テクノプラザ:
カッターヘッドの往復でトンネルを掘る 
   〜世界初のWagging Cutter Shield工法の開発・実用化

 Wagging Cutter Shield工法は,当社がコマツと共同開発したもので福岡市中央区天神のきらめき通り地下道建設の現場に適用し,昨年5月に掘進を開始,約3か月後に到達した。


きらめき通り地下通路に建設に使用したシールドマシンの外観
掘進能力は通常のモーター駆動のシールドマシンと同等である

 通常シールドマシンは円形のカッターヘッドを,360度回転させてトンネルを掘削する。これに対し,Wagging Cutter Shield工法は,シールドマシンのカッターヘッドを一定の角度内で往復運動(揺動)させてトンネルを掘削する。

 一般に地下道の断面形状は矩形が合理的だが,通常のシールドマシンで掘削するには,複雑なメカニズムが必要である。しかし,本工法では,カッターヘッドに組み入れた伸縮式のオーバーカッタにより,複円形や矩形など,円形以外にも様々な断面のトンネルを比較的容易に施工できる。

  通常のシールドマシンでは,カッターヘッドの駆動に用いるのは構造が複雑で高価なモーターである。これに対し,本工法では比較的構造が簡単で安価な油圧ジャッキを用いている。全長を短く,重量を軽くしてコストダウンを実現した。

きらめき通り地下通路建設工事。 後ろから見たシールドマシン。
鉄筋コンクリートによる二次覆工が完了するまでは,仮設の中柱がトンネルのセンター部分を支えている

きらめき通り地下通路建設工事。 二次覆工後のトンネル内部

 本工法ではシールドマシンを分岐させたり,合流させたりする技術開発も積極的に進めている。実用化すれば地下鉄など都市部のシールド工事をより効率的に施工できるようになる。
 当社では,中距離までのシールド工事を中心に,円形はもとより断面が矩形や非円形のシールドトンネルの建設などに積極的に適用を働きかけている。

地下鉄の分岐部分イメージ図