KAJIMA20251230Kboard「タンガロイいわき工場R&D棟建設工事」が着工「イオンモール須坂」がグランドオープン 10月3日,長野県須坂市に県内最大級の商業施設「イオンモール須坂」がグランドオープンした。当社が設計・施工を担当,約16万7,000m2の敷地に,S造,地上4階,延床面積約9万1,000m2のモールと約3,700台の駐車場を備え,シネマや大型アミューズメント施設,話題のライフスタイルファッションなど約170の専門店が出店する。 外観は,須坂市の景観に配慮したグレーおよび白を基調とするモダンなカラーリングの外装と,フードコートの吹抜けにつながるシンボリックな大屋根が特徴。館内は,豊富な樹木を配置し,木調が映える白をベースに明るく優しい配色を採用することで,心地良い空間構成としている。 9月8日,当社が設計・施工を担当する「タンガロイいわき工場R&D棟建設工事」(福島県いわき市)の安全祈願祭が行われた。 超硬工具※のパイオニア,タンガロイが進める本計画は,同工場内に分散する試験研究用設備を集約し,新たな研究開発棟を建設するもの。優秀な研究者を呼び込む魅力的な施設を目指す。 工場とは異なる研究開発拠点にふさわしいシンボル性と,工場群との調和の実現を設計コンセプトに,エントランス外壁には他施設にない外装材を使用,用途の差別化を強調するデザインを採用し 建設地は,建物の下を川が横断する特殊な条件だったが,綿密な雨水排水計画や類似施工例のノウハウを活かし課題に対応した。 日々の暮らしを豊かにし,自然のなかで人と人が出会いつながる,新たな地域の交流拠点が誕生した。た。内観はアルミ化粧パネルなどの仕上材を使用したシンプルなデザインで,各研究室内が見学可能なつくりとなっている。 隣接する工場が稼働するなかでSUZAKAノ庭縁と連続的につながるデザイン北側外観(イメージ)タンガロイいわき工場R&D棟建設工事場所:福島県いわき市発注者:タンガロイ設計:当社東北支店建築設計部用途:研究所規模:S造 2F 延べ4,111m2工期:2025年9月∼2026年10月(東北支店施工)南東側外観。手前には4つのゾーンで構成される「SUZAKAノ庭縁」が広がるの工事は,施設運営や周辺環境に影響を与えないよう,万全の対策を講じながら施工を進めていく。エントランスホール(イメージ)※超硬合金(ダイヤモンドに匹敵する硬度を持つ焼結合金)を用いた切削工具
31KAJIMA202512日建連表彰2025「第66回BCS賞」,「第6回土木賞」受賞土木賞女川原子力発電所防潮堤かさ上げ工事(宮城県牡鹿郡女川町∼石巻市/2024年3月竣工)発注者:東北電力設計者:東北電力,鹿島建設施工者:鹿島建設新桂沢ダム堤体建設工事(北海道三笠市/2024年3月竣工)発注者:国土交通省北海道開発局設計者:日本工営施工者:鹿島・岩田地崎・伊藤特定建設工事共同企業体日比谷線虎ノ門ヒルズ駅設置に伴う土木工事(東京都港区/2023年6月竣工)事業主体:都市再生機構/発注者:東京地下鉄設計者:メトロ開発施工者:鹿島・大林特定建設工事共同企業体【受賞理由】東日本大震災の最新知見をもとに岩盤の断層面での挙動や大規模地すべりの発生場所を考慮し,震災時の津波高さ約13mを大幅に上回る高さ23.1mを設定し原子炉の安全対策を徹底追求した防潮堤かさ上げ工事。高圧噴射攪拌工法による改良地盤に下杭鋼管を建て込み,鋼製遮水壁を一体化させた上杭鋼管をソケット結合させ,海抜17mの防潮堤を29mにかさ上げした。【受賞理由】堤高を11.9mかさ上げすることにより,総貯水容量を約1.6倍にしたダム再開発。厳しい気象条件から半年間に限定されたコンクリート打設に大型クレーンを適用し,越冬期間のコンクリート養生に新材料を活用。情報化施工,自動スライド型枠の採用により工事期間中も洪水調節機能と利水補給機能を維持し,豪雪極寒地における「同軸かさ上げ」を実現した。【受賞理由】東京メトロ日比谷線虎ノ門ヒルズ駅は,環状第二号線新橋・虎ノ門周辺地区の交通結節機能強化として,東京メトロ日比谷線霞ケ関駅∼神谷町駅間に新設。2015年12月に着手し,東京オリンピック・パラリンピック開催前に供用開始という短工期を遵守。周辺再開発ビルとの同時施工で,多数の関係者との連携と協力により完成した。 11月28日,日本建設業連合会が主催する日建連表彰2025の表彰式がホテルニューオータニ東京(東京都千代田区)で行われた。 