14KAJIMA202511concept大阪公立大学中百舌鳥キャンパス工学系学舎 「大阪公立大学」設立に伴う大阪府立大学・大阪市立大学の統合プロジェクトのひとつである。同大学中百舌鳥キャンパス周辺は,近代化された街並みの中に世界遺産である百舌鳥・古市古墳群の豊かな緑が連なる。この地に新工学部の受け皿として工学新棟,新センター棟,流体力学・構造材料棟の3棟が同時に整備された。工学部では学部・学科を超えて異分野との連携や,企業との共同研究などの産学官連携を積極的に推進している。 そこで,新たなキャンパスの在り方として単体の建築だけではなくキャンパス内外において,さまざまなつながりを生み出す「ナカモズテラス」を提案した。conceptキャンパスを拓く知の交流拠点古墳は段築のテラスで形成される。その古墳の地形的要素をテラスとして屋内外に展開することで,キャンパスと建築を緩やかにつなぎ,偶発的な出会いや共創を促す仕掛けである。 工学新棟は,インナー・アウターテラスをランダムに積層させた階段状空間でフロアを越えたつながりが生まれる構成とした。新センター棟は自然の丘を思わせる大階段とメザニンテラス,1階には通り抜けギャラリー,木陰のピロティなどを設け,多様な交流が生まれる構成とした。本来限られた人しか利用しない建物にこうした仕掛けを施すことで,専門分野を超えた知の広がりを誘発する。 ナカモズテラスは単なる場ではなく,人と人,学問と地域,過去と未来を結ぶ「しくみ」であり,この新しいキャンパスが未来社会を創生する文化を育み,世界へ知を発信する拠点となることを目指している。(小林啓明・石田美優・近持真寛)16ページに関連記事掲載12025年大阪府建築士会建築人賞新人賞受賞2025年関西支部照明施設奨励賞受賞日本造園学会ランドスケープ作品選集2026選定

15KAJIMA2025111:工学新棟2:新センター棟3:キャンパス全体鳥瞰4:新センター棟ナカモズテラスエリア5:工学新棟ナカモズテラスエリア6:流体力学・構造材料棟・・・小林啓明(こばやし・ひろあき)関西支店建築設計部設計主査主な作品:よみうりランド日テレらんらんホール住友電気工業伊丹研究新館CRystalLab.サンスターコミュニケーションパーク34256・・・近持真寛(ちかもち・まさひろ)関西支店建築設計部設計主査主な作品:日新アカデミー研修センターパナソニックエナジー住之江工場生産プロセス開発棟JCRI期神戸サイエンスパークセンター・石田美優(いしだ・みゆ)関西支店建築設計部設計主任主な作品:CUCO®-SUICOMドーム工学新棟ニサンザイ古墳新センター棟流体力学・構造材料棟photo:エスエス大阪支店秋田広樹