14KAJIMA202509の発展とともに多彩な産業が集積した。上の写真からも,工場(海)と住居(山)が近い「職住近接」のコンパクト感がわかるのではないだろうか。 外国船が日々往来し,工場が24時間稼働するこの地は,当社四国支店発祥の地でもある。戦後間もない1948年に出張所を開設以降,当社は住友グループの発展を建設の面で長年支えてきた。 現在,四国支店所属の社員のうち,約2割が新居浜で勤務する。今回,縁もゆかりもなかった四国・新居浜で,奮闘する若手社員2人を紹介しよう。日本屈指の企業城下町「新居浜」 四国のほぼ真ん中に位置する愛媛県新居浜市。北は瀬戸内海に面し,南は標高1,500m級の四国山地が連なる人口約12万人の臨海工業都市である。1691年の別子銅山開坑以降,住友グループ企業様々なルール下で進める「工場内現場」 当社には,発注者の工場内で工事を行う「工場内現場」が,全国各地に存在する。工場内現場では,通常の建設工事と同様の安全管理はもちろんのこと,工場ごとに定められたルールを厳守することが求められる。2人が働く現場のある住友金属鉱山東予工場も例外ではない。 東予工場は別子銅山の歴史を継ぐ世界トップクラスの銅プラント。稼働する工場を当社の管理に起因したトラブルで停止させることは絶対にあってはならない。大塚勇人工事主任は言う。「工場ルールはその工場70年以上の伝統を受け継ぎ,これからも発展を支えていく。2017年入社。中部・九州支店での現場勤務を経て,2023年に四国支店へ異動。愛媛県東温市の工場新築工事を担当した後,2024年から住友金属鉱山の工事に携わる。現在は,現場所長の右腕として,現場の安全・品質・工程管理や発注者との日々の協議に加え,後輩社員の育成も担う。趣味はゴルフと海外旅行。大塚勇人おおつか・はやと/静岡県出身/工学部福祉環境工学科建築コース卒業四国支店住鉱東予工場受入建屋建設工事事務所工事主任2021年入社。東北支店での現場勤務を経て,2023年に四国支店へ異動。徳島県内の工事を担当した後,2025年から現部署に着任した。「家族や友人と一緒に,自分が携わった建物を巡ってみたい」という思いから,当社に入社。最近,「四国八十八ヵ所巡り」を始め,30番札所・善楽寺(高知県)まで訪れた。江村美玲えむら・みれい/新潟県出身/デザイン工学部建築学科卒業四国支店住鉱東予工場電池リサイクル乾式建屋建設工事事務所photo:takuyaomura高松まで1時間徳島まで1時間30分松山まで1時間高知まで1時間新居浜市
15KAJIMA202509四国発,「工場内現場」で奮闘する若き技術者file-16で仕事をしないと覚える機会がありません。そのため,まずはルールを正しく認識することから始まります。パトロール結果の共有など発注者と毎日打合せを行い,現場の安全だけではなく工場の安全にも貢献できるよう尽力しています」。大塚さんは,工場内現場は通常の現場よりルールも多く大変な面もあると本音を漏らしつつ,「毎日顔を合わせる発注者から『信頼している』と声を掛けられると,大きなやりがいを感じますね」と語ってくれた。 同工場の別現場に従事する江村美玲さんは,「現場を円滑かつ安全に進めていくために,担当工種以外の技能者とも積極的にコミュニケーションをとるよう心掛けています。同工場で長年作業する技能者は多く,その道のプロの話を聞き,自身のレベルアップも図っています」と話す。工場ルールを熟知する協力会社との良好な関係は,工場内現場をスムーズに進める上で大事な要素となる。 全国津々浦々にある工場内現場。秘密保持の観点から昨今は,従来よりスポットライトを当てにくくなりつつあるが,2人のように工場を支える社員の頑張りを,忘れてはいけない。四国はアットホームで「楽しい」 四国に縁がなかった2人は,仕事で初めてこの地に移り住んだ。江村さんは「四国や,前の赴任地だった東北にも家族や友人がいなかったため,職場の同僚や技能者とよく喋るようになりました。今では,職場の同僚とゴルフに出かけたり,新居浜は四国四県全てにアクセスが良いので,休日に趣味のドライブを楽しんだり,私生活も充実しています」と,取材班にあふれる笑顔で話す。大塚さんも「江村さんは誰と話すときにも満面の笑みで,常に周りを明るくしてくれます」と太鼓判を押す。 「四国支店は少人数なので支店勤務社員とすぐ顔馴染みになり,プライベートも含め困ったときに相談しやすい環境です。これは当支店ならではの最大の強みだと思います」と江村さん。大塚さんも「支店全体がアットホームな雰囲気でとても明るく,毎日楽しく仕事ができています!」と大きく頷いた。 「四国支店希望者,お待ちしています!」最近は休日にスイーツ店巡りをしているという大塚夫妻。まもなく待望の第一子が生まれるため,「育休を取得し子育てを楽しみながら,自分も子どもと一緒に成長していきたい」と力強い言葉を口にした「現場所長になりたい」と声を揃える2人。「いつか安心して現場を任せてもらえるように」と語る大塚さんと,「江村の現場に行きたいと思ってもらえるような存在に」と述べる江村さん。初めて訪れた地方でも当社を背負って堂々と働く2人から,今後も目が離せない江村さんは「監視員など一人作業の技能者に,率先して声掛けを行っています」と話す。写真からもわかる江村さんの満面の笑みが,技能者の心理的安全性を高め,互いに相談しやすい雰囲気を作っているphoto:takuyaomura