建築分野を表彰する「第66回BCS賞」には応募総数80件中15件が,土木分野を表彰する「第6回土木賞」には応募総数44件中12件がそれぞれ選ばれた。 本表彰は60年以上の長きにわたり優れた建築物に授与されてきた「BCS賞」および,生活,経済を支える社会基盤である土木構造物の施工プロセスを重視する「土木賞」の二つにより,我が国の建築物の伝統と社会基盤の存在価値を顕彰し,広く後世に残すことを目的としている。 「BCS賞」は,応募年の4月末時点において供用開始後1年以上を経過した国内の建築物が対象。建築の事業企画,計画・設計,施工,環境および建築物の運用・維持管理などに関する総合評価により,建築主・設計者および施工者の相互の協力関係が選考にあたって重視される。 「土木賞」は,募集の前年末までに概ね竣工した土木分野のプロジェクト・構造物が対象。事業企画から計画・設計,施工,環境・維持管理までを視野に入れて,施工の過程で直面する課題を克服するために関係者が一丸となって取り組んだ施工プロセスが選考のポイントとなる。©TomoyukikusunoseBCS賞下瀬美術館(広島県大竹市/2023年1月竣工)建築主:丸井産業設計者:坂茂建築設計,KAP,森村設計,アースケイプ,Lumimedialab施工者:鹿島建設中外ライフサイエンスパーク横浜(横浜市戸塚区/2022年10月竣工)建築主:中外製薬設計者:日本設計施工者:鹿島建設虎ノ門ヒルズステーションタワー(東京都港区/2023年7月竣工)建築主:森ビル設計者:森ビル,OMA,久米設計施工者:鹿島建設【受賞理由】瀬戸内海の原風景と調和した美術館。水盤上の可動展示室や放射状の集成材架構など先進的な構造技術を採用した。芸術品展示の空間構成に加え,庭園や外構計画,環境設備にも優れ,芸術と建築と自然が融合している。【受賞理由】創薬研究所の拠点統合により,イノベーションの加速を目指し「人と自然」「研究とまち」が共生する最先端の研究環境を実現。まちと共存する近郊型研究所としてまちの価値を高め,施設全体がまちのように出会いときっかけの場になる,これからの研究所の在り方を示している。【受賞理由】アイコニックなファサードと都市に発信する多彩なパブリックスペースを持つ超高層建築。新駅整備と再開発事業が同時に進められた「駅まち一体」となったこれまでにないプロジェクトである。「事業性」「デザイン性」「施工技術」の全てが極めて高いレベルにあり,超高層建築技術の粋の結晶といえる。
32KAJIMA202512日本建築学会技術部門設計競技で最優秀賞を受賞「ANAホリデイ・インリゾート軽井沢」開業社外役員がシールドトンネル現場を視察 9月12日,当社グループ会社の鹿島軽井沢リゾートは「ANAホリデイ・インリゾート軽井沢」(群馬県吾妻郡長野原町)を開業した。 同ホテルは,旧プレジデントリゾート軽井沢をリニューアルし,IHGホテルズ&リゾーツにブランド変更したもので,群馬県初の大手外資系ホテルとなる。 9月3・16日の両日,当社社外役員が「横浜環状南線公田笠間トンネル工事」(横浜市栄区/当社JV施工)の現場を視察した。当社事業の理解促進を図る目的で開催し,社外取締役と社外監査役の全員が参加した。 「2025年度日本建築学会技術部門設計競技」で,当社建築設計本部の有志社員による提案が最優秀賞に選定された。 本年度の競技課題は「職人たちの腕がなる新たな施工技術とデザイン」。公共性の高い非住宅の新築または伝統建築を含む改修の 浅間山の麓,北軽井沢の大自然に広がる約227万m2の敷地にはホテル棟とドッグフレンドリー・コテージ2棟が配されており,全102室のゲストルームに,レストランやラウンジ,天然温泉大浴場,屋内プールなど,充実した館内施設が備わる。同敷地内にゴルフ場「ネイチャーヒルズ軽井沢カントリークラブ」とスキー場「軽井沢スノーパーク」を併設しており,オールシーズン楽しめる。 開業当日のセレモニーでは,来賓・ホテル関係者が多数集まり,新たなランドマークの誕生を祝った。 役員らは,シールド掘進管理室やセグメントヤードを視察後,トンネルの坑内へ移動し,光ファイバによる計測システムや最先端の大断面シールド掘進管理に関する説明を受けながら,到達間近のシールドマシン,トンネル施工状況を確認した。 現場視察後は,若手社員を交え,施工面での特色や工夫,環境・品質に対する取組みなど,多岐にわたる意見交換を実施した。