20KAJIMA202512photo:ShinjiroYamada(KajimaCareerCafébyWOMEN開催当日撮影の写真は全て)第3回KajimaCareerCafébyWOMEN多様性をチカラに,次の100年をつくる!て管理部長を経験しました。まさか自分が管理部長になるとは思っていなかったので,当時はこの辞令をピンチに感じていました。他にもピンチに直面したことは何度かありましたが,そのすべてが自分を成長させるチャンスで,どれが欠けても今の自分はなかったと管理部長を卒業する際に気付きましたね。須田 現場で働くことを夢見て入社しましたが,当時の現場は男性社員ばかりで,「女性の土木現場配属は時期尚早」と言われ,技研配属になりました。目の前の仕事に集中してモチベーションを保ってきましたが,今後のキャリアについて上司へ相談したところ,川田 先輩方はさまざまなキャリアパスをご経験ですが,今のキャリアにつながった転機を教えてください。土山 私の転機は人事異動でした。総合職に職務変更後,女性初の転居を伴う転勤で,本社人事部に異動しました。その後,北海道支店に戻り,総務グループ長を経テーマ1 キャリアと転機仕事の幅を広げるため,他部署も経験することに。それが最初の転機となった土設への異動です。設計経験がない中で橋梁の設計長となり,不安は大きかったのですが,技研で築いた人脈を活かして専門家に相談をしながら設計業務を遂行しました。この経験と実績が認められ,2年後に詳細設計を担当していた現場の所長から声をかけていただき,念願の現場勤務が実現しました。川田 最初は理想と現実のギャップを感じながらも,前向きに捉え全力で取り組むことで,キャリア形成に大きな影響を与えることが分かりました。ありがとうございました。川田知美かわだ・ともみ(事務)中部支店営業部課長(2006年入社)職務:営業企画管理業務
21KAJIMA202512テーマ2 課題とモチベーション当社は「多様性をチカラに,次の100年をつくる!」をキャッチフレーズに,DE&Iを強く推進している。4月号のDE&I特集を皮切りに,KajimaDE&I第3回目は,「KajimaCareerCafébyWOMEN」を紹介。今後さらに当社の中核を担っていく管理職の社員が今抱える仕事やキャリアへの悩みに,先輩社員4名が実体験をもとに本音でこたえてくれた。~キャリアについて先輩社員に聞く~土山淳子つちやま・じゅんこ人事部専任部長1979年入社。一般職として札幌(現:北海道)支店に配属。2000年札幌支店総務部総務課長代理に総合職登用。同年,人事部へ異動となり,事務推進室副主査。2007年札幌支店管理部総務グループ長。2009年人事部次長兼務。2011年同部署担当部長兼務。2014年同部署ダイバーシティ推進グループ長。2016年北海道支店管理部長。2021年現職。当社で女性初の総務グループ長・管理部長。須田久美子すだ・くみこ土木管理本部土木企画部人事・教育グループ専任部長1982年入社。技術研究所(以下,技研)に配属。2003年技研材料・LCEグループ上席研究員。2005年土木設計本部(以下,土設)プロジェクト設計部橋梁グループ設計長。2007年東京土木支店裏高尾JV工事事務所副所長。2014年同支店東京外環地中拡幅準備事務所所長。2017年土木管理本部土木企画部経営基盤グループ担当部長2020年現職。当社土木工事で女性初の所長。岡田良子おかだ・よしこ中鹿営造台湾日東電工高雄第4工場工事事務所統括副所長2005年中途入社。前職では現場監督を経験。名古屋(現:中部)支店に配属。2006年同支店加茂病院移転新築JV工事事務所工事担当。以降,複数の現場で工事課長代理,工事課長を経験。2015年同支店東海コンクリート三重工場工事事務所所長。以降,複数の現場で所長を経験。2025年現職。当社建築工事で女性初の所長。当日は,中鹿営造本社(台湾台北市)からオンラインで参加田中真弓たなか・まゆみ技術研究所地球環境・バイオグループグループ長1997年入社。一般職として技術研究所に配属。2012年技研岩盤・地下水グループで総合職登用。2015年同グループで主任研究員。