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 汐留に新名所「旧新橋停車場」がオープン
〜史跡の保存と活用〜


 現在,大規模な再開発が進む東京・汐留地区。この一角に,1872(明治5)年,日本で最初に開業した鉄道ターミナル新橋停車場の駅舎が,当時と同じ場所に再現され,「旧新橋停車場」として4月10日にオープンした。施設内は「鉄道歴史資料室」とレストラン「グランカフェ新橋ミクニ」が設けられ,たくさんの見物客で賑わいをみせている。
 汐留地区では,再開発に先立ち埋蔵文化財の発掘調査が行われた際,新橋停車場の基礎やプラットフォームの遺構が発見され,史跡「旧新橋停車場跡」と国の指定を受けた。そこで,この史跡を保存しつつ,目に見える形で後世に伝えるため,当時と同じ場所に駅舎を再現することになったものである。
 駅舎は,開業当初の外観を再現することに重点を置きながらも,国宝や重要文化財の建物復元とは異なり,建築基準法に則り造られた。駅舎の外観に使用した材料などは,当時の文献や錦絵などを参考にしながら,現在入手可能で,建材に用いられているものから選定している。内部は,防災対策やバリアフリーなど,建物の性能を重視し,現代的なデザインが施された。
 また,史跡は駅舎の真下に良好な状態で保存されており,来訪者は各所に設けられた見学窓から,駅舎基礎石積み,プラットフォーム石積みなどを見学できるようになっている。
 外には,駅舎に続く石積みのプラットフォームが再現され,レールも敷設された。レールの起点には鉄道発祥の証である「0哩(ゼロマイル)標識」と車止めも復元されている。
 こうして,開業した「旧新橋停車場」は,明治時代のレトロな空気を漂わせ,訪れた人々をほっと和ませる,憩いのスポットとなっている。
「旧新橋停車場」正面入口。レトロな駅舎と近未来的な建築物とのコントラストがおもしろい
再現されたプラットホームと敷設されたレール 開業当時の絵や制服のレプリカなどが展示
足元のガラス窓から史跡を見学する人々
工事概要
工事概要
旧新橋停車場復元駅舎新築工事

場所:東京都港区東新橋1丁目
発注者:東日本旅客鉄道
設計者:日本設計,ジェイアール東日本建築設計事務所
規模:RC造一部S造 地上2階 延べ1,351m2
工期:2001年12月〜2003年3月
(東京支店JV施工)
旧新橋停車場