建築物を対象に,伝統技術と現代技術を融合するとともに,幅広い素材・材料を使用し,職人や技能士たちの裁量により新たな展開が期待できる施工技術やデザインが求められた。 当社は「“記憶の木”高強度再生木材を用いた補強によるRC造建築の長寿命化」と題し,「大工職人の減少」「脱炭素化」「木造密集地域」「RC公共施設の老朽化」という4つの課題解決に向けた設計・コンセプトを提案した。東京都大田区に実在する築約60年の児童館の改修を例に,災害リスクから周辺の木造密集住宅地の建替えを想定し,住宅解体時の廃材を再利用した高強度再生木材の開発と大工職人が施工するRC補強構法を考案。資源循環と建物長寿命化を実現する改修システムが,高い評価を得た。工事関係者の説明を聞く社外役員当社提案のイメージ開放感あふれるラウンジ開業セレモニーでのテープカットの様子ホテル棟外観ANAホリデイ・インリゾート軽井沢公式サイト当社建築設計本部制作メンバー完成した坑内を見学
33KAJIMA202512Topic 当社グループ会社の鹿島出版会が主催する「SDレビュー2025第43回建築・環境・インテリアのドローイングと模型の入選展」が開催された。9月19∼28日にヒルサイドフォーラム(東京都渋谷区)で東京展が,10月3∼25日に京都工芸繊維大学の美術工芸資料館(京都市左京区)で京都展が行われ,合わせて過去最多の約6,000名が訪れた。東京展会期中には,鹿島出版会刊行の書籍に関するトークイベントも同会場にて開催した。 建築家・槇文彦の発案で1982年に始まった本展は,「実施を前提とする設計中もしくは施工中のもの」を条件として,建築や屋外空間,インテリア作品を広く一般から募集している。今年は200点を超える「SDレビュー2025第43回建築・環境・インテリアのドローイングと模型の入選展」開催応募作品のなかから12のプロジェクトが選出,展示された。審査員を青木淳氏,冨永祥子氏,満田衛資氏,増田信吾氏,アドバイザーを隈研吾氏が務めた。 東京展オープンに先立ち行われたレセプションには,審査員,入選者などの関係者が集った。青木氏は,SDレビューは日本の建築界におけるもっとも重要な登竜門だとし,「槇さんが言われていたように,SDレビューは実現を前提とした賞ですが,日常行っている設計と違った“夢”が詰まっている。いまみなさんが持っている夢がどういうものかを教えてもらえるところが面白い。12点の作品はどれも見応えがあり,非常に楽しく審査しました」と入選者に賛辞を贈った。東京展会場風景レセプションの様子 BOOKS「SDレビュー2025」受賞作品を誌上発表,ブルータリズムを特集お問合せ鹿島出版会tel:03-6264-2301 今月の新刊をご紹介します。建築デザイン雑誌『SD』は1965年1月に創刊,2001年からは年刊誌として毎年12月に発行しています。同誌2025年号では第1特集としてSDレビュー2025の入選12作品を紹介し,槇賞,鹿島賞,朝倉賞,SD賞の受賞作品を誌上発表します。 また,第2特集は「ブルータリズムの現在形倫理と美学のプリズム」と題し,ゲストエディターの江本弘と市川紘司の両氏に加え,多彩な専門家陣8名が集結。近年,再評価される1950年代英国に端を発する建築運動ブルータリズムの世界各地への影響やその現代的解釈,最新の動向など,いまも私たちを惹きつけるその魅力を多角的に読み解きます。最終日のフィニッシュ(提供:ツール・ド・九州2025実行委員会)制作大詰めを迎えた『SD2025』表紙デザイン案「マイナビツール・ド・九州2025」に協賛 10月10∼13日,プロサイクリストが競うサイクルロードレースの国際大会「マイナビツール・ド・九州2025」が開催された。今年で第3回を数える同大会は国際自転車競技連合(UCI)公認のサイクルロードレースで,当社はプラチナスポンサーとして初回大会から協賛している。 今年は18チーム(国内10チーム,海外8チーム),約100名の選手が参加。長崎,福岡,熊本,宮崎,大分の各県をステージに総走行距離399.53kmを駆け抜け,熱戦を繰り広げた。 当社はゴール板やコース上にロゴを掲示したほか,大会初日には長崎県佐世保市の会場に企業ブースを開設し,当社開発の立体音響スピーカー「OPSODIS1」を展示。来場者に360度の立体音響を体験してもらった。『SD2025』SDレビュー事務局/編A4変形判・128頁,2,200円(税込)昨年に続き審査員を務めた青木淳氏