特集:マンションレビュー2004![]() |
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マンション市場の好調がつづいている。 なかでも人気が集中しているのは首都圏の超高層・大型物件だ。 東京都区部や千葉県などのエリアでは,2004年上半期は前年同期比10%増と高水準の供給となった。 今年最後の特集は,話題のマンションをダイジェストで振り返りたい。 豊かな住まいづくりの背景には,鹿島の建設技術と都市環境への視座が織り込まれている──。 |
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続伸する超高層・大型物件 都心回帰を後押しするマンションブーム。実際に東京23区の人口は,1997年から増加の一途をたどっているという。それを象徴するのが,各地に続々と姿を現している超高層・大型マンションにほかならない。 人気を集める理由は,都心・駅近郊といった好条件の立地に比べて割安感のある価格によるものだ。地価の下落と大型遊休地の再開発によって,バブル期では考えられなかった好立地の住宅用地が生まれたのである。 こうした流れのなかで,マンション市場の拡大基調は今年も止まらなかった。首都圏の年間の供給戸数は8万5,000戸と昨年を上回る見込みとなっている(不動産経済研究所調べ)。その牽引役が超高層・大型物件である。 豊かな“コモンリビング” 都市生活の拠点となる超高層ハウジング。鹿島では「集まって住む」ことの意義をより高めるために,住環境の質そのものを追求しつづけている。各戸の居住空間のクオリティはもちろん,コモンスペース(共有施設)の存在も重要となる。 入居者共有の玄関となるエントランスホールは,風格ただよう大空間が広がるだけでなく,プライベートなひとときをすごせるラウンジが併設される。高層階には都市の夜景が一望できるラウンジやゲストルームなど,ホテルライクなシーンが流れる。フィットネスやシアタールーム,緑豊かなプライベートガーデンなどが都市生活のひとときを豊かにする。 こうしたコモンスペースは,入居者それぞれの“もうひとつのリビング”であり,コミュニティを育む“まちづくり”といえよう。 |
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TOKYO TIMES TOWER |
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TOKYO SEA SOUTH ブランファーレ |
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白金タワー |
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快適空間を包むフレキシブルな骨格 優雅な空気が流れるリビング,食生活をより豊かにするダイニングキッチン,安全で細やかな配慮が盛り込まれたセキュリティシステム・・・。当社の提供するマンションには無数の工夫が織り込まれている。「健康配慮ハウジング」をスローガンとする24時間換気システムなどもそのひとつだ。 こうした住環境の骨格を支えるのが,当社の建設技術である。「超高層フリープランハウジング」は,便利な都心で快適に長く暮らすためのライフスタイルへの提案であり,その技術のひとつが「スーパーRCフレーム構法」だ。数々のマンションで実績をもち,東京・秋葉原の超高層マンションTOKYO TIMES TOWERでも採用されている。 建物を支える躯体は,まるで樹木のように中心の“幹”と上部の“枝”で構成され,いわば“巨大な1階建て”となる。枝の下の居住部分には,構造躯体としての柱・梁のない空間が生まれる。 柱と梁が室内から姿を消すことで,フラットな天井が実現し,天井高いっぱいの収納家具も設置できる。そして,背の高い窓によって超高層ならではの眺望をさらに高める。 また,構造壁も不要なため,間取り変更などのリニューアルが容易となる。壁の位置はもちろん,キッチンや浴室などの水周りも移動可能で,部屋の数も変更できる。 フレキシブルな「可変空間」によって家族構成の変化に対応し,ライフスタイルとともに住まいも更新しつづけていくのである。 |
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社会的寿命を見据えたハウジング 超高層フリープランハウジングのもうひとつの建設技術が「RCダブルチューブ構造」だ。柱と梁を外周部と内周部に集約し,構造躯体によるフロア内の制約を大幅に低減した。 住戸プランは柱・梁にとらわれないために自由度が高まり,住戸内のデッドスペースも減少する。リニューアルや間取りの変更も容易になる。東京・品川のTOKYO SEA SOUTHブランファーレでは,さらに進化した「ニューRCダブルチューブ構造」が採用されている。 また,東京・白金の白金タワーでは,「コアウォール+ダブルチューブ構造」というハイブリッドな手法が採られている。建物中央のコアウォールがいわば“芯棒”として機能し,その周囲はダブルチューブで構成される。 こうした技術は,敷地条件などにあわせて応用され,進化しつづけている。いずれにも共通するのは,自由な住戸プランニングと容易に可能なリニューアル,そして間取り変更の自由度といった可変性だ。 世代を超えて長く住みつづけられるだけでなく,分割・分譲といった様態も可能となる。また,売却・住み替えが必要となった場合にも,新しい住み手のニーズにあわせてフレキシブルにリニューアルでき,50年後100年後にも高い資産価値が保てるのである。 高度な耐震・制震技術に支えられた超高層フリープランハウジングは,建物の構造的寿命のみならず,ライフスタイルや価値観の変化に代表される“住まいの社会的寿命”を延長させるのである。 |
