16KAJIMA202603最終回 対談鹿島らしいDE&Iを探求していこう╳多様性をチカラに,次の100年をつくる!で抱える様々な課題を出し合い,具体的施策につなげていってほしいです。西澤 幹事会は土木・建築から計5名の女性社員と人事部ダイバーシティ推進グループがメンバーです。アンケートの実施・分析,現場視察やヒアリングなどを通じて,課題抽出,施策検討を行っています。土木部門では,柔軟な働き方ができる環境の現場実装を促進するため,2026年度に「(仮称)スマート現場共創室」を立ち上げる予定です。武石 良いスピード感で堅実に実行へ移していると思います。サステナブルな働き方の創出西澤 2024年8月,女性活躍推進に関する新たなKPIを打ち出しました。2028年度までに「総合職新卒女性採用比率30%」を達成し,2035年度までに「女性管理職比率10%」へと引き上げるというものです。また,「男性育児休業取得率100%(うち取得日数30日以上を50%)」を目指しています。ハブとなる委員会が活動推進の鍵西澤 武石監査役には,働き方改革や女性活躍推進の施策について,様々な助言をいただいてきました。私にとって,大変心強い存在です。今日は多様性について色々とご意見を伺い,社員の元気につなげていきたいと思います。 早速ですが,「KajimaDE&I」の活動について,どういった点を評価いただいていますでしょうか。武石 「DE&I推進委員会」を立ち上げた点が良かったと思います。社長をはじめ,しっかりと各部門のトップがコミットして現状を把握し,委員会の提言を現場におろしていく組織体制が整いました。ハブとなる機関ができると,動きが活発になります。西澤 下部組織として女性社員が多数を占める幹事会を立ち上げました。武石 以前から,女性がもっと発言できる場所を作ってほしいとお願いしてきましたが,それが実現したわけですね。皆さん,職場武石 具体的な目標数値を設定して,前に進むことが大切です。西澤 建設業は,屋外生産,拘束時間の長さなど,他の業界と比べて就業のハードルの高さを感じている女性が多いと思います。武石 難易度の高い業界だと思いますが,鹿島を希望する女性の中には,現場の面白さに魅力を感じている意欲的な方がたくさんいるはずです。AIやロボットといった現代の技術を駆使して働き方改革を進めることで,その魅力を一層高めてほしいです。男性育休取得率の目標もあり,働き方改革は女性だけでなく全社員に共通するテーマです。サステナブルな働き方の提案ができるといいですね。初期キャリア育成の重要性西澤 DE&I推進に向けた人事部アンケートで,女性社員のモチベーションについて気になる傾向が見られました。入社当初の西澤直志執行役員人事部長武石惠美子監査役

17KAJIMA202603当社は「多様性をチカラに,次の100年をつくる!」をキャッチフレーズに,DE&Iを強く推進している。本コーナーでは4回にわたり,当社のDE&Iに関する取組みを紹介してきた。最終回は,法政大学キャリアデザイン学部教授で人材多様性について研究を深める当社の武石惠美子監査役と西澤人事部長が1年の活動を振り返り,多様な人材の活用について議論した。武石惠美子たけいし・えみこ監査役法政大学キャリアデザイン学部教授1982年労働省(現厚生労働省)入省。男女雇用機会均等法や育児休業法の整備等に携わるなか,結婚,二児の出産を経験する。1992年第二子が0歳の時,女性の労働問題の研究を深めるため,ニッセイ基礎研究所に転職。2006年法政大学キャリアデザイン学部助教授,2007年同教授(現職)。人材多様化時代の働き方,キャリア開発の研究を専門とする。2023年6月より当社社外監査役。モチベーションに男女差はありませんが,30歳にかけて開きが出てきます。結婚や出産といったライフイベントを考える時期,将来のキャリアに不安が生じるからなのでしょうか。会社としてどういったフォローが必要だと思われますか。武石 この傾向は鹿島に限ったことではありません。入社から数年経つと,仕事の質や量を同期の男性と比較して,「女性は重要な仕事を任せてもらえない」「女性だから活躍できない」といった課題を感じる人が出てきます。初期キャリアの育成はとても重要です。出産・育児までのキャリアをどう上手に形成できるか,女性に合った時間軸でキャリア育成を考えてほしいです。西澤 ライフイベント前の早い時期から,多くの経験をさせてあげることが重要ということですね。武石 若い時に期待されて頑張った経験は,会社への貢献意欲を生み出します。両立しながら頑張っている女性にインタビューすると,「若い頃に素晴らしい上司に巡り合った」「お世話になった上司に恩返しがしたい」といった話をする方が多いです。