テクノプラザ: 常に新鮮な空気を坑内に
              〜山岳トンネル現場の換気技術

 トンネル工事の作業空間は狭く、掘削距離が長くなればなるほど風通しが悪くなる。今回は、山岳トンネルにおける換気技術を紹介する。



●強制換気で坑内の空気を浄化
 山岳トンネルの施工では、発破や掘削機などで岩盤を切り崩して掘削する。その際に粉塵が発生し、壁面に吹き付けるコンクリートの粒子が坑内を舞う。特に、切羽付近は風通しが悪く空気が汚れやすい。強制換気が不可欠である。


●2系統の換気システムをインバータで
 通常、山岳トンネルの現場では、坑外に設けた換気ファンにより、新鮮な空気を風管を通して切羽部に送気する集中送気方式を採用している。清水沢トンネル(宮城県塩竈市〜宮城郡利府町)は、全長1,107m、掘削断面積約81m2のトンネルである。ここでは、2系統の強制換気システムを採用している。坑外から新鮮な空気を取り込んで切羽近くに送風するのが第1系統。切羽近くの汚れた空気を吸気し、集塵機を通して浄化し、集塵機から約70m後方の坑内で坑口に向けて排気するのが第2系統である。これにより、集塵機を通して浄化された空気が送風されるため、坑内のどこでもきれいな空気にすることができた。

 本システムは、ダストセンサが多数の粉塵を感知すると出力が上がり、粉塵が少なくなると出力が下がるインバータ制御により効果的・効率的な運転を行っている。



坑口から新鮮な空気を吸い込む

切羽近くの汚れた空気を吸って集塵機(左のトラックの荷台の上)へ

切羽に新鮮な空気を送る