04KAJIMA202608福島第一原子力発電所「次世代」に託す技と志特集123547896
05KAJIMA202608東日本大震災から15年。東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業は,事故直後の安定化や汚染水対策を経て,燃料取り出しや燃料デブリ取り出しといった新たな段階へ進んでいる。今後,数十年に及ぶ廃炉への道のりを確実に歩んでいくためには,現場で培われた技術や経験などを次の世代へとつないでいくことが不可欠である。本特集では,当社が担う廃炉作業の現在地と,次世代へ受け継がれる技と志を追った。photo:1,2,5,6,7,9,11,18(出典:東京電力ホールディングス) 3,4,8,10,12,14,16(大村拓也)11101215161718191314
06KAJIMA202608汚染水対策 汚染水は,山側から海側に流れている地下水や降雨による雨水などが建屋などに流れ込み,建屋内の放射性物質を含む水と混ざることなどで発生する。 当社は,構内から海へ流れ出る地下水を堰き止める「海側遮水壁」(2015年10月竣工)や,地下水を建屋の山側で迂回させる凍土方式の「陸側遮水壁」(2018年3月竣工)の構築など,事故直後から対応。2014年度に約540m3/日だった汚染水発生量は,2025年度には約60m3/日と9分の1にまで減少した。 日々発生する汚染水は現在,多核種除去設備(ALPS)などで浄化処理され,ALPS処理水として2023年から海洋放出されている。燃料取り出し 燃料取り出しでは放射性物質の飛散防止に慎重な作業が求められるため,建屋の損傷状況に応じ,最適な手順で進められている。 当社は,1~3号機において燃料取り出しに向けた大型カバーや燃料取扱設備用の構台の設置を担当した。その後3・4号機では,東京電力などにより,燃料取り出しが完了している。2号機では,2026年6月に着手し,2028年度の完了を目指している。1号機では,燃料取り出しに向けたガレキ撤去を当社が担当(8-9ページ参照)しており,2027~2028年度の取り出し開始に向け,作業が進む。燃料デブリ取り出し 原子炉格納容器内に溶け落ちた核燃料などが冷えて固まった燃料デブリの取り出しは,廃炉工程の中で最も難易度の高い作業とされる。放射線量が非常に高く,人が近づくことが困難であるため,遠隔操作ロボットなどを活用し,内部状況の把握や取り出し工法の検討に向けた調査が進められている。2024年11月には,2号機で試験的取り出しに成功。取り出し規模の拡大に向け,国や東京電力が連携して工法の検討を進めている。廃棄物対策 廃炉作業に伴い発生した廃棄物は,放射線量に応じて分別し,現在は構内の屋外一時保管エリアで適切に管理されている。廃棄物の減容・減量化に取り組むとともに,敷地北側では,固体廃棄物貯蔵庫第11棟(当社施工,10-11ページ参照)を含め,新たな廃棄物関連施設の整備が進められている。2028年度内までに,一部を除く全ての固体廃棄物※の屋外での保管を解消する計画である。「東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」(2019年12月27日改訂)をもとに作成廃炉への道のり2011年3月11日の東日本大震災に伴う津波で,福島第一原子力発電所は,6号機を除く1〜5号機で,原子炉の安全維持に必要な電源を喪失した。1号機と3号機の原子炉建屋(以下,建屋)では水素爆発が発生。4号機も,排気筒を共有していた3号機から水素が流入し,同様に爆発した。事故収束に向けて,国と東京電力が策定した「廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」に基づき廃炉作業が進められている。当社は事故直後から協力を続けている。陸側遮水壁。1∼4号機を取り囲むように全長1,500mを構築3号機カバー。ドーム形状にすることで,軽量化を実現(出典:東京電力ホールディングス)※水処理二次廃棄物および再利用・再使用対象を除く,全ての固体廃棄物(伐採木,ガレキ類,汚染土,使用済保護衣など)
