KAJIMAエコプラザ

ヒートアイランド現象を防ぐ屋上緑化

 これから夏場を迎えると,都心部では日中の気温が30度を越える「真夏日」や,明け方の最低気温が25度以下にならない「熱帯夜」が幾日も続くことが予想されます。そして都心では過去100年間で冬季の最低気温が平均3度上昇していると発表されています。このように都心部の気温が郊外に比べ高くなる現象を「ヒートアイランド現象」と言います。
 このヒートアイランド現象の主な原因は,街の隅々までアスファルトやコンクリートで覆われたことで発生する輻射熱や,自動車の排気ガス・エアコンなど,エネルギーの集中利用が都市で著しく進んでいるためです。
 こうした問題の解決策の一つとして,いま注目されているのが「屋上緑化」です。屋上緑化は大気汚染の浄化や雨水の流出抑制にも効果を発揮し,都会で働く人々に憩いの場を提供するなど多くのメリットがあります。
 最近,全国の自治体は,この屋上緑化に対して積極的に取り組み始めています。東京都では,今年4月から屋上緑化の基準を改正し,1,000m2以上の敷地について屋上の20%の緑化を義務付けました。今後容積率の緩和などのボーナス制度も開始される予定です。また国土交通省においては,緑地施設の固定資産税や相続税の軽減等を今年2月に発表しました。そして都市環境への効果を調査し,昨年末に都市部における屋上緑化の普及促進のために,同省自ら霞ヶ関3号館の屋上を緑化しました。
 これまで屋上緑化における課題に屋上の荷重制限がありました。例えば建築基準法では180kg/m2です。この荷重では十分な土壌を載せることができません。これに対し,当社は保水性にも優れた軽量培養土「ケイソイル」などの人工軽量土を開発しています。また屋上緑化はメンテナンスが大変で管理者から敬遠されがちです。そこで乾燥に強く,管理の手間を省ける植物の研究もしています。さらに屋上に限らず,建物壁面の緑化にも対応した「グリーンスクェア」を開発しています。
 このように当社は,屋上だけに限らず建物の緑化に関する豊富なメニューを揃えています。
 最後に,この4月当社KIビル(東京都港区)の屋上に,屋上緑化の展示スペースを開設しました。ここでは当社の保有する最新の技術を一般の方々に広く紹介しています。是非ともお気軽に見学にお越し下さい。

ヒートライランド現象の仕組み
当社技術研究所での屋上緑化実験 北大阪急行電鉄・桃山台車庫の緑化
当社技術研究所での屋上緑化実験 緑化面積が約3,000m2で国内最大規模を誇る北大阪急行電鉄・桃山台車庫の緑化