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![]() 道路空間を有効利用させる光の列 日進月歩の勢いで変わりつづけるクルマ社会。 わが国においてもITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)の推進をはじめとして,道路環境の再整備に向けた動きが活発化している。こうした流れのなかで,ITによって既存の道路空間を有効活用させる新たなシステムが生まれた。路面の発光体が交通量に応じて車線区分をコントロールする「レーンライティングシステム」である。 その正体は道路に埋設されたLEDだ。従来にない“機能”をもった路面標示システムの実態に迫る。 |
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渋滞に遭遇しないドライブは快適だ。しかし,高速道路の料金所や目的地付近で思わぬ混雑に遭遇した経験は誰にでもあるだろう。 一日の交通量は,正月やお盆の時期の帰省ラッシュを除けば,時間や場所によって常に変わりつづける。そのために混雑との遭遇が予期せず起こるのである。 こうした流動的な混雑に対しては,従来の白線による路面標示だけで交通整理を行うことは難しく,また道路空間を拡大するにも多大な時間と費用がかかる。 そこで,光の列となって路面に浮かび上がる「レーンライティングシステム」は,このような常に移り変わる交通量に応じたシステムとして開発された。路面に埋設されたLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)の列が白線の役割を果たし,ITで点灯位置や間隔をコントロール/区分変更をすることによって交通整理を行うというものだ。 高速道路料金所付近での混雑は,交通渋滞解消を考えるうえで避けられない問題である。ETC(Electric Toll Collection System: 料金自動収受システム)の普及にともない混雑は次第に緩和されつつあるが,ETC搭載車のユーザーメリットが発揮されるのは料金所エリアに入ってからのこと。そこに至るまでは非搭載車と同様に一緒に走るしかない。 しかし,光の列によって車線数を変更――例えば従来の3車線を,車線幅を縮めて4車線に増線――すれば,そのうちの1車線をETC専用車線として利用できる。ETCのユーザーメリットが十分に発揮される道路環境が整うのである。 こうしたシステムは高速道路のほかにも,駅前広場や一般道路への適用が検討されている。朝夕のラッシュ時にはバス専用となっていた駅前スペースや道路を,昼間の閑散時にタクシープールや駐車スペースとして区分変更すれば,交通量に応じた効率的な道路空間利用が可能となる。 レーンライティングシステムは,積水樹脂と当社の共同開発によるもので,すでに発光体の試作とシステム制御実験が完了している。光を認知しにくい昼間でも十分な視認性を確保するために,高輝度のLEDを採用した。また,大型車の走行にも耐えうる強度が実証されている。現在は,実現に向けてさらなる開発が進められている段階だ。 道路空間を有効活用させる光の列は,わが国の自動車交通の明日を明るく照らすだろう。 |
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