KAJIMAエコプラザ

かけがえのない海をいたわるために

 猛暑が続いています。夏休みに入ると海に出かける人も大勢いるでしょう。今月は,遠い昔から私たちの生活と密接に結びついている「海」について考えたいと思います。
 日本は国土の四方を海に囲まれ,様々なかたちでここから恩恵を受けています。しかし今日,私達は海に係わる事象に無知になっているのではないでしょうか。むしろ,知る機会がほとんどないのかもしれません。都市の沿岸部では埋立てが進み,水際で遊ぶことのできるところも少なくなってきました。
 小・中学校の義務教育で,いま問題となっている「理科ばなれ」の中には,「海ばなれ」も含まれているのです。

魚などの生態をじっくり観察することから始める 生まれて初めてエビをつかむ子供たちも多い
魚などの生態をじっくり観察することから始める
生まれて初めてエビをつかむ子供たちも多い
思い思いに魚の絵を描いてみよう
思い思いに魚の絵を描いてみよう

 当社の技術研究所・葉山水域環境研究室は,民間企業としては数少ない海洋研究施設です。ここでは,海洋生物の生態調査から海洋構造物の構築まで,海洋に関する様々な研究を行っています。また,海についての基本的な知識を得ることを目的とした,「環境教育プログラム」の提供もしています。
 このプログラムは,実際の生物や材料を教材にし,だれにでも楽しめるように作られています。その中には,魚の絵を描いたり,工作や料理をつくる実習もあります。また,学校の授業で用いる教材の取り扱い方法も指導しています。どのプログラムも,人々の素朴な疑問を大事にし,肌で触れ合うことのできる体験学習が中心となっています。
 プログラムの対象は,幼稚園児から小・中学校の生徒が大半ですが,国際協力事業団(JICA)で研修を受けている専門家にも通用するものもあります。
 環境に関する問題の解決には,国などの政策や,環境技術の進歩などによるところが大きいと言えます。昨今,殺伐とした事件が報じられていますが,豊かな情操を育むためには,教育による啓蒙が最も大切と考え,「環境教育プログラム」を考案しました。今後もより多くの人々が,「かけがえのない海」をいたわる心を忘れぬよう,ここ葉山から環境教育を実践していきます。

JICAでの採水実験 プランクトンを数える研修生
JICAでの採水実験。ジュースビンを利用したしかけを作ることで,水中深くでも簡単に採水できる
ガラス管を使って採水した海水に含まれるプランクトンを数える研修生
子供達