KAJIMA20251026Kboard「ハイパーカミオカンデ」空洞掘削完了記念式典を挙行「(仮称)精華町光台二丁目計画新築工事」が着工 7月18日,「(仮称)精華町光台二丁目計画新築工事」(京都府相楽郡精華町)の起工式が現場近くの稲植神社で行われ,事業・工事関係者が多数参列のもと,工事の安全を祈願した。 本計画は,米国のデータセンター開発・運用事業者であるCyrusOne社と,関西電力の両社の折半出資により設立した「関西電力サイラスワン」がハイパースケールデータセンター※1事業の第1号案件として開発を進めるもの。規模は,S造,地上4階,塔屋1階,延床面積3万8,777m2,設計監理を日建設計,施工を当社JVが担当する。建物は免震構造で,8MWデータホールが6基設置される予定。2024年9月から土地造成工事が開始され,この度の建設工事着工となった。2027年度中の営業開始を目指す。第1号案件の総受電容量※2は70MW,IT容量※3は48MWを計画する。 6月28日,当社が施工を進めてきた「ハイパーカミオカンデ」(岐阜県飛騨市)の空洞掘削完了記念式典が,現地にて行われた。式典に先立って行われた見学会には,発注者である東京大学関係者や,文部科学省ほか来賓など,約70名が参加。式典では東京大学・藤井輝夫総長や,押味会長が挨拶を述べた後,藤井総長から押味会長に感謝状が贈られた。 「ハイパーカミオカンデ」は,2度のノーベル物理学賞受賞につ 関西電力サイラスワンは本事業を通じ,精華町を中心としたけいはんなエリアの経済的発展や活性化,ひいては広く社会の発展に貢献していく。また同社は現在,後続案件も進めており,事業参入後10年程度で総受電容量ながる成果を上げた,カミオカンデ(1983年∼1996年),スーパーカミオカンデ(1996年∼現行)の後継となる,素粒子・ニュートリノの観測装置。素粒子物理学や宇宙の進化の謎を解明することを目的として建設されるもので,地下深くに構築される巨大な円筒形の空洞に水槽を設置し,その壁面に2万個の超高感度光センサなどが取り付けられ,純水が注入される。 当社は,観測装置へのアクセス坑道(約1,873m),アプローチ坑道(約1,177m),観測装置となる水槽を設置するための地下空洞掘削工事を担当。地下600mの深部に,直径69m,高さ94mの大空洞を構築するという過去に類を見ない※1メガクラウド事業者が大容量のデータ処理を効率的に行う,規模が極めて大きなデータセンター※2データセンターの規模を表す指標。建物全体への電力供給量※3データセンター内のIT機器稼働用に提供される電力容量を表す指標完成イメージ(南側歩道より見る)提供:東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設ハイパーカミオカンデのイメージ図関係者による記念撮影(仮称)精華町光台二丁目計画新築工事場所:京都府相楽郡精華町発注者:関西電力サイラスワンOSK1合同会社設計監理:日建設計用途:データセンター規模:S造(免震構造) 4F, PH1F 延べ38,777m2工期:2025年8月∼2027年9月(関西支店JV施工)完成イメージ(南東側より見る)特殊な工事で,人工の地下空洞としては世界最大級の規模となる。掘削工事は2020年11月に着工,約4年半をかけて,2025年7月に無事完了した。ハイパーカミオカンデの観測開始は2028年の予定。900MWの事業規模を目指し,事業開発に取り組んでいる。NIKKENSEKKEI
27KAJIMA202510JR東日本社長から感謝状「鹿島統合報告書2025」を公開南海トラフ地震「半割れ」を想定した広域連携BCP訓練を実施 当社は9月に「鹿島統合報告書2025」をホームページで公開した。本報告書は,国内外の株主・投資家,取引先,社員など,全てのステークホルダーに,鹿島グループの価値創造や成長戦略などへの理解を深めていただくとともに,建設的な対話に資するコミュニケーションツールとして制作している。 2025年度版は,価値創造の源泉である「人と技術」にフォーカスし, 当社は8月28日,南海トラフ地震「半割れ」の発生を想定した広域連携BCP訓練を実施した。 