極める

木ノ川高架橋の完成予想図
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山村正人
「橋梁設計の達人」

土木設計本部 プロジェクト設計部
山村正人さん

1. 橋長268m,4径間複合トラス橋となる木ノ川高架橋の完成予想図
2. 山村氏は技術開発リーダーとして,トラス格点構造も開発した(実験の様子)
3. 奈良県大滝ダムに建設した白屋橋工事(1992年竣工)では施工管理を担当した

 交通の用途に供される橋梁は,公共事業で建設されることが多く,設計をコンサルタント会社,施工を建設会社が請け負う場合が多い。そうしたなか,当社の土木設計本部が担う役割とはどのようなものであろうか。
 山村氏は,当社の土木設計本部の業務について,次のように説明する。「分かりやすく言えば,施工条件,架設方法をとりこんだ設計検討を行っています。施工途中の橋梁は,構造が段階毎に変化していきます。これを安全で合理的に施工するための架設計画を,設計的な観点から検討する必要があります。当然,完成した際の品質を確保するための設計検討もあわせて行います。最先端の技術を使って実際の橋梁構造物を実現していくための技術開発を行うことも重要な業務の一つです」
 山村氏は,1979年に入社してから,土木設計本部第二設計部(当時)で橋梁に関する様々な設計技術を学んできた。自らも現場で施工管理に携わり,施工に関する技術を磨いた。現在では,土木設計本部で担当する様々な橋梁の設計プロジェクトの責任者を務める立場にある。
 橋梁の詳細設計,あるいは施工時検討について同氏は,「受注後に現場担当者が施工計画を立てるのと並行して行います。規模にもよりますが,1プロジェクト数人のチームで担当し,設計者は自らが担当した現場に赴任するケースも多いです。現場では,設計を反映した施工管理を行うとともに,施工上のノウハウを設計にもフィードバックする体制をとっています」と語る。
 こうした状況において,公共工事でもゼネコンの持っている設計力を活用する動きが出てきた。一昨年,国土交通省近畿地方整備局が発注した那智勝浦道路木ノ川高架橋工事(和歌山県新宮市)では,設計・施工一括発注方式という新しい発注方法で入札が行われた。施工者は橋梁の位置や計画高といった基本条件が与えられるだけで,橋梁の形式や径間割りなどを自由に提案し,さらに実施設計も行うというものだった。
実験の様子
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施工管理を担当した白屋橋工事(1992年竣工)
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 山村氏は,このプロジェクトの設計チームのリーダーとして「鋼・コンクリート複合トラス橋」という国内では初めての橋梁形式を提案した。「この橋桁は,コンクリート床版に鋼トラス材を組み込んだ構造となっており,トラスと床版のつなぎ目となる格点構造は,当社が独自に開発しました。10社が競合するなか,新しい構造形式の提案で受注できたのは,当社の案が技術,コストの両方で他の案を凌いだからです」
 また,同氏はゼネコンが最初の設計段階から参加することで,施工性に優れたより合理的・経済的な設計となることを指摘する。「こうした発注方式では,各社の設計力が問われます。当社の高い技術力を発揮する場が増えることは技術者としてもやりがいのあることです」。当社にとっても優位性を発揮できる公共工事の新しい発注の試み。当社の橋梁設計を担う山村氏のますますの活躍を期待したい。