KAJIMA20250522Kboard2025年度期首経営総合会議開催 4月4日,当社KIビル(東京都港区)で,2025年度期首経営総合会議が開催された。 天野社長は会議冒頭の訓示で,2024年度は4期連続で増収・増益となる見通しであることに関し,社員の日々の努力に謝意を述べるとともに,引き続き,工事入手時の特異点に関する十分な検討,施工体制の確保など,リスクへの対応の徹底を促した。 特に,「鹿島品質」の建設物を提供することが当社事業の根幹であるとした上で,「品質をいかに守るか」が最重要事項であることを再認識し,本社・支店は地道に実績を積み上げている現場へのリスペクトを常に持ち,現場を支援・応援するよう呼びかけた。 会議では,本社各部門から中期経営計画(2024∼2026)の進捗状況,今年度の経営目標と重点施策などが報告された。また,ナレッジの整備・活用状況,安全,コンプライアンスの徹底,鹿島環境ビジョン2050plusの推進などの会議の様子施策について説明があった。 このほか,「2024年度社長賞(2025年度期首表彰)」として,設計表彰・技術開発表彰・業務表彰及び,知的財産表彰の表彰式が行われ,表彰状と副賞が天野社長から授与された。2024年度社長賞プロジェクト表彰【設計表彰】東海第二発電所新規制基準対応工事の設計TheGEAR【技術開発表彰】スマート床版更新(SDR)システムAI配筋検査システム鹿島式ストレート梁の開発CFT工事スマート化「KajimaChatAI」による業務改善立体音響技術「OPSODIS」耐火性能検証法に資する耐火部材の開発エコタイト-S工法【業務表彰】避難安全検証法ルートB2(高さ判定法)の計算ツールの開発と展開ほか1件知的財産表彰業績貢献賞CCb工法山野辺慎一,曽我部直樹,玉野慶吾(技術研究所)河野哲也(土木管理本部)松村紘明(関東支店)金光嘉久(東京土木支店)功労賞閑田徹志(技術研究所)奨励賞石神大輔(北海道支店)関健吾(技術研究所)尾嶋雅也(中部支店)♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦(2025年度期首表彰)受賞者による集合写真
23KAJIMA202505将来が期待される若手・中堅層の発明者 知的財産表彰(業績貢献賞,功労賞,奨励賞)は,当社技術の一層の深化・発展に対する社員の意識向上,常に新たなアイデアを発案する社内風土の醸成促進,社業発展に寄与する創造的活動の活性化を目的として,KAJIMA版鹿島の技術とひと昨年度から社長賞として設置された知的財産表彰。そのひとつ「知的財産奨励賞」は,知的財産分野において将来が期待される若手・中堅層の発明者を表彰するもの。鹿島を支える独自技術の生みの親として,ますますの活躍が期待される受賞者とその技術にフォーカスする。優秀な技術開発や改良・工夫などを発明につなげ,知的財産としてさらに価値あるものへと昇華させたチーム・社員を称えようと設立された。「知的財産奨励賞」はそのひとつとして,知的財産の分野において将来が期待される若手・中堅層の発明者が選出され,表彰状と副賞5万円が授与される。 2025年度期首には3名の発明者が受賞の栄誉に輝いた。業務改良・改善に真摯に取り組み,同世代の模範と評される3名が発明した技術はどのようなものか。喜びの声とともに,開発経緯や注目ポイントを紐解く。Focus~2024年度(2025年度期首)社長賞「知的財産奨励賞」受賞者編~北海道支店 新幹線札樽トンネル星置JV工事事務所工事課長技術研究所土木材料グループ主任研究員中部支店イオンモール須坂新築工事事務所副所長2017年入社。札樽トンネル星置工区における自然由来重金属(ヒ素,鉛,カドミウム,セレンなど)を含有する対策土への対応として,「重金属の不溶化方法,及び,不溶化材」に該当する鹿島独自配合の材料「SIトメタルⓇ※」を用いた吸着層を提案。発注者から高い評価を受け,採用された。累計提案22件,累計出願22件。※読み:しとめたる,SI:StrongImmobilization“強い不溶化”を意味するPoint:「SIトメタル」を用いた吸着層 当社は,独自に選定した成分(酸化鉄+カルシウム+鉄粉)を特定の比率で混合し,SIトメタルという材料を開発,特許を取得した。重金属に対する非常に高い吸着効果が特長。土砂に吸着材を混合して対策土の下部に敷設する工法(吸着層工法)において,有名メーカーの材料と比較して,ヒ素に対する吸着能力は約13倍以上も高いことが確認されている。