午前9時,三重県沖を震源とする南海トラフの東側(横浜・中部・関西支店の3エリア)でM8.0,最大震度7の「半割れ」地震が発生し,南海トラフの西側(四国・中国・九州支店の3エリア)に南海トラフ地震臨時情報「巨大地震警戒※1」が発表されることを想定した。 被害の大きい東側3支店を受援支店とし,連絡体制の確立を目的に通信接続訓練を実施したほか,当社が開発したリアルタイム災害情報共有システム「BCP-ComPAS®※2」を使用し,各事業所や施工中現 6月25日,当社が担当した「渋谷駅改良工事(第Ⅱ期)」(東京都渋谷区)および「信越線新潟駅付近高架化関連工事」(新潟市中央区)に対し,東日本旅客鉄道(JR東日本)の喜㔟陽一社長から感謝状が贈られた。 「渋谷駅改良工事(第Ⅱ期)」は,複数回にわたる線路切換により山手線の一面二線化を実施した工事で,狭隘かつ複雑な作業環境のなか,利用客の安全と列車の安全安定運行を最優先に置いた工最前線で働く建設現場のエンジニアや流通倉庫開発事業,研究技術開発の具体的な事例を通じて,鹿島グループの強みや特徴を説明している。また,建設事業と開発事業を軸としたビジネスモデル,事業戦略に加え,財務情報,サステナビリティ,コーポレート・ガバナンスなど,関心の高い事項を網羅的に取り上げた。 今後,冊子の発行および英語場の被災状況を確認。西側3支店は防災対策支店として,事業の継続方法を検討するとともに,後発地震の発生に備え防災対応の再確認を行った。本社に立ち上げた災害対策本部では,被害が軽微な支援4支店(関東・東京土木・東京建築・北陸)と連携し,「緊急支援物資管理システム」に入力された支援要請に基づき,被災エリアの支店に人的・物的資源の支援訓練を実施。当社で開発中の「生成AIを活用した建物の被災状況判定システム」を用い,地震による建物の被災状況を判定する訓練なども行った。 当社は今後も,発生し得る様々程管理により,円滑かつ無事故で工事を完遂した点が高く評価された。 「信越線新潟駅付近高架化関連工事」は,新潟駅付近4km区間を高架化する工事で,当社は東側約800m区間の信越線・白新線の高架化工事を担当した。住宅地に隣接した環境のもと,仮線橋りょうの架設撤去作業を安全かつ短期間で完遂し,高架化を実現。利便性向上に尽力したとして表彰された。版「KajimaIntegratedReport2025」を発行・公開する予定。な状況を想定した災害対応訓練を実施し,「事業継続力」を強化するとともに,建設会社の使命として社会全体のレジリエンス向上に貢献していく。関係者による記念撮影(当社本社ビルにて)。前列左からJR東日本喜㔟社長,JR渋谷駅JV工事加納暢彦所長,JR新潟駅笹口高架JV工事宇野博友所長(当時),天野社長。後列左から東京土木支店北郷篤技師長,吉弘東京土木支店長,木村北陸支店長,土木管理本部伊藤卓統括技師長 当社は今後も,経験と技術力を活かし安全かつ円滑な施工を通じて,社会インフラの発展に貢献していく。災害対策本部会議で総括する天野社長※1南海トラフ地震の震源域でM8.0以上の地震が発生し,続いて巨大地震が起こる可能性が高まった場合に発表される※2BCP-CommunicationandPerformanceAssistantSystem
28KAJIMA202510「令和7年度日本建設機械施工大賞」にて,4年連続の最優秀賞と優秀賞を受賞 6月19日,日本建設機械施工協会主催「令和7年度日本建設機械施工大賞」の表彰式が機械振興会館(東京都港区)で行われた。今年度は大賞部門7件,地域賞部門2件が選ばれ,当社は大賞部門において「CSGダムにおける自動ダンプトラックを用いた材料運搬システム」が最優秀賞を受賞。「覆工用高流動コンクリートを用いた全自動打設システムの開発」と「建設現場におけるマニピュレータ型鉄骨溶接ロボットの開発※」が優秀賞を受賞した。 最優秀賞の技術は,成瀬ダムで適用された建設機械の自動運転を核とした自動化施工システム「A4CSEL®」において,自動ブルドーザ,振動ローラに加え,自動ダンプトラックを導入,CSG製造プラントから運搬,敷均し,転圧までを完全自動化し,「現場の工場化」を達成したもの。