KAJIMAエコプラザ


KAJIMA ECO PLAZA

「疑わしきもの」を環境へ放出しない
空気中や水の中には様々な物質が含まれています。目に見えないこれらの物質の中には,我々に良い影響を与えないものも多くあるといえるでしょう。今月のエコプラザは生産施設から出される排水・排気からそうした物質を除去する当社の取組みをご紹介します。

生産施設の排水・排気のエンジニアリング
 工場や研究所などの生産施設からは,事業活動に伴って使用した材料,生成物,溶媒などに由来する様々な物質を含む排水や排気が発生しています。環境中に出される排水や排気に対しては法律や条例により規制が設けられているため,通常,規制値をクリアするように処理してから排出されていますが,現在,健康保護の観点から法律で規制されているのは比較的有害性の高い約30種類の物質であり,必ずしも全ての物質が排水や排気から除去されているわけではありません。
 しかし,規制物質以外は野放しにされているわけではなく,国や自治体により有害性が疑われる物質に対する環境モニタリングやリスク評価が継続的に行われています。また1999年にはPRTR法が制定され,354種類もの物質を対象として,多様な発生源から環境へ排出された量を把握する試みも始まりました。
 同時にこれら様々な物質を扱う企業においても,単に規制値をクリアするだけではなく,未規制の物質であっても「疑わしきもの」は自主的に環境中への排出量を削減するために,使用する物質自体を見直したり,処理設備を設けたりする動きが加速しています。
 このような状況のなか当社では,未規制の物質等を含んだ生産施設の排水・排気処理のエンジニアリングを行い,実績を積み重ねています。 
 例えばある研究所では,将来,感染性の懸念される多量排水に対し,安全・確実に不活性化できる方式を選定し,かつ消費するエネルギーを最小限に留めるシステムを構築してこれを納入しました。
 また,ある工場では,使用した高濃度のホルムアルデヒドを常温で短時間に酸化分解させる方式を選定し,実証試験を行っています。多量な燃料を消費してホルムアルデヒドを燃焼させる従来の処理方式に比べ,イニシャル・ランニング共に大幅なコストダウンになると期待されます。
 今後も当社はこうしたお客様のニーズに応えるべく,法的規制物質はもちろんのこと,規制物質以外の「疑わしきもの」を除去するエンジニアリングも提供していきます。
高濃度ホルムアルデヒド処理実験
高濃度ホルムアルデヒド処理実験(協力:テクノ菱和)

滅菌処理施設
当社が施工した研究所における多量排水の滅菌処理施設

PRTR法とは

「特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善に関する法律」有害性の恐れのある化学物質が,どのような発生源からどの程度環境中に排出されたか,あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかを把握し,集計して公表する制度を核とする法律。2001年度から排出量の集計が開始されたばかりです。