Voice:いかに新技術のメリットを感じてもらうか 自然由来重金属の中でもセレンは水に溶け出しやすい性質があるため,吸着させにくいという課題がありました。これに対し鉄粉の比率を上げることでセレンを還元させ,セレン自体の化学形態を変更することで吸着しやすい性質に変化させました。新技術を現場で採用してもらうためには,発注者などの関係者へ,いかに合理的に施工が進められるかを説明する必要がありました。現場で実証試験を何パターンも行い,生のデータ・結果を見てもらうことで,効果の違いを納得していただきました。 今回私は技術研究所から現場に赴任し,最前線で新技術の導入に携わりました。今後も,各現場が直面しているトラブルや課題に必要とされる新技術について,日頃から高くアンテナを張り,スピーディな技術開発を目指していきたいです。2010年入社。グリーンイノベーション(GI)基金事業およびCO2-SUICOMⓇ関連の特許出願に発明者として数多く携わり,共同出願先との各種調整(出願内容,スケジュール,契約など)についても積極的に関与した。筆頭発明者として携わった同氏の発明には「炭酸化養生時の質量測定結果に基づくCO2固定量の簡易評価手法−GI基金事業「CUCO」開発成果−」などがある。累計提案70件,累計出願63件。Point:自らの発明だけではなく他者の出願も積極的に支援 当社で開発したCO2-SUICOMのように,コンクリートへのCO2固定量を価値化するには,実際に固定したCO2量の評価・管理が重要となる。そこで,コンクリート試験体の質量変化に着目した簡易評価方法を検証した。 さらに,自らの発明だけではなく,若手研究員一人ひとりに合わせた知的財産面のアドバイスも積極的に行っている。Voice:現場で使える実用的な技術に CO2固定量の簡易評価手法では,コンクリートの重量変化を用います。ただし,CO2の吸収で重くなると同時に,乾燥による重量減少も進むため,ただ重さを量るだけでは不十分です。そこで,2つの試験体を用意し,片方はCO2あり,もう片方はCO2なしで養生し,その差分をとることで解決しました。通常の手法はコア採取や分析装置が必要で手間とコストがかかりますが,この研究が進めば,これらをなくせると考えています。 特許は出願してから次のアクションが1年半後,取得はさらに数年後などと,長いスパンが必要です。経験が浅い研究員はこうしたスケジュールも分からない状況ですので,理解度に応じたフォローを心がけています。実験室だけの技術ではなく,現場施工で使える実用的な技術の開発と知財化が必要だと思っています。そのためにも,知的財産部の支援には本当に感謝しています。2005年入社。「ハト小屋レスダイレクト貫通工法」の発明は,建築設備の施工合理化の観点から考案した。複数の現場での適用を経て,技術的に完成した段階で提案。初めての提案だったが,忙しい現場業務の合間を縫い,特許事務所,知的財産部と共同で,提案書の作成・修正や出願書類のチェックなどを行った。Point:既成概念にとらわれないハト小屋レス 「屋内から屋外への設備貫通部にはハト小屋※が不可欠」という既成概念を取り払い,ハト小屋が無くても雨水が浸入しない貫通ディテールを実現。ダクトや配管など設備の水平展開を屋上床下で行うことで,床貫通部は任意の位置かつ最小限のスペースで目的の機器に接続できるようにした。※建物の屋上へ配管・ダクト・配線などの設備を取り出す際に,貫通部分からの雨水浸入を防ぐ目的で設ける小屋形状の立ち上がりVoice:特許は縁のないことだと思っていた 本特許技術は,余裕をもった設備スペースが確保できるとともに,機器から最短距離で床貫通が可能なためコストダウンも図れます。短工期で施工ができ,建築と設備の区分や施工手順も明確となり工程管理が容易になるメリットもあります。初適用の現場では,前例がない工法のため,漏水のリスクを懸念する声もありましたが,竣工から8年以上が経過した建物でも,本工法に関する不具合は一切発生していません。 特許は自分に縁のないことだと思っていましたが,支店や知的財産部の大きなバックアップによってここまで至ったことは大変感慨深く,創意工夫をかたちにするための支援体制が整っている会社だと実感しました。特許取得の過程において,前例がないことを進めるためには,確固たる根拠と“改善への想い”,そして発注者や協力会社などへの真摯な説明が新たな可能性を広げる突破口になると強く感じました。石神大輔関健吾尾嶋雅也アルミカバー送風機送風機屋上室内設備ダクト設備ダクトハト小屋設備シャフト従来のハト小屋(断面)ダイレクト貫通工法(断面)ダクト編(所属部署・役職はいずれも受賞決定時)SIトメタル混合状況簡易評価手法イメージハト小屋レスダイレクト貫通工法イメージSIトメタル
