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生まれ変わる東京駅八重洲口 東京駅八重洲口開発計画北ビルI 期新築工事 東京駅八重洲口開発計画南棟新築工事 |
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東京都千代田区で進められている「東京駅八重洲口開発事業」。 当社JVは,このうち南北の超高層タワー,北ビルのグラントウキョウ ノースタワー(I期)と南棟のグラントウキョウ サウスタワーを建設中である。 美しいガラスカーテンウォールをまとった地上200mを超える2つのタワー。 北ビルは2006年12月18日に,続いて南棟は2007年2月7日に上棟式が行われた。 現在,両棟合わせて作業員が約1,800人。急ピッチで施工が進む大規模現場を訪ねた。 |
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工事概要
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東京駅八重洲口開発計画北ビルI期新築工事
場所:東京都千代田区/事業者:東日本旅客鉄道,三井不動産/設計・監理:東京駅八重洲口開発計画設計共同企業体(日建設計,ジェイアール東日本建築設計事務所)/デサインアーキテクト:マーフィ/ヤーン,Inc./規模:S・SRC造一部RC造 B4,43F,PH2F 高さ205m 延べ171,768m2/工期:2004年8月〜2007年10月(東京建築支店JV施工) 東京駅八重洲口開発計画南棟新築工事 場所:東京都千代田区/事業者:東日本旅客鉄道,鹿島八重洲開発,新日本石油/設計・監理:ジェイアール東日本建築設計事務所/デサインアーキテクト:マーフィ/ヤーン,Inc./規模:S・SRC造 B4,42F,PH1F 高さ205m 延べ140,168m2/工期:2004年8月〜2007年10月 (東京建築支店JV施工) |
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東京駅八重洲口 八重洲は,当社が1929年から約40年間本社を置いた,鹿島ゆかりの地である。社屋完成当時の八重洲口は,本社ビルと東京駅八重洲口の間に外濠があり,小さい改札口があったと社史に残っている。現在は,その旧本社ビル跡地に当社グループ会社の八重洲ブックセンターが建つ。 東京駅の駅舎は1914年に完成。1929年に,八重洲口が開設され,1954年に鉄道会館が完成。百貨店・大丸東京店が営業を開始し,八重洲のランドマークになった。 東京駅に降り立つ。八重洲地下街を歩きながら,ヤン・ヨーステン像を見つけた。その像は江戸時代,いまの東京駅付近にオランダの貿易商ヤン・ヨーステンが屋敷を構えたことが,八重洲(ヤヨース)の語源になったと伝える。 地上に出ると,八重洲口一帯が白い仮囲いで覆われていて,その開発規模の大きさを感じた。 |
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八重洲口に日本最大級のツインタワー 2004年9月に着工した東京駅八重洲口開発事業は,東日本旅客鉄道,三井不動産,鹿島八重洲開発(当社・子会社),国際観光会館,新日本石油の5社が事業主となる大規模な開発事業である。この事業は,東京駅八重洲口の業務・商業機能および交流機能を充実させるもので,南北に高層タワーを配し,それを繋ぐ中央部で構成。両タワーは,現在,建設最盛期を迎えている。完成すると,日本最大級のツインタワーとなり,八重洲口の景観は一新する。 |
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厳しい制約下での24時間施工![]() 現場の3階フロアから東京駅側を覗くと,新幹線が目の前に見えた。手を伸ばせば届きそうな距離に驚かされる。 「敷地の狭さゆえの苦労があります。特に北ビルは,東海道新幹線の高架橋からわずか2mしか離れていません。工事の影響で,数ミリでも高架橋にずれを生じさせないために,山留に地下50m,厚さ1.2m,延長76mの連壁を構築しました」。現場を案内してくれた梶山秀義企画調整グループ課長の話である。 日中は,東海道新幹線の運転,八重洲地下街の営業に支障が出てはいけない。夜間はJR乗務員の休憩室や仮眠室,南棟に隣接するビル内のホテルへの騒音・振動にも気を遣う。 また,北ビル敷地内に1日6万人が利用する東京駅八重洲口から外堀通りに抜ける地上と地下の歩行者通路の確保が必要で,通路は工期中,合計8回移設する。移設は終電から始発電車が発車するまでのわずかな時間で行わなければならない。 「関係各所と協議を重ね,近隣にも工程にも支障が出ないよう,調整を図っています。現場は毎日,緊張の連続です」と梶山課長は語る。幾重にも重なる制約を,ひとつひとつ地道にクリアして工事が進む。昼夜問わずの難作業を行う現場の方々に頭が下がる。 続いて着々と内装作業が進む北ビル19階のオフィスを見せてもらう。天井が高く,都内を一望できる素晴らしい景色に息をのんだ。制震装置や空調にも高い技術が取り入れられており,入居する人々が安全・快適に働く姿が目に浮かぶ。 |
