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![]() 「フレッシュコンクリートの達人」 技術研究所 土木技術研究部 坂田 昇さん |
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![]() 坂田さんは1985年の入社時から高流動コンクリートの開発を担当した。最初はひとり孤独に研究を重ねる毎日だったという。それから9年間,開発に尽力した。「やっと芽が出始めたのが研究から5年目の頃。材料が分離しないよう,また流動性が安定するよう“粘り気”に注目しました。増粘剤探しに格闘しましたね」絵具や化粧品,ソフトクリームなどに粘り気を与えるあらゆる増粘剤を試験したという。そして,遂に捜し求めていた増粘剤とめぐりあう。「石油を掘る際,摩擦を低減するために使用する増粘剤が,極めて少量で期待以上に効果を発揮しました。9年間の研究生活の中で一番うれしかった瞬間です」坂田さんが開発した高流動コンクリートは“New value/Non-vibration/Non-void(ニューバリュー ノンバイブレーション ノンボイド)”の頭文字をとって『NVコンクリート』と命名された。従来のコンクリートの常識を打破した,横流し可能,バイブレーターによる締固め不要のコンクリートの誕生だ。 |
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![]() 坂田さんはこの現場で,NVコンクリートをはじめダム全体に使用される硬練りのものまで,コンクリート全般の施工管理を行った。「私はコンクリートを生き物として扱っています。そして,我々技術者はその医者のようなものなのです。高価な薬を投与しても,本人に合わなければ意味がないでしょう。コンクリートも同じです。構造物の形状や立地条件,鉄筋量,施工時期など,あらゆる条件を考えて配合してあげないといけない。いくら実験室で良質な製品をつくっても,現場で同じものを安定してつくれないとだめなんです。私がつくるフレッシュコンクリートは,どんな条件下でもタフでいてくれます」と思いを語る。 今後,坂田さんは,フレッシュコンクリートだけでなく硬化後のコンクリートの耐久性についても研究していきたいという。コンクリートの一生涯をケアしてくれる頼もしい達人だ。 |
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