テクノプラザ:
知能を持つ道路インフラの構築 〜ITSへの取り組み
次世代の道路交通システムとしてITSが注目を集めている。ITSとは,情報化により知能を持った道路や車で構成される高付加価値型の交通インフラである。今月はITSに対する当社の取り組みについて紹介する。
ITS:Intelligent Transport Systems(高度道路交通システム)

ITSとは,以下のシステムを中心に統合された次世代の道路インフラをいう。
@道路交通情報通信システム(VICS)※1
A自動料金収受システム(ETC)※2
B走行支援道路システム(AHS)※3
当社はこのほど開発したITS道路計画支援システム「REST」(後述)を以って,ゼネコンとして初めてITS分野に参入した。
ITSの関連プロジェクトに対して,当社では1994年に基礎的研究に着手した。1996年からは,ITS対応型道路の計画,設計,施工に関する研究を始め,ITS事業の建設関連の総合的な技術開発に取組んでいる。
RESTによるETC対応料金所イメージ図
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ITS道路計画支援システム「Rest=Realistic Evaluation System of Transportation」は,車の流れをコンピュータ上で再現するシミュレーションシステムである。車の長さ,幅や速度などのデータに基づき,料金所や合流地点での車の流れを実挙動に近い動画で再現して,交通渋滞が起き易い場所などを予測する。本システムは,ETC対応型インターチェンジやランプ,サービスエリアやパーキングエリア,駅前広場などの計画に威力を発揮する。これにより,従来のシステムでは困難だった図面や地図上での交通現象の評価や車の交錯現象の再現が可能になった。
従来の一般的なインターチェンジ(トランペット型) 広大な敷地を必要とする
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ETC対応のインターチェンジ(変形ダイヤモンド型) 従来の敷地に比べ3分の1程度の用地で建設可能
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今後当社では,ITS仕様の道路インフラ建設の技術開発にさらに力を入れ,ハード・ソフトの両面から様々な企画や技術提案を行っていく。
RESTによる料金所交通流シミュレーションの例 |
※1 VICS=Vehicle Information and Communication System
VICSとは,交通渋滞をはじめとする道路情報を,カーナビゲーション・システムにリアルタイムに提供するシステム。
※2 ETC=Electronic Toll Collection System
料金所で一旦停車せずに通行料を自動で徴収するのがETC。利用区間を車載機から発信しゲートのセンサーが瞬時に読みとって,利用者のICカードに課金する。
※3 AHS=Advanced cruise-assist Highway System
道路上の障害物などの情報を,車に搭載されたカーナビに提供し,状況を判断して車を誘導するシステム。
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