CSG製造プラントから堤体上までベルトコンベアで搬送し,積込み場から荷下ろし場まで自動ダンプが最適なタイミングで運ぶ材料運搬システムと自動化施工システムを連携させ,大量高速施工や省人化,安全性向上を実現した。 1つ目の優秀賞は,山岳トンネル覆工コンクリートの全自動打設システムと高流動コンクリート技術を組み合わせた新工法。新たな装置により窮屈な姿勢での作業を排除し,締固め不要で省人化と高品質施工を実現した。2つ目の優秀賞は,溶接量が多い大型柱を対象に,全自動で溶接を行う「マニピュレータ型鉄骨溶接ロボット」の開発。溶接工が複数日掛かる大型の柱でも,ロボット設置の人工(2名×0.5日)のみで溶接が可能となった。 受賞者による記念撮影※当社・OneTeamの共同受賞2025年度「エンジニアリング功労者賞・奨励特別賞」を受賞 7月22日,エンジニアリング協会主催の2025年度「エンジニアリング功労者賞・奨励特別賞」の表彰式が第一ホテル東京(東京都港区)で行われた。この賞は,エンジニアリング産業の発展に著しく貢献したグループ・個人を表彰するもの。当社は,エンジニアリング功労者賞部門でグループ表彰を2件,エンジニアリング奨励特別賞部門を2件受賞した。中・高流動覆工コンクリートの全自動打設システムの開発チーム 山岳トンネルの最終仕上り面として構築される覆工コンクリートは,早期劣化による剥落が第三者災害に直結するため品質確保が特に重要となる。「中・高流動覆工コンクリートの全自動打設システム」は,締固め作業,配管切替え・清掃の省人化,省力化が図れるとともに,狭隘な作業環境での人力作業による品質不良リスクを回避。打設進捗のデータ化による遠隔監視,打設履歴の自動記録化,美観と表層品質の向上を可能とした。自動2ブームロックボルト施工機開発チーム 山岳トンネルの従来のロックボルト施工では,地山崩壊の危険性がある中,高所で重量物を取扱うため,技能者の安全確保と苦渋作業からの解放が課題となっていた。今回開発した世界初の自動2ブーム施工機は,キャビン内の作業員1名による操作画面ワンタッチのみで,穿孔,モルタル注入,ボルト挿入を全自動施工でき,省人化と安全性の飛躍的向上および苦渋作業の解消を実現した。本機は実規模岩盤掘削によりその有用性も確認している。森林追加除染における厚層客土吹付け工法開発チーム 福島第一原子力発電所事故により,空間線量率が高い森林は,通常の表土の堆積有機物の除去に加え,5∼15cmの表土削り取りが必要。表土除去後の覆土において,一度で5cm以上の吹付けが難しく,金属人工物の残置と作業性に課題があった。そこで,森林地盤を模擬した材料を使用し,金網を使わず機動性が高く,1回で厚層客土を吹付ける新工法を開発。工期を半分以下に短縮し,作業者の被ばく量を低減するとともに経済性も向上させた。天空熱源ヒートポンプシステム開発チーム 太陽熱,地中熱などの再エネ熱は,熱需要に対し各々単独で利用され,エネルギー密度が低い,時変動が大きいという課題がある。開発した多角的な再生可能エネルギー熱を利用する「天空熱源ヒートポンプ(SSHP®)システム」は,複数の再エネ熱源をベストミックスし,各特性を最大限活用することで,安定かつ高効率な熱利用を実現。実証試験では,汎用の電動ヒートポンプに比べエネルギー消費量を約29%,CO2排出量を約37%削減し,再エネ熱活用率約70%を達成した。チーム代表,松本修治技術研究所土木材料グループ主任研究員(右から2番目)チーム代表,青柳隆浩土木管理本部統括技師長(左から2番目)成瀬ダムの堤体全景と材料運搬システムマニピュレータ型鉄骨溶接ロボットチーム代表,田中真弓技術研究所地球環境・バイオグループ長(右から2番目)チーム担当,塩谷正樹技術研究所専任部長(中央)覆工用高流動コンクリートを用いた全自動打設システム◆第45回エンジニアリング功労者賞◆第17回エンジニアリング奨励特別賞実プロ化が期待される先駆的技術の開発(実用化された場合にエンジニアリング産業の発展に貢献が期待できるもの)【グループ表彰】エンジニアリング振興(エンジニアリング産業における技術力の向上や新分野の開拓など)【グループ表彰】環境貢献(地球環境の保護,改善や質の高い生活をもたらす持続可能な社会構築)
