テクノプラザ:
ベストミックス蓄熱空調システムの誕生 
       〜ハイブリッド躯体蓄冷熱空調システム

 冷房の利用などにより電力消費量が上昇する盛夏を迎えて,消費電力の低減,電力負荷の平準化,そして環境負荷の低減を目的とした各種蓄熱技術の開発にゼネコン・メーカー各社は熱い競争を繰り広げている。
 そのなかにあって,当社が5月に発表した「ハイブリッド躯体蓄冷熱空調システム」は,従来の空調システムに比べて,空調用運転費を約40%削減できるため,今後の普及が期待されている。



●蓄熱空調技術とは

 冷房の負荷は午後1時から4時の間にピークに達するため,通常の空調システムではそのピークに対応した熱源容量が必要となる。これに対し,蓄熱式空調システムは,夜間電力を利用して冷凍機により冷水や氷をつくり蓄熱槽に蓄え,昼間にはこの冷熱を利用して建物内の冷房を行うものである。従って,昼間は不足する分だけを冷凍機で追い掛け運転して補うことになる。このように昼間の空調時間帯につくる冷熱の半分程度を夜間につくるため,冷凍機容量を約1/2に縮小することが出来る。また安価な夜間電力(昼間の約1/5程度)を利用出来るため,運転コストが大幅に低減されることになる。
 最近では,蓄熱槽スペースの小さい氷蓄熱方式と,更に蓄熱槽を小さくすることができる躯体蓄冷熱方式が注目を浴びている。

システム比較

●躯体蓄冷熱の新発想

 躯体蓄冷熱空調システムは,水蓄熱・氷蓄熱と行った従来の蓄熱システムと併用されるものであるが,梁や床スラブ等の躯体をも蓄熱体として利用するため,水・氷蓄熱槽の要領を約半分に削減できるのである。従って,設備面で大幅なコストダウンを図ることができる。
 このように冷凍機を使用する躯体蓄冷熱システムをアクティブ方式という。これに対し,春や秋の比較的夜間の外気が低温となる時期に,ファンを用いず自然換気力で天井裏に導き,躯体に蓄冷熱する歩式をパッシブ方式と呼ぶ。この度当社が開発したのが,この2方式を時期によって使い分ける「ハイブリッド躯体蓄冷熱システム」である。
 このシステムに,当社の既存技術である氷蓄熱空調システム「フラッシュフリーズシステム」を「併用し,更にこの氷蓄熱で得られる低温冷水と低温冷風を利用する「大温度差空調システム」を二次側設備として採用することによって,空調運転用電力料を40%削減(対非蓄熱セントラル空調システム)することが可能になる。

ビルオペションドクター
大温度差空調システム
ハイブリッド躯体蓄冷熱
●システムを最適に制御する

 この複合システムを効率よく制御するのがビル管理システムの「ビルオペレーションドクター」である。このシステムにより,「ハイブリッド躯体蓄冷熱システム」についてはアクティブ・パッシブの切り替え判断を行い,更に「大温度差空調システム」については水量・風量を最適な状態に制御することが出来るのである。

 こうした当社の開発した独自技術を結集することにより、「ベストミックス蓄熱空調システム」の構築が可能となったのである。