鎌倉に程近い,青い海と緑豊かな山々に囲まれた,神奈川県三浦郡葉山町――。当社の研究施設「葉山水域環境研究室」は,相模湾に面した風光明媚な地にある。1984年の設立(当時,葉山水産研究室)以来,恵まれた立地環境を最大限に利用し,水域環境の保全・再生・調和にかかわる研究,技術開発に取り組んでいる。
当研究室では,国際協力事業団(JICA)が招聘する,開発途上国の水産技術者を対象とした研修生の受入れを毎年行っている。これまでに蓄積した多くの研究成果を広く世界へ紹介し,水産増養殖技術の発展に貢献することを目的としたものだ。今年のJICA集団研修は,5月12日から16日迄の5日間,アルゼンチン・キューバ・メキシコ・フィリピン・タイの計5カ国,6名の研修生が参加して行われた。
「持続的増養殖開発コース」と称したこの研修は,魚の増殖・養殖の技術習得と共に,自国養殖業の開発戦略と環境に配慮した持続的な増養殖業の発展に寄与できる人材育成を目的としている。当社研究室での研修では,餌料生物の培養実習をメインとしたプログラムが実施された。
研修生たちは当社研究員の指導のもと,様々な環境下で餌料となるプランクトンを培養し,増殖のメカニズムや水質汚染の要因などを学んだり,プランクトンの単離および無菌状態の保存技術などを実習した。一方,生物共生 護岸の創造に活用されているウェットコンクリートについての講義も行われ,水辺の動植物とコンクリート構造物との深いかかわりについて,研修生と講師との間で活発なディスカッションが行われた。
1997年にスタートしたJICA集団研修の受入れは今年で6回を迎え,世界52カ国,延べ50名以上の研修生が当研究室で実習を終え,自国の水産研究機関などで活躍している。今後も当研究室は,国際社会への貢献の場として,積極的に活動協力を行っていく。
|