20KAJIMA202602へ導入するための適合調査などを担う。現在は,次世代型地熱発電のスタートアップEavor社※1の技術「Eavor-Loop」の展開に取り組んでいる。 地熱発電は,地中の熱源をエネルギー源として取り出し,発電する仕組み。最大の特長は,天候や季節,時間に左右されず24時間安定して発電できること。特に火山大国ともいえる日本では大いなる可能性を秘めており,官民が連携し,開発が進められている。「従来型の地熱発電は,エネルギー源となる蒸気を得られる地熱貯留層が見つかる可能性は高くないなどの課題未知なる可能性を秘めた次世代型地熱発電 当社は,2024年に「鹿島環境ビジョン2050plus」を策定し,環境保全と経済活動が両立する持続可能な社会の実現に向けた取組みを推進している。その活動の中心となる環境本部では,脱炭素や資源循環,自然再興の3つの柱で環境課題への取組みに対するソリューションを生み出している。そのうち,エネルギー分野で活躍する社員の一人が鷲尾卓さん。水素の活用をはじめとするエネルギーに関わる新分野の探索や,スタートアップが持つ技術を当社があります。一方,Eavor-Loopは,地中深くの高温岩盤内に構築したループ状の井戸へ水などの液体を循環させて岩盤の熱を得る仕組みであり,必ずしも地熱貯留層を探し出す必要はありません。そのため,これまで以上に地熱発電の適用可能な範囲を広げることができます。しかし,日本の地中状況はデータが少なく複雑で未知数。この技術の幅広い展開に向けて,当技術の適合性や経済性など検討を行っています」と説明する。そのスケールの大きさとともに課題解決に向けた熱意が伝わってくる。「自国でまかなえるクリーンなエネルギーを持つこ私たちの手で持続可能な未来をつくる2017年入社。環境本部新エネルギーグループに配属。2023年まで陸上風力発電所の造成計画,輸送路調査,各種許認可に関する対応などを担当。その間,2018年より2年間,ウィンドファームつがる(東北支店施工)の建設に携わり,風車基礎工事・風車輸送据付工事の施工管理を担当。2023年から現職。趣味は,社会人から始めたアウトリガーカヌー。鷲尾卓わしお・すぐる/埼玉県出身/工学部環境創生工学専攻修了環境本部企画部技術推進グループ課長代理2023年入社。現部署・グループに配属。現場の脱炭素支援として軽油代替燃料の利用推進などを担当。また,社有林の活用検討を担い,自然共生サイトの認定取得に向けた対応や,環境体験学習プログラムの企画,実施を行う。趣味は,登山,ランニング,一眼レフカメラ。服部紘依はっとり・ひろえ/東京都出身/農学生命科学研究科生圏システム学専攻修了環境本部地球環境室施策推進グループ
21KAJIMA202602日本百名山のひとつ利尻山(北海道利尻島)の頂上にて。「登山中は辛いですが,その分登頂した時の達成感と絶景はやめられません!」。一眼レフカメラを片手に,山道に咲く草花も撮影しているより良い環境を築くため,自然と共に生きる未来を目指してfile-17とは非常に重要かつ有益であり,取り組む意義は大きいと感じています。先が読めないことが多いですが,だからこそ,やりがいも感じています。今は目の前の業務に精一杯取り組みながら,さらに多角的な視点と事業に対する目利き力や決断力を養い,周りの人を引っ張っていけるような存在になりたいです」。自然が大好き。その気持ちをカタチに 鷲尾さんの後輩の服部紘依さんは,当社の建設現場の脱炭素支援を担っている。「現場の脱炭素を実現していくには,まず実際に使用した燃料(主に軽油)の量と,それにより排出されたCO2の量を把握するところから始める必要があります。また,現在,軽油の代替燃料として,まず5%をバイオ燃料に置き換えたB5軽油を現場で広く使ってもらうための業務も行っています。軽油と同等の品質のため,抵抗感なく使用することができ,5%のCO2削減効果もあります」と,その利便性や効果を話す。「現場の脱炭素の推進には,そこで働く皆さんの協力が不可欠です。なるべく負担をかけずに取り組んでもらえるよう,支店・現場とこまめに会話をしながら,皆さんの声に寄り添いベストな形で提案することを心掛けています」。 一方,社有林活用の検討も担う服部さん。当社グループは全国に49ヵ所,約5,500haの社有林を保有し,維持・管理を行っている。その中で,自然共生サイト※2に認定された福島県の日影山山林・ボナリ山林で,カエルなどの両生類産卵調査などのモニタリングを行うほか,2025年10月には,鹿島環境ビジョン2050plusの推進や理解促進を目的に,同地にて当社社員を対象とした体験学習を実施。プログラム作りや運営を担った。「幼い頃から自然が大好きで,緑と関わりながら大きな課題を解決していくような仕事がしたいと思っていました。大学の先輩から,鹿島が山林を保有していることを教えてもらい,ここなら自然に関わる仕事ができると考え,入社しました」。入社後は,社有林の社内外での認知度向上を目指し,社有林の木材を使用した野帳※3の製作を提案した服部さん。「約2年をかけてこの企画が実を結び,ついに完成しました!」と満面の笑みで野帳を見せてくれた。そんな服部さんの憧れは鷲尾さん。「就活生向けのイベントで,風力発電の現場経験について話をされていた鷲尾さんを見た時,私もこんな風に責任のある仕事がしたいと思いました」と当時の気持ちを明かしてくれた。「将来は,色々な人に寄り添って,その想いを吸い上げ,カタチにできる実行力を持った人になりたい」と話す。最後に鷲尾さんは「服部さんは自分の意志を持った芯の強い後輩。これからの活躍に期待しています!」と,力強く激励した。 持続可能な未来に向かって,二人の挑戦はこれからも続いていく。ハワイ島で開催されるアウトリガーカヌーの大会にも出場経験のある鷲尾さん(前から2番目)。世界最大の大会で100艇以上ものカヌーが集結。「ハワイの海で漕ぐのは格別です!」。現在はお子さんとの時間を大切にするため,活動を一時休止中※1地熱技術をベースとしたカナダにあるスタートアップの※1エネルギー会社。当社は2023年,同社に出資※2民間の取組み等により生物多様性保全が図られている区域※3屋外での使用を想定した縦長で硬い表紙のついた手帳。 ※3建設現場でも活用されているphoto:takuyaomura服部さんが製作を提案した野帳。社有林(北海道尺別山林)の木材を使用し,温かみのある仕上がりにphoto:takuyaomura