07KAJIMA202608特集 福島第一原子力発電所「次世代」に託す技と志 2024.09※JVsubも含め,当社が担当する工事の一部を記載図版:東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所と鹿島当社担当の主な工事青字…施工中案件(その他は施工済)
08KAJIMA202608外でできることは,外でやる 大型カバーは,縦66m,横56m,高さ68m,総重量約7,900t(東京タワー約2基分)に及ぶ巨大構造物。幅13mの可動屋根を備え,放射性物質の飛散防止と雨水流入の抑制のため,建屋を丸ごと覆うように建設された。 着工当時,建屋上部には水素爆発で破損した屋根材や燃料取扱機などが残り,作業環境は極めて厳しかった。特に,建屋最上階(オペレーティングフロア)付近では最大10mSv/hと,技能者が1日に数分程度しか作業できないレベルだった。技能者は日々の線量上限だけではなく,年間の線量も定められており,上限に達すればその年度内は作業できない。大型カバー設置に携わった植松弘泰副所長(当時)は,「作業に慣れた技能者にできるだけ長い間従事してもらうことが,工事を円滑かつ安全に進めるうえで不可欠でした。被ばく線量の低減を徹底するため,遠隔化・自動化による無人施工,ブロック化による現場作業の省力化,仮設遮蔽体の設置などを行いました」と振り返る。 なかでも重視したのが,「外でできることは,外でやる」という考えだった。大型カバーの鉄骨建方は,まず約1万500ピースの鉄骨を構外ヤードで106のブロックに地組みし,作業床や手摺りなどの安全設備も先行して取り付け。その後,最大約160tのブロックを多軸運搬台車(スーパーキャリア)で構内へ運び,現場の1,250tクレーンを遠隔操作して組み立てた。また,構外ヤードでは試験施工を重ね,作業手順を事前に検証。現場での作業を最小化するため,準備段階でできることを徹底して行った。 現場での作業量と作業時間を大幅に削減したことで,大型カバー設置の安全で確実な施工につながった。これからが廃炉への本格的なスタート 植松副所長は,2021年10月に福島第一原子力発電所に初めて着任し,その後約4年間にわたり大型カバー設置に従事。2025年12月末に,都内の新たな現場へ異動した。「厳しい条件下での工事でしたが,無事に完了し,次のガレキ撤去へバトンを渡すことができました。これからが1号機における廃炉作業の本格的なスタートだと考えています。今回得られた経験や知見は,今後の廃炉作業にも必ず活かされていきます。特殊な環境での作業となりますが,オール鹿島で取り組んでいってほしいです」とエールを送った。1号機当社は,2019年10月から1号機の大型カバー設置に取り組んできた。水素爆発によりガレキが散乱した高線量環境下での工事は,2026年1月に完了。1号機は次のステップとなる「ガレキ撤去」に着手した。燃料取り出しに向け,次のステップへ挑む。1号機大型カバー設置中(2024年11月)出典:東京電力ホールディングス1号機大型カバー設置完了(2026年1月)出典:東京電力ホールディングス1号機の構外ヤード全景(2023年12月)可動屋根も構外ヤードで地組し運搬(2025年11月)スーパーキャリア運搬用架台可動屋根東京建築支店東電福島第一1号機大型カバー設置JV工事事務所植松弘泰副所長(当時)
