天文学者が新しく発見した星に名前をつけるように、世界で初めての魚は新種、日本で最初に確認された魚は新称として、発見した人が名前をつける習慣があります。今回のかじまじんに登場する萩原さんは、すでに4種のハゼの名付け(和名)親となっている“おさかな博士”です。
「小さい頃から生き物が大好きで、大学も水産学科に進み、江ノ島水族館に学芸員として就職しました」。その後、鹿島に入社して葉山水産研究室(現:技術研究所葉山水域環境研究室)でビオトープや干潟の環境保全などの研究を行なってきたという、ちょっとユニークな経歴の持ち主だ。その仕事の傍ら、慣れ親しんだ三浦半島・相模湾をテーマにハゼの研究を続け、魚の図鑑も共著で何冊も執筆している。 またそうした学術的な活動だけでなく、子供を対象とした自然観察教室の先生役や、葉山の町民大学の講師なども務めてきた。「子供たちには、生き物、魚に興味をもってもらうよう実際に触れさせてみる。かたや大人は、理論などから入ると関心を持ってくれるんですよ」と“魚”の魅力を多くの人に伝えるため、様々な苦労や工夫もしている。
この4月に、10年近く研究を行なってきた葉山から、岩手県釜石市に仕事の場を移すことになった。萩原さんが今一番興味があることは、「豊かな自然に恵まれたこの土地で、“川”の魚を観察することです」 さらに将来の夢となると、「ナチュラリストでありたいというのは、自分の生涯のテーマであり、ライフワークです。それから企業人としては、“建設会社=環境破壊”というイメージが強いけれど、一方でそれを再生する、修復できる理論や技術を持っているのも、建設会社だと思うんです。せっかく建設会社にいるのだから、その辺りをやっていきたいと思います」。 個人的には「実はまだ新種のハゼをいくつか持っているので、はやく論文にまとめなくちゃいけないんです」と笑う“さかな博士”の多忙な毎日は、まだまだ続きそうだ。
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