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南北共通した風通しのよい現場づくり![]() 現在,北ビルのJV社員は41名,南棟は28名の大規模現場である。JV社員で南北の現場を兼務する工務,設備,土木,安全,機電,事務からなるコアチームを結成。意志疎通を図ることで,両現場は,安全管理・工程管理・品質管理とも高いレベルで統一されている。 両現場の事務を司る菅澤剛事務長は「大人数の現場ですので,情報伝達が難しい面があります。これはお互い遺漏がないよう心がけています。また,地元とのお付き合いを大切にし,相互幇助すること。これが現場業務を円滑にしています」と語る。 この現場では,ITソリューション部と協力のうえ,南北の現場と現場から少し離れた場所に位置する現場事務所内での通信を確保するため,最大800台を想定したウィルコム社のPHSシステムを導入した。通常,超高層ビルの施工で電波が届きにくい高層階でもクリアな通信を実現し,常にJV社員と全職長が連絡を取れる環境を整えている。構内だけでなく外部にも電話がかけられることに加え,同社の端末同士の通話は無料であることからJVの負担も軽くなり協力会社からも好評だ。 事業者をはじめとする,近隣,関係者への配慮,一方で,きめこまやかな社内外のコミュニケーション,効果的な人員の配置,それを支える現場インフラ。これらは,辰田潤総合所長と,南棟新築工事事務所長をつとめる穂戸田肇所長が共通に掲げている「現場運営方針」(図1)が,現場全体に浸透した結果なのであろう。 南北のタワーが完成するのは2007年の10月。東京駅八重洲口が生まれ変わる日,この現場に携わった全ての人々の笑顔が見られる日を楽しみに待ちたい。 |
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現場運営方針 所長スローガン 1 各人が当事者意識を持ち,上下の「報・連・相」を徹底しよう! 2 死亡・重篤災害の芽を早期に摘み取ろう!近道行為・イレギュラー作業の絶対禁止!! 「決めたルールは全員で守り,守らせる。Domo(どーも)で相互に注意喚呼!」 |
図1 ※Domoとは,声に出して互いに注意喚起を行う運動。「どーも(ありがとう)」 |
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東京駅八重洲口開発JV 辰田 潤 総合所長兼北ビルI期新築工事所長 穂戸田 肇 南棟新築工事所長 |
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―工事を指揮することに決まったときのお気持ちはいかがでしたか 辰田:支店長から話をいただいて,これは大変なことになった,というのが偽らざる気持ちでした。でも,社内外に注目されていた工事ですから,奮い立ちましたね。 穂戸田:わたしは改めて丸の内側に行き,赤レンガの東京駅舎の背後に200mを超える超高層ビルが建った姿を想像して,「うん」という言葉が出たのを覚えています。今,実際に建っているのを見ると不思議な気持ちです。 ―工事にはさまざまな制約があり,ご苦労も多いようですが 辰田:先日,中村社長に「東京,いや日本でいちばん難しい工事なのでは」という言葉をかけていただきました。QCDSE(品質・コスト・工期・安全・環境),すべてが厳しい中で,いかに安全に円滑に現場を動かすかということに尽きる。時間,音,場所の制約があるうえに短工期ですから。24時間現場は稼働しています。 穂戸田:北ビル・南棟とも地下埋設物に悩まされました。特に南棟は敷地内に生きた中圧ガス管が埋設されていたため,ガス管の移設切替えを行いながら,その至近距離でSMW山留壁の構築,掘削,カルバート設置等を進めざるを得ませんでした。2005年度末に移設が完了し,ガス管が場外に出たときは心底ホッとしましたね。生涯忘れられない工事になると思います。 ―南棟の地下からお濠の石もでてきたとか 辰田:ひとつひとつの石がとても大きい石積でした。さすが江戸城の外濠ですね。遺跡なので,千代田区教育委員会に報告しました。是非見学会を開いて欲しいとの要望があり,一般向けに半日だけの見学会を開きました。なんと1,000人もが見にこられ,遺跡に対する関心の高さにも驚きました。 ―これだけ大きい現場の運営はさぞ大変だと思いますが 辰田:この現場では「八重洲会」という組織があります。職長会とは異なる第一次協力会社とJVで構成される組織で,この貢献は大きい。毎月の安全大会の運営や安全パトロールの実施等のほか,八重洲会自らがホームページを立ち上げ,新規入場会社の指導や現場の連絡・情報・予定を公開しています。JVからの要望を踏まえ,協力会社の代表という立場から職長会を指導することもあります。JVは職長会の要望を八重洲会を交えて,迅速に解決しています。八重洲会の活動は,まさに現場のパイプ役,潤滑油となって機能しています。 穂戸田:よいものは取り込みあって,水平展開するようにしています。先日も,南棟では「こえ(声)かけ隊」が職長会によって結成されました。所長スローガンにある「Domo(どーも)」運動を推進するのです。お互い,声を出し合うことでコミュニケーションを図り,より風通しのよい現場づくりに役立っていると思います。 辰田:北ビルでも早速取り入れました。現在,南北の八重洲会の職長同士でお互いの現場パトロールも実施しています。 ―竣工まであと8ヵ月ですね 辰田:今年から新たに「プロ意識を持て」という所長スローガンを加えました。工事に携わる誰もがプロ。それぞれがプロとして,いま直面している問題に当事者意識を持って当たって欲しいと思います。 穂戸田:私も常日頃,相手の目線で物事を考えて欲しいといっています。現場は和が大切です。常に相手を慮る気持ちを持つことが和を生み,相手を理解することになり,相互の信頼感,連帯感に繋がるのだと思っています。 辰田:現場は明るくなくてはいけません。明るい現場とは,上の考えが下まで浸透し,なおかつ下の悩みが上まで聞こえてくる現場です。また,厳しければ厳しいほど達成感もあります。首都東京の玄関口を施工しているプライドを持って,完成したら所長以下全員が「俺がつくったんだ!」と胸を張って言える現場にしたいですね。 |
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