テクノプラザ: 居ながら免震レトロフィット
              〜鹿島テラハウス南長崎4号棟免震改修工事

 今月のテクノプラザでは、既存建物の耐震改修として「居ながら免震レトロフィット」を紹介する。十分な耐震性を有していない既存の建物に免震装置を取り付け、大地震がきても安全な建物に改修する工事を、引越しを伴わずに、普段通り生活したままで行う技術である。




免震改修後のテラハウス南長崎4号棟

免震改修前のテラハウス南長崎4号棟


●日本で初めて集合住宅に適用
 一般に、建物を補強する場合、建物内部の柱を補強したり、耐震壁を増設するなどの方法がとられる。しかし、この工法では室内空間が減少したり、窓が縮小して部屋が暗くなり、風通しも悪くなることが少なくない。また、工事期間中は、仮移転などによる部屋の明渡しが必要であり、工事に伴う騒音、振動、塵埃などが発生する。これらの問題は、建物が住宅の場合には、住み慣れた居住者の生活に大きな影響を与える。

 しかし、免震レトロフィット工法によれば、こうした問題が一挙に解決できる。当社は、社有施設である「鹿島テラハウス南長崎4号棟」社宅に、本工法を日本で初めて適用し、耐震改修促進法に基づく計画の認定を取得して実施した。


●引越し不要の居ながら工事
 免震レトロフィット工法とは、免震装置を既存建物の基礎部や下層階に組込み、地盤を伝わってくる激しい地震を上手にかわし、免震装置で支えられた上部建物の揺れを緩やかにさせるものである。これにより本社宅の場合、地震力は1/4〜1/8程度に低減され、安全性、安心感、財産の保全が得られる。そのうえ、居住階の補強は必要ないので、居住者が生活したままで工事が可能である。このため、常に居住者が生活している集合住宅の補強工事には、最適な工法といえるのである。


●合計18基の免震装置を設置
 免震レトロフィット工法の施工手順は、まず免震装置設置部周りを補強し、工事中に地震が発生した場合に備えて、仮設の耐震プレ−トやブレ−スを設置する。既存の柱をジャッキを用いて仮受けし、その後、柱を途中で切断して免震装置を組み込む。鹿島テラハウス南長崎4号棟の場合、これまで倉庫として利用していた1階部分の柱に合計18基の免震装置を、また、更新した外部鉄骨階段には滑り支承2基を設置した。


免震装置は
合計18基設置している

外部鉄骨階段の部分には
滑り支承2基を設置