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超高層邸宅という都市インフラ 都市ハウジングの快適さを追求する当社の超高層技術。活躍の舞台はこれからもつづく。そのひとつが,虎ノ門タワーズ レジデンスだ。 計画地は東京港区の虎ノ門4丁目。アメリカ大使館やスペイン大使館に囲まれ,ホテルオークラ東京に隣接する静謐な丘。江戸時代には大名屋敷,明治以降は華族や財界人たちが居を構えた由緒ある邸宅街で,いまも緑豊かな自然に包まれている。永田町,霞が関,赤坂,六本木などへ軽快にアクセスでき,日本の政治・経済・文化圏の中枢に位置する。 ここに建設されるのが虎ノ門タワーズで,高さ153mのレジデンス棟と高さ112mのオフィス棟から構成される。すでに昨年末に着工され,2006年9月の完成予定だ。 「超高層邸宅」をうたうレジデンス棟は,板状型超高層の端正なシルエットが特徴の分譲マンションである。眺望と採光を最大限に享受するために,当社独自の「チェーンド・チューブ構造」が採用された。数多くの実績をもつ制震装置によって地震や風揺れを制御し,安全・安心で快適な邸宅を提供する。 そして,2棟の超高層の足元に広がるランドスケープを重視し,古くから守られてきた樹々を残す計画となっている。土地区画整理事業により隣接道路の線形改良と拡幅計画を行い,さらに建築計画では市街地住宅総合設計制度を活用し,敷地面積の5割以上を公開空地として確保していく。緑に彩られた遊歩空間が生まれる計画だ。 「正統な建築」をコンセプトとする虎ノ門タワーズ レジデンス。周辺環境との調和を図りながら,由緒ある丘にふさわしい品位を求めている。 都心部の超高層ハウジングは大型プロジェクトが多く,街の大規模な再開発をともなうことが少なくない。当社では,マンションの入居者に豊かな住環境を提供するだけでなく,入居者や周辺の人々が誇れるような都市環境づくりも視野に入れたハウジングをめざしているのである。 |
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虎ノ門タワーズ レジデンス |
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日本の美意識をまとった邸宅──。これまでのマンションになかった上質さをめざして今年6月に完成したのが,パークマンション千鳥ヶ淵だ。その名のとおり,東京・千代田区九段の千鳥ヶ淵に面し,皇居や北の丸公園,各国大使館や美術館などに囲まれて建つ。 深い緑と豊かなお壕の水に包まれる千鳥ヶ淵は,日本有数の桜の景勝地である。その景観にふさわしい佇まいを求め,さらには“世界に誇れるマンション”をコンセプトに,建築家たちの思想とデザイン,匠たちの技が集結された。 意匠監修は,景観や歴史と共生した作品で評価を集める建築家・内藤廣氏。東京大学大学院社会基盤工学専攻・景観研究室の教授も務める。 手仕事を大切にする内藤氏の思想の一端は,このマンションのパブリックスペースでも具現化されている。石匠・和泉正敏氏の石舞台,左官・久住章氏の土の壁,塗り師・坂井廣雄氏の朱漆の壁・・・日本を代表する匠たちの仕事だ。物質的な充足感だけでなく,精神的な心地よさを堪能でき,“深み”“厚み”“味わい”といった日本の美意識で満たされている。 こうしたコラボレーションをとりまとめ,設計と監理実務を担ったのが当社の建築設計本部である。建築設計と設備設計,関連会社のランドスケープデザインとアルモ設計が参加し,社内においても多様な技術がコラボレーションすることとなった。 完成した建築は,千鳥ヶ淵の歴史・環境と響きあうように,3つの視点で景観が考慮されている。近景は建築の存在よりも桜並木との一体感を重視,中景はお壕の石垣と水に呼応するように天然石とガラスのコントラストで構成,お壕の対岸から望む遠景は天空を映すガラスの透明感であふれている。 また,周囲との“豊かなつながり”を重視した外構のデザインでは,緑の斜面の復活,水の面影の再現,既存樹木の活用といったテーマが掲げられた。 そして,隣接するイタリア文化会館と二松學舎大学との公開空地を連続させ,文化施設の多い街並みに新たな憩いの空間を創出している。パークマンション千鳥ヶ淵はマンションとしての質を追求するだけでなく,都市景観とまちづくりに寄与するハウジングをめざしているのである。 |
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パークマンション千鳥ヶ淵 |
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