 物流センター中継システムは,弁天通3丁目計画がモデル現場です。当現場は,資材搬入するための停車スペースや資材を置くスペースの確保が難しい狭隘な現場で,車格や搬入の工程に余裕もないことから,効果的に大きな成果を得ました。 現在は,当現場の結果をブラッシュアップし,システマティックにできるよう検討しています。 着荷主の観点から,協力会社さんや運送会社さんが活用しやすい環境づくりを目指していきます。