検索
クリーンルーム  
北京オリンピックの開催や地上デジタルテレビジョン放送への移行により,
家電業界ではデジタルハイビジョンテレビやブルーレイディスクなどの販売競争が激化しています。
今月は,高品質なデジタル家電をつくる鍵を握る「クリーンルーム」を“検索”。
当社の電子デバイスチームの皆さんに説明してもらいました。
「クリーン生産環境研究施設」での実験風景。施設のサイズや性能を可変とした多目的対応型の設備と施設を管理・運営する監視制御技術を完備私たちの生活を支えているクリーンルーム
 クリーンルームをご存知ですか?簡単に説明すると,高度な防塵設備を施して,空気中の塵埃(じんあい)を大幅に低減した空間のことを言います。名称のごとく“空気のきれいな部屋”のことですね。
 クリーンルームでは,私たちの生活の身近にある様々な工業製品をはじめ,医薬品や加工食品,化粧品などが製造されます。また,感染症予防を目的に手術室へも導入されているほか,遺伝子組換えなどの実験施設などにも使われています。
 このように,クリーンルームは様々な用途があるため,使用目的によって構造や清浄度のレベルも異なります。ここでは,最もクリーンな空間が求められる電子デバイス生産施設のクリーンルームについて紹介しましょう。

宇宙空間に匹敵する究極のクリーン空間
 液晶テレビやプラズマテレビ,DVDハードディスクプレイヤー,今話題のブルーレイディスク・・・。こうしたデジタル家電には,数十から数百の半導体や,液晶などの表示装置が組み込まれています。「電子デバイス」と呼ばれるこれらの部品は非常に繊細で,空気中に少しでも塵や埃,分子汚染物質が存在すると,製品に悪影響を及ぼし不良品が発生してしまいます。そこで必要とされるのがクリーンルームです。
 クリーンルームの清浄度は規格化されています。「ISOクラス1」と呼ばれる最もクリーンな環境は,「1m3の空間に0.1μm(マイクロメートル)(1μmは1000分の1mm)の粒子が10個以下」というレベルで,宇宙空間に匹敵する程のクリーンな空間です。半導体やフラットパネルディスプレイなどの製造施設では,このようなクリーンな環境が求められる場合があります。
 クリーンルームを建設するには,塵埃を<持ち込まない><発生させない><堆積させない><速やかに排除する>ことが必要です。建築計画では,気密性の高い室内の構築,塵埃の進入・飛散を防ぐ動線計画,堆積しにくい内部構造などが求められます。
 空調設備においては,高性能フィルタによる塵埃除去,塵埃の進入を防ぐ室内圧の制御,堆積を防ぐ気流制御,製造に適した温湿度の制御など,高度な設備が必要です。そのほか,精密な加工作業の妨げとなる微振動を制御することも重要です。
「クリーンル−ム」基礎知識
電子部品を搭載した工業製品(液晶テレビやプラズマテレビ,DVDハードディスクプレイヤー,パソコン,携帯電話,DVDやCD,携帯音楽プレイヤーetc),医薬品,加工食品,化粧品etcを製造するところです。 クリーンルームの空気のきれいさは「清浄度」または「クリーン度」という言葉で表現されます。1999年に国際規格ISO14644-1が制定されました。半導体製造のクリーンルームでは,クラス3以上,宇宙空間と同等の清浄度が求められます。

電子デバイス生産施設建設への取組み
 当社では,建築管理本部電子デバイス推進室を核に,建築設計本部,技術研究所,エンジニアリング本部,営業本部など部署を横断したチームを結成し,クリーンルーム関連の技術開発,それらを活かした工場建設に取り組んでいます。最新機能を搭載した高品質な製品を,より早く,より安く消費者へ提供するためには,生産施設にも進化が必要です。当社では,例えば基盤の大型化に伴う工場の大規模化への対応として,クリーンルームの高清浄域の局所化や低風量気流制御による無駄のない生産環境を構築し,コストダウンを図る技術開発に取り組んでいます。そのほか,製造ラインの早期立上げを目指した短工期化,省エネルギーとCO2排出量削減への対応など,各方面からクリーンルームの研究開発を行っています。
 その一環としてこの度,技術研究所(東京都調布市)内に「クリーン生産環境研究施設」を完成させました。本施設では,次世代に対応する各種技術開発の研究を行うほか,クリーンルームの実証実験を行うことが可能です。総合的なシミュレーション(模擬実験)を行うことで,お客様へ今まで以上に高品質で低コストの生産環境を提供できるようになりました。今後は,お客様との共同研究の場としても活用していきたいと考えています。
 デジタル家電市場は,日々刻々と変化しています。私たち電子デバイスチームは,幅広い分野の専門知識と豊富な実績・技術を活かし,お客様からの要求に対し迅速で的確なソリューションを提供することを目指しています。

電子デバイス生産施設の顧客ニーズ
空気は高性能フィルタを介し天井面から吹き出し,床面で吸い込む方式。床下に設備機器を設置。空気の循環は良いが,大掛かりな建築・設備が必要でコストがかかる  設備機器をすべて地上に設置。クリーンルーム自体は大型化するが,施設全体としては縮小化。高清浄エリアを局所化することで無駄のないシステムが構築できコスト削減,省エネルギー化も図れる
電子デバイスはスピードが命
電子デバイスチームは,各関連部署から総勢50人を超える多彩な人材が集まり,日々進化する業界のスピードに対応するため,積極的な技術開発,それらを活かした工場建設に取り組んでいる。クリーンルーム担当チームは,電子デバイス推進室長の小保方さんが社内外のパイプ役となり,建築設計の本山さん,設備設計の市野さん,技術研究所の塩谷さんは日々技術開発に奮闘中だ。

左から技術研究所・建築環境グループ長 塩谷正樹建築設計本部・設備設計グループリーダー 市野雅之建築管理本部・電子デバイス推進室長 小保方一哉建築設計本部・建築設計グループリーダー 本山浩司 お客様が建物に求める品質は,製造に最適な環境です。その環境はお客様が激しい市場競争を制するために取り組まれている技術革新により常に変化しています。この変化が建物に求める問い掛けに対し,社内外への回答が常に用意されている部署を目指しています」(小保方さん)

 「最先端の産業分野に関わり,最高水準の研究施設で最新の研究開発ができることに大きなやりがいを感じます。蓄積してきた研究成果や技術をさらに展開し,お客様の求める高度なニーズに応えたい」(塩谷さん)

 「最先端の技術をかたちにするには,その技術をつくるフィールドが必要です。我々ゼネコンは,そのフィールドを提供するのが役目。<クリーン生産環境研究施設>は,単なる技術開発の場ではなく,最先端のフィールドには何が必要かを追い求める場所です。世界を相手に戦っている企業に応えられる技術を提供したい」(本山さん)

 「クリーン製造環境の高品質化,低コスト化や短工期,BCPなど多様な顧客ニーズへの対応が求められています。設計・施工技術はもとより,生産ラインや製造プロセスへの理解,環境やエネルギーマネジメントなど,部署を横断したグループで取り組んでいます」(市野さん)