西澤 我々,特に男性の上司は,独りよがりな解釈で女性社員に気を遣いすぎてしまう傾向があります。武石 もうひとつお願いしたいのが,情報発信の強化です。女性社員の活躍や会社の方針について,もっと社内外にPRしてほしいです。特に現場で働く女性は,男性と比較し閉塞感があると思います。情報ネットワークの強化が,不安の解消やモチベーション維持,会社への共感につながると思います。西澤 そうですね。女性のネットワーク構築と併せて,採用強化にも有効だと思います。自分自身の多様性を広げよう西澤 2014年度に新卒採用時の総合職女性比率目標を20%以上に設定して以降,概ねこの採用割合を維持しています。この世代が,管理職・管理職候補になってきます。武石 「女性管理職比率10%」(2025年度実績2.9%)の目標達成には,引き続き,彼女たちの活躍に期待したいですね。西澤 そうですね。彼女たちの背中を押してあげたいのですが,武石監査役はご自身column「自ら選び,納得しながら成長したい」――今の若者が求める働き方 武石監査役は,法政大学キャリアデザイン学部の教授として活躍されている。ゼミのテーマは「人材多様化時代の働き方,キャリア開発」。人材多様性を組織の価値につなげる経営に注目し,これからの個人の働き方,キャリアのあり方はどのように変わっていくのか,様々な角度から実証的(evidence-based)アプローチをもとに研究を行っている。 学生と一緒に研究活動を繰り広げる武石監査役に最近の若者の考え方について伺った。——最近の若者が求める企業とは? 「ジョブ型雇用」と「メンバーシップ型雇用」のどっち派?という質問を,毎年学生にしています。昔は安定した終身雇用を好む「メンバーシップ型」の学生が多かったのに対し,ここ10年で逆転しました。今年度の学生は7割が「ジョブ型」を選択。「その心は」と尋ねると,「企業の安定は安定ではない。自分のやりたいことができる保証があることが安定なんだ」と言うんですね。今の若者は「自分がこの会社で成長できるか,自己実現できるか」を重視して,企業を選ぶ傾向が強まっています。(武石)ゼミの学生たちと(前列左から3人目・武石監査役) 企業にとって,個人の意欲と向き合うコミュニケーションがますます求められる時代になっている。

18KAJIMA202603のキャリアプランに,迷いが生じたことはありますか。解決法があれば,是非教えてください。武石 私はキャリアデザイン学部で教授をしていますが,自分のキャリアを振り返った時,デザインしたという感覚はまるでないです。「キャリアデザイン」の対局に「キャリアドリフト」という言葉があります。「キャリアを漂流する」という意味ですが,変化の激しい今の時代,自分のキャリアを決めつけすぎると,可能性を狭めてしまうように思います。漂いながら,面白いと思えることに出合った時,そこにアンカー(碇)を下ろしてチャレンジしてみる。キャリアメイクはこの繰返しの方が,色々な経験ができて人生が豊かになるのではないでしょうか。西澤 幹事会メンバーの女性から,「人生100年時代,年齢とポストに縛られず,個々のイベントに合った時間軸でキャリアを重ねたい」という意見がありました。武石 ワークライフバランスは,両者がつり合っている必要はありません。今は育児が大切だと思ったら,そちらを頑張ればいい。みんな同じタイプの人生ではつまらないですよね。ドリフトしながら個人の中の多様性を広げていく。これが,究極,目指すキャリアプランだと思います。「私たちも共に成長できる」障がい者雇用西澤 当社の目標は,誰もが活躍できる場を創出することです。2025年度は障がい者の採用拡大にも注力しました。法定雇用率の拡大にともない,身体障がいに加え,ソーシャルファームとの連携による精神・知的障がい者の採用にも着手しました。武石 障がい者や共に働く社員,一人ひとりの状況に合った人的サポートが重要だと思います。西澤 我々受入れ側のフォローも重要であることから,「KAJIMA障がい相談室」を設置するなど,環境整備を進めています。武石 障がい者雇用に力を入れている企業に話を伺うと,「私たちも共に成長できる」とよく聞きます。「もっと自分も頑張らないといけない」という社員のモチベーションにもつながっていくようです。西澤 新しい多様性として捉え,共に学び合い,成長し合える環境を整えていきたいと思います。「進取の精神」でこれからも新たな挑戦を!西澤 最後に,今後もDE&Iの推進に取り組んでいくなかで,鹿島にどういった成長を期待されますか。武石 建設業の仕事は一人前になるまでに,経験と時間を要すると思います。流行に振り回されず,伝統のなかで培った技術力をもって,これからも業界トップであり続けてほしいです。