KAJIMA20250524 2月14日,JCRファーマ「KSP新製剤棟建設プロジェクト」(神戸市西区)の起工式が現地で行われ,関係者が出席し,工事の安全を祈願した。 本プロジェクトは,バイオ医薬品の研究,開発,製造を自社で一貫して行うJCRファーマが,神戸サイエンスパークセンター内で稼働する原薬工場と連携し,有事におけるコロナワクチンの受託生産体制を整えることを目的に新製剤工場を建設するもの。経済産業省の「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬 4月1日,ホテルイースト21(東京都江東区)で2025年度の入社式が行われ,天野社長から新入社員代表に辞令が交付された。 天野社長は訓示の冒頭で,建設業の使命について触れ,「当社グループの競争力の源泉は“つくるプロセス”と“はぐくむプロセス”における経験や知識,サービスの提供力にある」と説明した後,当社グループの多岐にわたる事業展開を語っJCRファーマ「KSP新製剤棟建設プロジェクト」が起工2025年度入社式品製造拠点等整備事業」における補助金を用い建設され,平時には同社のバイオ医薬品の製造を行う。 本プロジェクトの設計は当社エンジニアリング事業本部が参画し,PIC/S-GMP※・BSL1・カルタヘナカテゴリー1適合の施設を構築するため,清浄度グレードの明確なゾーニングによる平面計画とした。また,当社の関係各部署がBIMを活用したフロントローディングを行うことで,図面の不整合改善,施工知見を盛り込んだ設計を行い,精度の高い図面を構築し着工を迎えた。た。最後に「当社には,多様な能力に合わせて活躍できる様々なフィールドが世界規模で用意されています。仕事への手ごたえや満足感への欲求が会社の根底を支え,会社全体のモチベーションを上げる根源であり,人生の糧となる。『先ずはやってみる。』という実践主義を大切に,職場に溶け込んでいただきたい。人生の新たなステージに立った皆さんを祝福し,これから首都直下東部地震を想定した休日BCP訓練を実施 3月8日(土),休日早朝に各エリアで起こり得る最大級の地震を想定したBCP訓練を全社一斉に実施した。本社および首都圏4支店では,都心東部の江東区を震源地とする最大震度7の地震発生を想定し行った。 今回の訓練では,地震発生後速やかに実施すべき重要業務である,「従業員および家族などの安否確認と安全確保」「災害対策本部の立上げ」「災害復旧活動拠点の設置」「通信体制の確保」「施工中現場の被害状況・保有資機材の確認」「協力会社との連携(被災状況・提供可能資機材の確認)」の習熟度を上げることを目的に,実践的な内容に取り組んだ。 このうち,「通信体制の確保」として,BCPの実行には発災後もインターネットが不可欠であることから,本社ビルに衛星インターネットサービス(スターリンク)を導入。リモートでの災害対策本部会議などを行い,十分な通信体制が確保できることを確認した。 訓練結果の報告を受けた天野社長は,初動時の通信確保の重要性を踏まえ,「東日本大震災の際,発災後は長時間,携帯電話が繋がりにくい状態で,衛星携帯電話やMCA無線が有用な連絡手段であったが,今は他の災害用無線機など代替手段が増えている。新たに導入したスターリンクなど,複数の通信手段を確保し,定期的に通信訓練を継続することが大事である」と総括した。参集要員による拠点設置訓練の様子西側外観イメージ天野社長の訓示スターリンクのアンテナ設置状況新入社員代表による答辞 新製剤工場の建設により,医薬品のグローバル展開で求められる品質基準に適合する原薬製造施の活躍を祈念します」と激励した。 今年迎えた新入社員は458名。訓示を受けて新入社員代表は,「先輩方から受け継がれてきた積極果敢な『進取の精神』を受け継ぎ,会社のますますの発展と,次の100年をつくることに尽力していきます」と答辞を述べた。JCRファーマKSP新製剤棟建設プロジェクト場所:神戸市西区/発注者:JCRファーマ/設計:当社関西支店建築設計部製造用水・廃水不活化処理,生産・物流設備:当社エンジニアリング事業本部/用途:工場規模:製剤棟・事務棟・自動倉庫棟―S造 3F 総延べ14,775m2工期:2025年2月∼2026年9月(予定)(関西支店施工)設および製剤製造施設の拡充が期待される。※医薬品査察協同スキームのガイドライン