09KAJIMA202608特集 福島第一原子力発電所「次世代」に託す技と志 ガレキ撤去ステップ図イレギュラー時こそ,経験が活きる 大型カバー設置が完了した1号機では,燃料取り出しに向け,2026年6月からガレキ撤去が始まった。燃料取り出しに先立ち,オペレーティングフロアに散乱したガレキを安全に撤去する必要があるためだ。 工事では,クレーンなどの機械を遠隔操作し,ガレキを専用容器(ベッセル)に入れて搬出する。その後,別の場所でコンテナに詰め替え,構内の保管庫へ移送する。この工事の難しさは,建屋内部の状態を完全に把握できない点にある。ガレキは複雑に折り重なり,外から見えない部分も多い。さらに建屋内部は高線量のため人は近づけず,遠隔操作するカメラで状況を確認するしかない。施工計画を担当する岡野佳志副所長は,「撮影された画像とBIM図面を組み合わせた3Dモデルを用い,機械の仕様や操作方法を1年以上前から検討してきました」と説明する。 現場では,構外ヤードにガレキの堆積状況を再現し,撤去手順やクレーンの動きを確認する試験施工を重ねてきた。しかし,「建屋内のガレキ状況を完全に再現するのには限界があります。試験施工に成功しても実際にその通りにできるとは限らない」と工事を指揮する大島芳郎副所長は話す。 こうした状況で鍵となるのは「経験」だと,2人は口を揃える。今回の撤去は2013年頃に実施した3号機と同様の方法で行われ,当時の撤去に携わった社員が今回も担当している。「図面や数字だけでは表せない現場での肌感覚が,計画や判断に活きてきます。イレギュラーな事態が発生した際に,経験者がいるのは非常に心強いです。これは他社にはない鹿島ならではの強みです」(岡野副所長)。❸天井クレーン撤去❹燃料取扱設備撤去❶北側ガレキ撤去❷屋根スラブ撤去このノウハウを,次へつなぐ 「廃炉作業を通じて実現した遠隔操作や無人施工の技術は,通常の建築現場ではなかなか触れられないものです。この技術は将来のさらなる省人化・自動化にもつながります。そういう意味では,ここは『時代の最先端』を経験できる環境です」と大島副所長は強調する。 事故直後から15年にわたり現場で積み重ねてきたノウハウは,今後の廃炉作業を支える大きな力となる。「これからを担う社員にも,この現場でしか得られない技術力や判断力を積み重ね,自分たちの力として受け継いでいってほしい」と,2人は期待を寄せた。ガレキをベッセルに入れる様子(2026年6月)出典:東京電力ホールディングス東京建築支店東電福島第一1号機大型カバー内ガレキ撤去工事事務所大島芳郎副所長東京建築支店東電福島第一1号機大型カバー内ガレキ撤去工事事務所岡野佳志副所長
10KAJIMA202608国内初,SC構造を大規模施設へ適用 固体庫は,地上5階,地下1階,延床面積約7万m2,保管容量約11万5,000m3に及ぶ大規模な貯蔵施設。国内の大規模施設として初めて,主構造にSC(鋼板コンクリート)構造を全面適用した。 SC構造とは,RC(鉄筋コンクリート)造で鉄筋と型枠が担う役割を鋼板に置き換えたもの。鋼板とコンクリートが相互に補強し合うことで,RC造に比べて耐震性や耐衝撃性に優れ,高い塑性変形能力※1も備える。また,鋼板が型枠の役割を果たすとともに,曲げや引張の力にも対応するため,鉄筋や型枠を大幅に削減できる。資材搬入や作業時間に制約がある構内において,現場作業を削減できるSC構造は,固体庫建設の大きな強みのひとつとなる。小野健太所長は,「資材搬入量や搬入車両,技能者数を抑えられることは非常に大きく,工期面でも約6ヵ月の短縮効果が見込まれています」と,SC構造のメリットを語る。大規模SC構造を可能にした自動溶接技術 SC構造では,鋼板同士をつなぐ溶接量が膨大になるため,溶接を効率よく,安定した品質で行うことが工程における重要なポイントとなる。当現場で使用する最大厚さ35mmの鋼板は,通常の半自動溶接や手溶接では,何層にも分けて溶接する必要があり,施工時間や品質管理の負担が大きい。さらに,鋼板建方時には溶接効率が悪い「立向き溶接※2」も必要となる。 そこで,SC鋼板の地組み溶接および建 廃炉作業に伴い発生する高線量廃棄物を格納したコンテナの運搬には,当社が開発した「フォークリフト自律走行システム」が使われている。このシステムは,GPSが使えない保管施設の中で,フォークリフトの車体周囲に取り付けたレーザスキャナが計測した壁面形状を内部地図情報と照合することで車体の位置と姿勢を把握し,所定の経路を自律的に走行するものである。 