話題の竣工プロジェクト:
  市民に親しまれる開かれた市場へ
           大阪市中央卸売市場本場 市場棟第2期

 大阪市中央卸売市場本場は,1961(昭和36)年に開設されて以来,西日本の中核市場として生鮮食料品の安定供給に重要な役割を果たしてきた。しかし,施設の老朽化・過密化が進行し,89年より1期〜4期にわけて全面的な建替え事業が実施されている。96年12月より工事が行われていた市場棟第2期棟が,この3月に完成した。今回の話題の竣工プロジェクトでは,21世紀に向けて新たな流通環境に対応できる施設に生まれ変わった,大阪市中央卸売市場本場市場棟第2期を紹介する。


大阪市中央卸売市場本場市場棟
大阪市中央卸売市場本場市場棟 市場棟(中央手前側が第2期)

 市場棟第2期は1期同様,市場棟としては全国で初めての地上5階建の重層構造を採用し,限られた都心の敷地の有効利用を図っている。1階には水産関係,3階には野菜関係の卸売場・仲卸店舗・買出人用駐車場が効率よく配置され,2階・4階は仲卸業者の事務所となっている。事務所前の廊下は見学者通路として開放され,下階で行われている競り売りの様子を安全な位置から見学できる。

卸売場
明るく衛生的な卸売場
 2階の見学者通路は車椅子でも通行可能なバリアフリー

 また,5階部分は約500台収容可能の駐車場・倉庫加工場・機械室が配置され,福利厚生施設の体育館も備えている。その他,低温卸売場・冷蔵庫設備・加工施設などの機能充実とともに,ごみ処理分別収集システムを採用し,クリーンな市場づくりを目指している。
 大阪市中央卸売市場本場は,本場開設70周年を迎える2002年に,残す市場棟第3期,関連棟の工事を終え,全体完成を迎える。高度な市場機能を備えているだけでなく,多目的イベントスペース,料理講習会などに利用できる調理室,歴史的展示コーナーなどの施設も設けた,市民に開かれた市場になる。

中卸店舗
整然と立ち並ぶ中卸店舗
店舗間の通路も広くなり,台車の行き交いもスムーズになった

INFORMATION
●交通 
・ JR環状線 野田駅下車 徒歩12分
・ JR環状線 西九条駅下車 徒歩15分
・地下鉄千日前線 玉川駅下車 徒歩12分
●お問い合せ 社団法人大阪市中央卸売市場本場市場協会
〒553-0005 大阪市福島区野田1-1-86
TEL 06-6469-7850
●ホームページ
http://www.honjo-osaka.or.jp
*市場の仕組みや歴史,施設見学の申込方法など,様々な情報がいっぱいのページです

大阪市中央卸売市場本場 市場棟第2期
<工事概要>
場所 大阪市福島区野田1-1-86
発注者 大阪市
設計 大阪市,安井・大建・新日本設備設計共同企業体
規模 鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄骨造一部プレストレストコンクリート造
地上5階,塔屋1階 延べ72,416m2
工期 1996年12月〜1999年3月
施工 関西支店JV施工