そこに,DE&Iという新たな人材戦略がうまく融合していくと,建設業の新たなモデルになっていくのではないでしょうか。西澤 「進取の精神」で成長してきた会社ですので,柔軟性をもって対応していきたいと思います。是非,これからも応援してください。今日はありがとうございました。column心のゆとりこそ,活躍し続ける力につながる! 対談当日は,DE&I幹事会メンバーもオブザーバーとして参加した。対談終了後,武石監査役から「皆さん質問はありますか?」と声がかかり,社員たちとの意見交換が行われた。 人事部ダイバーシティ推進グループの原明里さんは,「女性は自身がステップアップしていく過程で,相当なプレッシャーを感じ,躊躇する場合があります」と打ち明けた。その問いかけに武石監査役は,「女性を意識しすぎず,自分らしく仕事に向き合うことが大切です。時に,自分の強みを発揮できるところで頑張って,足跡を残せればいいのです」と激励した。 原さんに,武石監査役のアドバイスについて,感想を聞いた。  「まだまだ,女性管理職は会社でも日本社会でもマイノリティではありますが,その代表として完璧であろうとせずに,肩の力を抜いて,周りの人の力も借りながら失敗を恐れずに,自分らしいキャリアを積み重ねる。こうした心のゆとりが,武石監査役のように活躍し続ける力につながると感じ,自分のキャリアにも前向きになれました。お話を伺い,新しい女性管理職像が見えたように思います」。武石監査役と懇談する人事部ダイバーシティ推進グループ・原明里さん

19KAJIMA202603今年も3月8日の「国際女性デー」に合わせた社内イベント「KajimaDE&IWeek」が始まった。3月2〜6日,全社員を対象に社内イントラネット上で,働き方改革や女性活躍推進をはじめ,多様性に関する様々な情報を発信していく。見どころをチェックして,是非視聴してほしい。「DE&I」を理解して,自身の働き方に活かしていこう! 「多様性をチカラに,次の100年をつくる!」をキャッチフレーズに,2025年度から新体制のもとスタートした当社のDE&I推進活動。Weekの初日は,押味社長をはじめ取締役やDE&I推進委員会委員長から,DE&Iの意義や活動内容,応援メッセージが配信される。多様性を活かした人材戦略を知ることで,モチベーション向上,働き方に関する新しい気づきにつながるかもしれない。 2日間にわたり,全国12支店からのDE&I推進情報をリレー形式でつなぐ。支店長メッセージをはじめ,DE&I理解促進のための支店独自の取組みや,様々な働き方で活躍する社員の紹介など,情報満載。スマートフォンで撮影した手作り動画も支店ごとの味が出ていて楽しめる。同期の活躍する姿を見られるかも! 知っているようで知らない会社のこと。 DE&Iの考え方や社内の取組みを全社員に浸透させるために,Weekの4日目は,2025年度の活動の振返りを中心にDE&Iを学ぶ1日となる。 西澤人事部長が当社のDE&I推進に関する今後の目標やロードマップなどを紹介し,Week最終日を締め括る。 このほかにも,今月号の「KajimaDE&I」最終回対談(16〜18ページ掲載)の模様を動画配信。また,第3回(2025年12月号)で掲載した女性管理職と先輩社員の座談会「KajimaCareerCafébyWOMEN」も4日間に分けて配信される。押味社長安田取締役DAY-13月2日(月)CheckPointトップメッセージDAY-2・33月3日(火)・4日(水)CheckPoint支店リレー動画にズーム!DE&I推進の意義について女性リーダーの皆様へ「決して,馬から降りるな」各支店からのメッセージ・取組み内容の紹介DE&Iの活動は毎月幹事会を開催し,検討・推進されている当社に入社した障がいを持つ社員が作ったチョコレート障がい者採用HPイメージ。 3月中旬リニューアル予定(制作中のため,イメージと異なる場合があります)◀座談会「KajimaCareerCafébyWOMEN」。DAY-1~4でテーマ別に紹介DAY-43月5日(木)CheckPoint鹿島のDE&I,今期の活動紹介DAY-53月6日(金)CheckPoint動画でる「KajimaDE&I」・LGBTQ(東京都「LGBTフレンドリー宣言企業」認定,セミナー開催)・鹿島たんぽぽ活動スタートから10年鹿島社員の皆さん社内イントラネットのトップページ右上「DE&I」タブをクリックすると,配信が見られます。Week終了後も視聴可能です。竹川専務(委員長)DE&I推進委員会の取組み紹介風間副社長(副委員長)多様な力を結集し,“KAJIMAASNO.1”【2025年度注目活動】・障がい者雇用・生理用品設置スタート・産・育休前/中のキャリア面談始動・DE&I関連図書貸出し開始 (本社資料センターHPにて)