BOOKS29KAJIMA202510本誌連載がボリュームアップし書籍化お問合せ鹿島出版会tel:03-6264-2301 今月の新刊をご紹介します。都市と音楽の結びつきをテーマとした2022年の本誌連載「都市のリズムWalkingintherhythm」が書籍に生まれ変わります。人の手から手へレコードとして音楽が渡った時代から,瞬時に音楽が拡散するSNSが力をもつ現代まで,「音楽は移動によって生まれ,深められた」という視点で,新たに一冊の本として編み直しました。 5編の書き下ろしエッセイのほか,日本と世界の架け橋となり音楽を広めるキュレーターへのインタビュー,都市にまつわる食や住などのコラムを追加しています。旅のお供となる気軽な読み物として,また,見知らぬ土地と音楽への好奇心をひらく鍵として,多くの人の心に響く一冊です。河森氏のYouTubeチャンネルでトークイベントの映像を公開中『都市のリズム旅する音楽,人,街の物語』石橋純・伊藤嘉章/編著四六判・204頁,2,640円(税込)シグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」提供:(公社)2025年日本国際博覧会協会左から山敷氏,河森氏,当社の大野担当部長「ニューヨーク×カリブ音楽」を紹介した連載第1回の誌面。多様な人や物が交差する都市と,文化が溶け合い発展する音楽をつづります Topic 当社が大阪・関西万博(大阪市此花区夢洲)に建設した次世代型SDGs体験施設「サステナドーム(ジュニアSDGsキャンプ)」で,7月18∼27日の間,小学校高学年から中学生を対象としたイベント『KAJIMAなぞときワークショップサステナドームの怪人』が開催された。 このイベントは,地球温暖化やサステナブルな技術への理解促進を目的とした物語仕立てのワークショップで,参加者が謎解きに挑戦しながら,環境問題を楽しく学び,主体的に考える力を育む新感覚のプログラムとなっている。 イベントでは,最初に天才科学者と助手が登場。参加者が「CO2-SUICOM®」や「KTドーム工法®」といったドーム建設に用いた技術な大阪・関西万博で『KAJIMAなぞときワークショップサステナドームの怪人』が開催!どを学んでいると,突然モニターに仮面をつけた謎の怪人が映し出され,挑戦状を渡される。参加者は当社のサステナブルな技術の知識を手掛かりに,ドーム内のアイテムを利用しながら,挑戦状に書かれた謎を仲間と協力して解き明かしていくというストーリーで,親子で一緒に参加し,楽しむ姿も見られた。 7月23日には日本大学中学校(横浜市港北区)の生徒110人がイベントを楽しんだ。参加した生徒からは「二酸化炭素を吸収するコンクリートなど,環境問題に対応する最先端の技術にとても興味がわいた」「役者のアクション付きの熱演で,SDGsを楽しく学ぶことができてよかった」「万博のいい思い出になった」など,さまざまな感想が寄せられた。宇宙を語る万博イベントに当社社員が登壇 当社が実施設計と施工を担当した大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」において,トークイベント「宇宙の窓SPECIALTALKS」が7月7日に開催された。 「宇宙移住テラフォーミングについて」と題したテーマでは,同パビリオンのプロデューサーである河森正治氏,京都大学教授の山敷庸亮氏,当社イノベーション推進室宇宙担当の大野琢也担当部長が登壇し,人類の宇宙移住をテーマに討議が行われた。山敷氏からは,地球上の海洋循環とシンクロする太陽活動についての研究が紹介され,「同パビリオンでも太陽と人間の関係を感じることができた」と語った。現在,山敷氏とともに,月や火星での人工重力施設「ルナグラス」「マーズグラス」を構想する大野担当部長は,「人類が宇宙で健康に生活するためには重力が必要だ」として,人工重力の仕組みや最新の研究を紹介した。謎解きを通して環境問題や新しい建築技術を楽しく学ぶ参加型ワークショップを開催ドーム内にあるアイテムをヒントに挑戦状の謎を解いていく参加者たち (写真はすべて7月23日)