同年,土木管理本部土木技術部課長代理。2019年東北支店福島県大熊町解体除染JV工事事務所工事課長。2020年技研地球環境・バイオグループ主任研究員。同年から現職。技研で女性初のグループ長。安形 年次や役職が上がり,現場運営を任せてもらえるようになった一方で,子育てとの両立に悩むことが増えてきました。先輩方が直面された壁や,それを乗り越えられた方法をぜひ伺いたいです。田中 私も仕事やワークライフバランスで悩み,周囲に助けられた経験があります。グループ長になった当時,専門外の分野も管理していたので分からないことが多く,一人でチームを引っ張ることができないもどかしさを感じていましたが,悩んでいても仕方ないと,現状を受け入れるようにしました。その結果,周囲と対話することで新しい価値を生み出せるようになり,今ではメンバーと進めてきた取組みの成果が形となり始めています。また,私は産休と育休をそれぞれ2回取得していますが,育児との両立では,限られた時間の中で効率化を図り,会社では情報を集め,家では頭の中で考えを整理していました。不安はありましたが,夫が私安形早織あがた・さおり(土木)東京土木支店京急品川1工区JV工事事務所工事課長代理(2011年入社)職務:施工管理先輩社員column 開催の背景2024年度に実施した「DE&I推進のためのアンケート」において,男性社員と比べて,女性社員の多くがキャリアイメージを描けずに不安を募らせていることが分かった。当社の女性管理職比率は3%に達しておらず,実績を持つ先輩女性社員の存在を知らない社員も多い。そこで,まずは先輩社員を知り,そこから改めてキャリアを考えるきっかけへとつながることを目的にこのイベントが開催された。先輩・後輩社員に加え,当日は以下2名が司会を務めた。澤田麻子さわだ・あさこ人事部ダイバーシティ推進グループ課長(開催当時)丹野瑛里子たんの・えりこ広報室月報グループ課長代理
22KAJIMA202512多様性をチカラに,次の100年をつくる!すが,どのように対処したら良いのでしょうか。須田 バリバリ仕事をしていた頃と同じようにできない現状に直面して,自分自身を過小評価してしまう心理的傾向があります。そのような際には周囲に相談をし,自身を肯定してもらうことで前向きになれるなど,モチベーションアップにつながる行動をとるのが良いと思います。大西 思い返すと,悩みや不安を話すだけで前向きになれることが多かったです。これからは,自分自身のモチベーション維持に加え,同じような悩みを抱える後輩とも積極的に話をして,後輩のモチベーション維持にもつなげていかなければならないと感じました。大西由佳おおにし・ゆか(設備設計)建築設計本部設備設計統括グループチーフ(2007年入社)職務:病院・ホテルの設備設計支店管理部門はしっかりフォローしてくれるので大丈夫です。分からないことは一人で抱え込まず,相談する。そして相談できる人脈づくりも大事だと感じます。田中 私はグループ長になった当時,自分の視座の低さや経営層との人脈のなさに不安を覚えていました。グループを代表する者としてふさわしい言動やふるまいができなかったことを反省し,昇進した時に備え,バリバリ仕事をする女性のドラマを見て研究す眞上 私は,現場で主に物決めなどの工務を担当していますが,年次を重ねるにつれて,自身の知識不足や,プレーヤーとマネージャー両方の役割を担うことにプレッシャーと不安がより大きくなったと感じています。このような時,先輩方はどのように不安を乗り越えられてきたのでしょうか。管理職として必要なこと,心構えなどを教えてください。岡田 初めて所長となった現場は小規模現場で,プレーヤーとしても動いていました。工事を進めていくことに対する不安はそれほど大きくはないものの,所長としての未経験の業務に対する不安はありました。しかし,テーマ3-1 管理職に必要なことるなど,自分なりの方法で学んだことを覚えています(笑)。眞上 先輩方も不安を抱えていたとお伺いして,私の不安も少し和らぎました。心配するよりも,まずは今できることに集中し,そして次の役職に上がったら,どのようなスキルが必要になるのかと想像しながら業務を行っていきます。眞上結子まがみ・ゆいこ(建築)東京建築支店(仮称)日本橋本町一丁目計画新築工事事務所工事課長代理(2007年入社)職務:工務全般テーマ2 課題とモチベーションにかけてくれた「つま先だけは夢の方向へ」という言葉に勇気付けられました。その言葉を胸に,キャリアを諦めなかったことが今の自分につながっています。大西 貴重なお話をありがとうございます。私も現在,仕事と育児を両立していますが,働く時間が制約され,仕事の流れについていけない焦りや悔しさを感じています。環境や周囲の理解が進んでいるのに反して,自身のモチベーションを保つことが難しいので