BOOKS25KAJIMA202505 当社JVが施工を担当する成瀬ダム堤体打設工事(第1期)(秋田県雄勝郡東成瀬村)が,「令和6年度インフラDX大賞」優秀賞を受賞し,2月12日,国土交通省中央合同庁舎(東京都千代田区)で授与式が行われた。 国土交通省が主催する「インフラDX大賞」は,インフラDXに関する優れた取組みを行った団体を表彰するもの。インフラ分野において,データとデジタル技術を活用し,建設生産プロセスの高度化・効率化,国民サービスの向上などにつながる優れた実績をベストプラクティスとして横展 2月27日,熊本県玉名郡南関町の南関第二小学校の4年生が,当社技術研究所の飼育指導を受けながら育てたホタルの幼虫約20匹と餌のカワニナを,学校近くの「久重ホタルの里」に放流した。 この飼育指導には(公財)熊本県環境整備事業団と当社グループ会社の鹿島環境エンジニアリングも協力している。同町のホタル減少を懸念した地域の方々などから,産業廃棄物最終処分場「エコアく成瀬ダム堤体打設工事が「インフラDX大賞」優秀賞を受賞児童たちと育てたホタルの幼虫を放流開することを目的としている。 本工事では,「自動化施工システム『A4CSEL®』」,「ダム本体上下流面の置き型枠自動スライドリフタ」,「洪水吐部の全自動スライド型枠」の3つのDXの取組みにより,熟練技能者不足への対応や省人化,安全性の向上を実現したことなどが高く評価された。 授与式には,当社土木管理本部沼本仁志ダムグループ長と成瀬ダム堤体打設JV工事事務所松本孝矢所長(当時)の2名が出席。受賞者を代表して松本所長に表彰状が授与された。まもと」を運営する事業団と処分場内のビオトープでホタルを育てている当社技術研究所が相談を受け,2019年に同校と共同で復活を目指す企画が始まり,今年で6回目の放流となった。 今回放流された幼虫は,順調に成長すればゴールデンウィーク明けから飛び始める。この活動を通じて,児童たちが地域の自然に親しみ,自然の素晴らしさを学ぶきっかけになることが期待される。日本戦後モダニズム住宅の名作を深く知るお問合せ鹿島出版会tel:03-6264-2301 昨年,当社施工で復原・移築が完了し,一般公開が開始された土浦亀城邸にまつわる新刊および関連書をご紹介します。 近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライトに学んだ土浦亀城・信子夫妻が,帰国後に木造で実現したモダニズム住宅は,昭和初期住宅建築の代表作として名高い傑作です。 新刊『土浦亀城邸』では,竣工時と同様の姿によみがえった再生プロジェクトの全容を豊富な資料と関係者の声とともに紹介します。 『土浦亀城と白い家』は,自邸のほか箱根・強羅ホテルや上野・西郷会館などの作品の軌跡とともに,日本初の建築家夫婦でもあった二人の生涯をたどります。あわせてお読みください。表彰式の様子。「KIT×KAJIMA3DPrintingLab」の宮里所長(右)金沢城の石垣を望む位置に設置された「友禅流しのベンチ」「久重ホタルの里」の小川にホタルの幼虫を放流した授与式にて,中野洋昌国土交通大臣(右)と松本所長(当時)「A4CSEL」による堤体CSG打設 当社と金沢工業大学が3Dプリンティングで製作し,石川県金沢市内に設置したCO2-SUICOM®製ベンチ「友禅流しのベンチ」が,第47回金沢都市美文化賞を受賞した。2月19日に行われた表彰式では,同大学と当社の共同研究開発拠点「KIT×KAJIMA3DPrintingLab」の宮里心一所長(教授)に表彰盾が授与された。金沢都市美文化賞は,金沢のまちなみと調和した優れたデザインの建造物を表彰することで,市民の景観に対する関心を高め,金沢の都市景観の向上に寄与することを目的として,金沢都市美実行委員CO2-SUICOM製ベンチが「金沢都市美文化賞」を受賞会が実施している。 金沢ゆかりの「友禅流し」をイメージしたベンチは,当社らが開発したCO2で固まるコンクリート「CO2-SUICOM」を用い,当社と同大学が産学連携で共同開発を行っている「3Dプリンティング技術」で造形されたもの。金沢市の協力により2024年3月,市内の外濠公園二号地に設置された。 本賞では,「金沢城の石垣や尾山神社など周辺の歴史的環境に馴染み,革新的技術と伝統的イメージが融合された点に魅力が感じられる」と評価され,今回の受賞に至った。『土浦亀城邸』『土浦亀城邸』編集委員会安田幸一・北田明裕・長沼徹・竹葉徹/編 A4変形・192頁,3,300円(税込)『土浦亀城と白い家』田中厚子/著A5判・308頁,3,520円(税込)