テクノプラザ:
食品衛生管理をより確実に,より簡単に 
  〜HACCP支援・簡易型微生物検査ユニット「Ins-CUBE」

 近年,食品衛生管理手法として注目されているHACCP(ハセップ:本誌6月号「今月のことば」参照)。当社にはこれまでに蓄積したHACCP関連の各種技術ノウハウから,グンゼ産業及びオリエンタル技研工業と共同で,HACCP支援・簡易型微生物検査ユニット「Ins-CUBE(インスキューブ)」を開発・商品化した。今月は,食品関連会社が,自主的に簡易に微生物検査が行なうことができるこのIns-CUBEを紹介する。



●従来検査方法とHACCP

 従来一般的とされてきた検査方法は「公定検査法」と呼ばれ,最終製品の一部をサンプルとして抜き取り,様々な危害項目を全て検査することで全製品の安全を保証するというもの。この場合,検査できる製品の数が限定されるため,確実性を高めるにはより多くのサンプルをまんべんなく集める必要がある。
 HACCP方式は米国NASAで生まれ,食品製造の各工程ごとに,危害発生の可能性が極力少ない温度・圧力・調理時間などを加工条件とし,その条件を遵守することで,最終製品の安全性を保証するという方法である

Ins-CUBE
99国際食品工業展で展示中のIns-CUBE

●微生物検査が必要な理由

 HACCP方式で加工条件を遵守しても,実際には何らかの原因で微生物の発生・増殖を招くことが多く,完全に発生を抑制することは極めて難しいとされている。そこでより確実に安全性を高めるには,やはり実際に微生物が発生しているかどうか,を頻繁に確認する必要がある。
 これまでの微生物検査は,食中毒の原因究明手法として定着してきたこともあり,専門的技術や高価な検査器具が必要とされてきた。またデータ処理・管理も煩雑であるため,外部機関に委託されることが一般的であり,この場合検査費用が高くかつ検査時間も長く要するため,各工程ごとに頻繁に微生物検査を行うことは難しかった。このため,自主的に微生物検査が行え,検査結果を迅速に製造工程にフィードバックできるシステムが必要とされていた。

Ins-CUBEの概要
Ins-CUBEの概要
検査の様子
●Ins-CUBEのシステム概要

 Ins-CUBEは,専門的知識がなくても「微生物検査」が行なえる簡易検査キットと,結果データを蓄積し分析も行えるパソコンシステム(食品衛生検査記録システム)を備えた2.7m×2.7m×2.5mという省スペース型ユニットハウスである。既存の食品工場や外食産業,そして給食施設にも,新築・リニューアルを問わず設置できる。ユニットの標準仕様タイプは550万円,その他検査項目に応じて各種オプションも可能である。

・ 簡易微生物検査キットと運用マニュアル
 使い捨て検査用フィルムシートを用いることで,簡易に検査でき,検査結果も短期間(1〜2日)で得ることができる。専門知識や特別な資格・技能のない人でも容易に検査からデータ管理までできるマニュアルや教育コースも用意している。

・ 食品衛生検査記録システム
 検査品の管理にバーコードを用いることで,検査記録を容易に蓄積でき,記録の解析も迅速に行える。

● 今後の展開

 当社では,食品工場建設を中心にHACCP支援技術をトータルエンジニアリングとして展開中である。施設のライフサイクルに応じて,調査・分析・企画立案から設計・施工・アフターサービスまで,様々な顧客ニーズに対応している。今後はこれまで開発したHACCP支援システム群にこのIns-CUBEを加え,充実したメニューをシステム化することで積極的提案をはかっていく予定である。