この機能は,2000年代後半から当社が技術開発してきたシールド坑内自律走行技術や建設機械の自動運転を核とした自動化施工システム「Aクワッドアクセル4CSEL®」の要素技術を,人が容易に立ち入れない過酷な環境の作業に応用廃炉作業を支え続ける自動化技術column無人のフォークリフトがコンテナを搬送する様子固体庫2026年4月,ガレキ類や放射性固体廃棄物を容器に収納した状態で一時保管する固体廃棄物貯蔵庫第11棟(以下,固体庫)が着工した。この工事では若い世代が中心となって実務を担う。「廃炉への道のり」を支える新たな現場が動き出している。ガレキを安全に保管し,廃炉工程を次へつなぐ。して実現された。 2012年の導入以降,コンテナの保管施設への搬送業務に活用され,その大部分を自律走行で担ってきた。改良・改善を加えながら,今日まで大きなトラブルなく運用を継続していることは,高線量下における技能者の被ばく線量低減にも寄与し,廃炉作業を支える大きな力となっている。 ここで培われた実績は,A4CSELのさらなる発展に活かされ,ダムや山岳トンネル,造成現場での適用をはじめ,将来の海外や宇宙での利用を目指したシステムへと深化している。※1材料や部材に加わる力が限界を超えても,直ちに壊れずに,粘り強く変形し続ける能力東京建築支店東電福島第一固体庫11棟建設JV工事事務所小野健太所長完成予想パース(北東側外観)貯蔵庫棟(SC構造)搬出入棟(S造)
方溶接に,当社建築管理本部と原子力部などが開発した「大入熱溶接工法※3を使った自動溶接」を一部適用する。特に立向き溶接では,手溶接の約11倍のスピードで施工でき,作業効率の向上が期待される。また,自動化によりトーチ(溶接器具)11KAJIMA202608特集 福島第一原子力発電所「次世代」に託す技と志の動きが安定することで,品質のばらつき低減にもつながる。大規模なSC構造を施工するうえで,自動溶接技術は重要な役割を担う。現場を変える現場を作ろう 当工事は,当社がこれまで携わってきた廃炉作業の現場とは異なる特徴を持つ。それは,「次世代で廃炉に挑む」という点だ。現場に従事するJV職員全26人のうち17人を20代・30代が占め,施工管理,工務,機電,事務など,それぞれの立場で現場を支えている。福島第一原子力発電所は,作業環境の特殊性や,勤務地が都市部から離れていることから,若い世代にとって赴任への心理的なハードルがあることを認めつつも,小野所長は技術継承の重要性について次のように続けた。「廃炉作業は今後も長く続いていきますが,これまで現場を支えてきた世代は,あと数年で第一線を退いていきます。他現場にはない廃炉作業特有のスキルや判断力を,若い世代が実務を通じて受け継いでいくことが必要です」。 2011年の事故から15年が経過し,福島第一原子力発電所内でも当時を知る人は少しずつ減ってきています。一方で,廃炉までには長期にわたる取組みが続きます。一度ほかの業務に移ったとしても,将来また廃炉作業に従事することもあり得ます。だからこそ,早い段階から経験しておくことには大きな意義があると思います。また,廃炉作業に伴って整備している施設や設備を将来どう使っていくのか,どう保全していくのか。そうしたことを,今の現場を知る若い世代に引き継いでいかなければなりません。 若い世代が廃炉に関わる意義は,仕事の中だけにと若い世代が廃炉作業に取り組む意義interview東京電力ホールディングス福島第一廃炉推進カンパニー(左から)建設・運用・保守センター建築設備建設グループ 半澤大介チームリーダー,同グループ坂本高希担当,プール燃料取り出しプログラム部1号カバー設置プロジェクトグループ石田遊翠担当どまりません。福島で暮らし,地域に愛着を持ちながら働くことで,「将来の地元をより良くしていく」という視点が生まれてくると思います。福島と関わり,福島と一緒に歩んでいくことは,長期にわたる廃炉作業を支える力にもなるでしょう。 2024年度から,発注者・受注者という立場を超えて現場レベルで協働する「ワンチーム」体制を導入しました。