23KAJIMA202512テーマ3-2 管理職になって見える景色柿元 課長となり,責任の大きさや高度な課題への対応など,日々業務に奮闘しています。先輩方が管理職になって感じた自身の成長や仕事のやりがい,そして,部下を持った際,どのように育成するのが良いのかをお伺いしたいです。岡田 現場所長となり,自分の考えで現場土山 はじめから完璧を目指す必要はありません。目の前の難題から逃げず,今できることを精一杯やることが大切です。特に管理職の方には,常に経営に貢献できているかどうかを自身に問いかけてほしいです。そして,ハードルを一つひとつ乗り越え,自身が思い描く理想の会社を,皆さんの力で築いていってください。 「鹿島の管理職」としてだけではなく,一人の働く人間として何が重要なのかを考えるヒントとなりました。そして,先輩方もさまざま柿元淳子かきもと・じゅんこ(開発)開発事業本部事業課長(2012年入社)職務:賃貸オフィス事業への投資業務を運営でき,仕事がさらに面白くなり,より一層やりがいを感じるようになりました。部下には,やる気を引き出すことを意識して仕事を任せ,自分で考えて現場を動かす面白さを体感してもらうようにしています。須田 部下の育成については同感です。私は特に,仕事の一番面白いところを取り上げないように気を付けていますね。土山 数々の困難な状況を乗り越える中で課題に正面から向き合ったことで成長を感須田 与えられた仕事を主体的に考え,多くの選択肢から自ら選び取り実践し,その結果を振り返り次に活かすことで,人は成長します。チャンスが与えられた時,100%の自信がないからと諦めたりせず,どんなに小さな仕事でも自分の成長につなげていってほしいです。岡田 男性の数が圧倒的に多い建設業界では,女性として辛いことも多々ありますが,女性だから助けられていることもあります。しかし,女性ということに甘えすぎず,現場じ,仕事の面白さや達成感を得てきました。部下へは,仕事を進めやすい環境を整え,迅速な対応や情報共有,感謝の意を伝えると同時に,部下の声に耳を傾けることを心がけています。柿元 管理職になると,難題への対処と同時に,できる仕事の幅が広がったり,自分の思いを仕事に反映することができ,その分達成感も大きくなるのだと感じました。部下育成のアドバイスも念頭に置き,所属するチームの運営に役立てていきます。の一員として,やるべきことをやっていきましょう。問題にぶつかったら,一人で抱え込まずに周りに助けを求めて乗り越えていきましょう。仕事は楽しく!頑張ってください。田中 仕事もプライベートも自分の心の赴くままに選択をし,性別に関わらず,素敵だと思った人をキャリアの参考にしながら活躍していってほしいです。そして退職後も相談できるような仲間をつくり,人とのつながりを大事にして,皆さんが目指すキャリアを築いてください。後輩社員へメッセージ後輩から先輩へ第3回KajimaCareerCafébyWOMEN~キャリアについて先輩社員に聞く~な試行錯誤を繰り返して仕事を進められてきたことを知り,勇気をいただきました。日々,仕事や育児に追われ,過度な期待を持たれることへのプレッシャーもある中で不安は募るばかりですが,ピンチはチャンス。完璧ではなかったとしても貴重なチャンスだと思って諦めず,そして人とのつながりを大切にしながら自身のキャリア形成と管理職としての部下の育成にも励んでいきたいと思います。ありがとうございました。鹿島社員の皆さん KajimaCareerCafébyWOMENは,イントラネットで後日配信予定です