22KAJIMA202610アイデアの真剣勝負「NHK学生ロボコン」 「NHK学生ロボコン」(主催:NHK,NHKエンタープライズ)は今年で35回目を迎える長い歴史を誇る大会である。高度なスキルが求められる予選会があること,優勝校は日本代表として世界大会「ABU※1ロボコン」に出場できることから,ロボコン界において国内最高峰の一つと位置付けられる。 若く未来あるエンジニアたちがしのぎを削るロボコンは,建設現場の自動化・ロボット化に取り組む当社にとっても親和性が高い。そこで当社は2024年から,「アイデアを形に!夢は現実に!」というメッセージを掲げて同大会に協賛。独創的なアイデアや技術への挑戦を称える特別賞「鹿島賞」を設け,ロボットで夢をつかむエンジニアにエールを送っている。競技テーマは「カンフークエスト」 今大会の競技テーマは,ABUロボコン2026の開催地である香港の古代武術,「カンフー」がモチーフとなった。競技は,赤と青に分かれたフィールドを舞台に,2チームが得点を競い,勝敗を決する対戦形式。 ルール概要⃝完成した槍1本につき10点⃝アリーナに運んだ秘伝書1個につき10点⃝槍で相手チームの秘伝書を棚から落とし, 得点を 妨げることができる。⃝並べた秘伝書は試合終了後の秘伝書棚の状態で採点 •下段に並べた秘伝書1個につき30点 •中段に並べた秘伝書1個につき40点 •上段に並べた秘伝書1個につき80点6月14日,当社が協賛する「NHK学生ロボコン2026」が開催された。今年も,全国からロボットづくりに青春を注ぐ学生たちが一堂に会し,熱戦を繰り広げた。その舞台裏をレポートする。①道場②梅花林秘伝書棚秘伝書③アリーナ#kajimaステキシェアいいね!#NHK学生ロボコン2026アイデアを形に!夢は現実に!大会の様子。長岡技術科学大学メンバー(赤フィールド)が奮闘中※1アジア太平洋放送連合※2自チームの秘伝書を秘伝書棚の縦1列または斜め1列の3マスに配置すると,「カンフーマスター」を達成し,勝利となる各チームは完全自動ロボットを含む2台のロボットを製作して臨む。制限時間は3分。①道場でポールとヘッドを接続して槍を組み立てる,②梅花林に配置された秘伝書を集める,③アリーナの秘伝書棚(3×3=9マスのラック)に並べる,という3つのタスクを実行する。各タスクをクリアしなければ先へ進めないため,速さと正確さに加え,カンフーマスター※2の達成に向けた2台の連携が勝敗の鍵を握る。豊橋技科大が優勝!鹿島賞は長岡技科大 エントリー総数40チームのうち18チームが本大会に出場。6グループに分かれての総当たり戦を行い,計8チームが決勝トーナメントに進出した。 決勝は,豊橋技術科学大学が昨年度ABUロボコン優勝の東京大学に勝利し,2年ぶりの優勝。鹿島賞には第2試合(vs金沢工業大学)で出場チーム唯一のクローラ式による段差昇降を披露した長岡技術科学大学を選出した。槍秘伝書鹿島賞に輝いた長岡技術科学大学RoboPro長岡の出場メンバー(オレンジ色のシャツを着用した3名)
23KAJIMA202610――大会に向けて,どう進めてきましたか?五十嵐 昨年8月末に発表されたABUロボコンのルールをもとに,9月から戦略やロボット機構の検討を始めました。しかし,11月初旬に発表された日本大会のルールが大きく変わったため,設計を見直すことになりました。まずは今年2月の一次ビデオ審査の突破を優先して製作を進め,4月の二次審査後には他大学との練習試合に臨み,実戦に近い環境で動作を確認。そこで生じた課題を踏まえ,大会直前まで改良を重ねました。山口 R1は車高を下げて速度を高め,R2は回収機構を何度も見直した末,ロボットアームで直接つかむ方式に。さらに,秘伝書を積み上げて3個同時に運べるよう,後部に昇降機構を追加しました。――大会でのエピソードがあれば教えてください五十嵐 第1試合(vs早稲田大学)では,R2が突然動かなくなりました。練習では一度もない不具合だっただけに,非常に悔しい敗戦でした。石川 第2試合(vs金沢工業大学)では,第1試合の反省を踏まえ,試合直前までR2が正常に動くかを確認しました。悔しさを教訓に練習どおりの成果を見せることができました。山口 優勝した豊橋技科大とは,決勝トーナメントで対戦しました。ロボットの動きが速いうえにヘッドを取る場所が重なってしまい,戦略面でも相手が一枚上手でした。相手チームのなかには,高専ロボコンで対戦したことのある学生がいたので余計に悔しかったですね。――クローラ式の足回りを採用した理由は?五十嵐 展開式の足回りも試作しましたが,安定性の高いクローラを採用しました。クローラは重心の影響を受けにくく,機体のバランスにかかわらず安定して段差を昇降できます。展開部分にはエアシリンダーを用い,段差をおりる際にはエアサスペンションのように衝撃や振動を吸収する構造としました。――後輩への期待を聞かせてください石川 後輩には,仲間と良い関係を築きながら活動してほしいです。代表には,資金集めやイベント参加を含めたチーム運営にも力を注ぎ,学生ロボコンに真摯に向き合ってほしいと思います。山口 長岡技科大には,学生ロボコンに思い切り取り組める恵まれた環境があります。後輩には,その環境を十分に生かし,自分たちがやりたいことや新た#目指せ,カンフーマスター #技科大魂! #長岡 #花火に負けない熱い思いinterview祝鹿島賞受賞!長岡技術科学大学RoboPro長岡に振り返ってもらいましたな技術に積極的に挑戦してほしいです。五十嵐 後輩に伝えたいことは,メンバーと仲良くすること,大学と良い関係を築くこと,衝突があったときに必ず話し合うことです。意見の対立は,全員が勝ちたいと思っているから起こるもので,悪いことではありません。――最後に,KAJIMAの読者へメッセージを!五十嵐 今年の経験や悔しさは,すでに後輩たちへと受け継いでいます。現在は新たなメンバーが中心となり,次の大会に向けて活動を進めています。今年とは異なる発想や技術を取り入れ,どのようなロボットをつくりあげるのか。来年の学生ロボコンにも期待してください!2001年創部のRoboPro長岡は,約20名の部員が「NHK学生ロボコン・ABUロボコン優勝」を目指して活動している。高専からの編入生が多く,中心となるのは学部3,4年生。学部生だけが出場できる学生ロボコンは,3年次に編入した学生にとってほぼ一度きりの挑戦となる。今大会に臨んだ工学部4年の五十嵐幸多さん,山口雄大さん,石川颯汰さんに,ロボットに込めた技術と情熱を聞いた。アリーナで秘伝書を並べる様子(vs金沢工業大学)。この試合に勝利し,決勝トーナメントへの進出を決めたR2がクローラで段差をおりる様子左から五十嵐幸多さん(代表),石川颯汰さん,山口雄大さんR1【アピールポイント】吸盤で秘伝書を回収するほか,槍の組立てや相手チームへの妨害も担う。軽量で機動力に優れ,機体内部にR2を収めて持ち上げる機構も備える吸盤を用いた機構で秘伝書を回収R2【アピールポイント】クローラにより,重心位置に左右されず段差を安定して昇降できる完全自動ロボット。最大3個の秘伝書を同時に運搬できる高速・安定の段差昇降で攻める