互いが意見を率直に言い合える関係性の中で実務を重ね,技術を受け継ぎながら,これからも力を合わせて廃炉への道のりを支えていきたいと考えています。※2立向き溶接は,垂直に立てた鋼板を縦方向に溶接するもので,重力の影響による溶接の垂れを防止するため下から上への一方向の溶接しかできないこと,溶接工が上下方向に移動しながら作業するため足場などが必要となることなどから,効率の悪い溶接となる※3手溶接に比べ10∼20倍程度の高い熱量を自動溶接機により連続的に投入し,厚板の溶接を1パスあるいは少ないパス数で一気に効率的に行う溶接方法。ただし,大入熱ゆえに溶接近傍の必要性能の確保が重要な課題となる立向き自動溶接の様子(モックアップ時) 所長スローガンは,「現場を変える現場を作ろう」。廃炉に向けたフェーズが変わりつつある今だからこそ,従来の考え方にとらわれない新しい進め方を作り上げていこうという思いが込められている。若手の登用は,その取組みを象徴している。 「先輩方から受け継いできたスキルや判断力を伝えること,そして若い社員が自ら考え,判断し,現場を束ねていける状態まで成長させることが,私の役割だと考えています。その過程で彼らには,『自分が現場を進めている』という充実感とともに,『自分が復興を支えている』というやりがいを感じてほしいですね」と締めくくった。SC構造建方ステップ図SCパネル内側建て込み(パネルは4~7枚/ユニット)SCパネル外側建て込みSCパネル自動溶接(黄色:横向き,青色:立向き)▶▶工事現況(2026年6月)。深さ10mにも及ぶ基礎工事を行う
12KAJIMA202608「廃炉への道のり」を担う新しい力震災当時は遠い存在だった廃炉作業に,今自分が携わり,先輩方が積み重ねてきた技術や思いを受け継ぐ立場にいること,そしてそれをさらに次へつなぐ重要性を実感しています。若手社員同士が力を合わせ,先輩方が築いた知見を受け継ぎながら,前例のない廃炉作業に向き合うとともに,自分たちの世代だからこそできる「現場を変える現場づくり」にも挑戦していきます。着任前は「過酷な現場」というイメージが先行し,不安がありました。しかし,プロジェクトの大きさと社会的意義を肌で感じる中で,その不安は払拭され,今では日本の未来を守る一員であることに大きなモチベーションを感じています。放射線の管理体制を学ぶ中で,「正しく恐れる」ことの重要性を実感しました。この姿勢は,放射線に限らず,物事への向き合い方としても,教訓になると考えています。固体庫における各種土木工事を担当しています。構内では,重機用燃料の厳格な管理に加え,作業中の水分補給の仕方にも制約があり,作業そのもの以外にも細やかな配慮が求められます。だからこそ,事前準備を徹底し,作業が滞りなく進むよう段取りの精度を高めることを大切にしています。燃料取り出しやガレキ撤去など一つひとつの課題に真正面から向き合い,廃炉への道のりを確実に前へ進めていきます。1号機では,ガレキ直上での天井クレーン設置計画に携わり,高線量下での業務を経験しました。固体庫では,そのノウハウを持つ数少ない機電系社員として,構内ルールや放射線管理などの現場特性に即した仮設機械・電気の計画を担っています。計画段階から「どうすれば構内作業を減らせるか」という視点を常に意識し,技能者がより安全で効率よく作業ができる環境を整えていきます。震災当時は小学6年生でした。当時住んでいた大阪は少し揺れた程度でしたが,テレビに映る現地の状況に大きな衝撃を受けたのを今でも鮮明に覚えています。2025年の着任後,現地を見て,廃炉作業が多くの人の力で一歩ずつ進められていることを実感しました。全国各地から集まったエキスパートの方々が作業に集中できるよう,宿舎や移動手段などの環境を整え,現場を後方から支えていきます。東京建築支店東電福島第一固体庫11棟建設JV工事事務所上原章宏工事担当東京建築支店東電福島建築統括事務所安部一志事務主任建設業に興味を持ち始めたのは,東日本大震災がきっかけです。建設業がどのような知見と技術で自然災害に向き合い,共存していけるのか,子どもながらに考えていました。15年の歳月を経て福島へ着任し,当時抱いた思いを形にする機会を得ました。数十年先まで続く廃炉作業に対し,建設業の立場から,将来世代が安全・安心に誇りを持って暮らせるまちづくりを支援できるよう,全身全霊で邁進していきます。東京建築支店東電福島第一固体庫11棟建設JV工事事務所栗山俊希工事担当東京建築支店東電福島第一固体庫11棟建設JV工事事務所岩田紳吾工事課長代理東京建築支店機械部工事グループ八代明日人主任東京建築支店東電福島建築統括事務所川元大志事務担当14523
