テクノプラザ: コンクリート進化論
〜より強く、そしてよりワーカブルに
19世紀後半にその製法が確立され,20世紀の建設工事に多大な影響を与えたコンクリート。数々の難工事を可能にしたのは,コンクリートをはじめとする建設材料の進化も1要因であるといっても過言であるまい。今回のテクノプラザでは,コンクリートという材料の当社における研究開発に焦点をあてる。


普通コンクリートの構成(体積比) |
●基礎編 コンクリートは複合材料
コンクリートは材料を練り合わせ,型枠に入れると水とセメントが化学反応を起こし発熱しながら硬化していく。そして時間とともに,骨材どうしが接着する形でその強度が増加する。この構成材料であるセメントや骨材の種類,水の配合比を替えたり,あるいは混和剤(材)と呼ばれる性質向上のための材料を添加することによって,種々様々なコンクリートが誕生している。これが人工の石と呼ばれる由縁でもある。
●応用編 進化したコンクリート
コンクリートは,セメント・混和剤(材)に代表されるような新たな材料の開発により,段階的改良が加えられてきた。その結果,今までの既成概念を破るコンクリートもできるようになった。進化を続けるコンクリートの事例を紹介する。
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水の中でも高品質:
水中不分離性コンクリートの開発実用化
通常水の中ではコンクリートは分離してしまうため品質保持が非常に難しい。水中不分離混和剤を使用することで,結合力が強まり水中でもセメントや骨材が分離せずに固まることが可能になった。
適用事例:明石海峡大橋2P主塔基礎 他

水中でも分離しない
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コンクリートが水に浮く:構造用超軽量コンクリートの開発
空気を混入したセメントペーストと超軽量骨材を使用することで軽量化を図る。構造部材としての強度・耐久性を保ち,かつ水に浮く超軽量コンクリートは業界初。土木・建築両面で広範囲な適用が期待されている。

左が従来コンクリート、右が新開発の超軽量コンクリート
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金属のように変形する:高靭性コンクリートの開発
「コンクリートは引張荷重に弱く脆い」という従来の概念を覆す。ビニロン繊維を用い調合を最適化することによって,金属に匹敵する靭性をもつ粘りあるコンクリートが開発された。高い変形性能は従来のコンクリートの適用限界を大きく拡大する可能性を秘めている。

靭性が高く、撓んでも粘りがある
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