13KAJIMA202608特集 福島第一原子力発電所「次世代」に託す技と志固体庫で計画業務を担当する私は,原子力設計に携わっていた経歴から,施工にはない「設計の視点」も持っています。施工と設計の両面から計画を見つめ,原子力施設に求められる高い品質の確保と,スムーズな施工管理に寄与していきます。2028年度内の屋外保管解消に向けた重要なプロジェクトの一翼を担うことに誇りを持ち,自分にしかない強みを最大限に活かして業務を遂行していく覚悟です。躯体工事を担当しています。放射線管理の下,SEQDCを高いレベルで管理しなければなりません。苦労は多いですが,その分ひとつの工種を終えた時には達成感と成長を実感します。小学4年生で経験した東日本大震災から15年が経過し,福島では復興が着実に進んでいます。担当する工事を確実に進め,福島の復興のために,お客様や協力会社とともに,これからも現場の最前線で力を尽くしていきます。福島第一原子力発電所には長年のルールがあり,まずはそれを尊重することが大事です。その上で,バックオフィスを担う立場として,時代に即した新しい仕組みを取り入れ,より働きやすい職場づくりを心掛けています。また,放射線管理や厳格な安全基準のもとでは,ひとつの確認漏れが現場全体に影響を及ぼします。自分の業務が現場に直結していることを意識し,決して妥協せず,丁寧に仕事を積み重ねていきます。私は工務担当として,事務所のある福島県広野町,構内の現場,東京にある支店という離れた3拠点と日々連絡を取りながら業務を進めています。物理的な距離がある分,情報伝達の難しさを感じますが,DXツールを活用し現場に必要な情報を正確に届けることを常に意識しています。所員全員が,ロードマップの目標達成に向けて全力でプロジェクトに向き合っています。私もその一員として貢献していきます。2018年から,固体庫を含む構内の約96%で一般作業服での作業が可能となりました。それでも,構内での作業時間には制限があり,思うように工事が進まないこともありますが,自身の強みである「粘り強さ」を発揮し,協力会社が滞りなく作業に取り掛かれるよう,準備と調整を先回りして進めています。今は,安全と品質を最優先に,固体庫を工期内に竣工させることに心血を注いでいます。東京建築支店東電福島第一固体庫11棟建設JV工事事務所浦祐太郎工事主任東京建築支店東電福島第一固体庫11棟建設JV工事事務所石鍋昌寿工事担当私は,鹿島が誇る技術のひとつ「SC構造」に適用する自動溶接技術の開発に携わっています。現場に直接関わる立場ではありませんが,溶接作業の効率化や品質の安定化を通じて現場の一端を支えていることに,大きなやりがいと責任を感じています。SC構造には,まだ改善の余地があります。部署や役割を超えて「オール鹿島」で知恵を結集し,「廃炉への道のり」を支える技術をさらに磨いていきます。原子力部原子力設計室先端技術グループ橋本大輝主任東京土木支店福島土木統合事務所荒井智也事務担当東京建築支店電力プロジェクト部櫻井惇也工事主任東京建築支店東電福島第一固体庫11棟建設JV工事事務所藤原誓二工事課長代理910678photo:8-11ページ人物,12-13ページ1∼10大村拓也廃炉への道のりは,今,新しい担い手へと受け継がれている。特殊な環境下で経験を積み,これからの廃炉作業を支える若手社員たち。担当業務や現場で感じていること,今後果たしていきたい役割について,12人がそれぞれの思いを語った。