極める

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「CGの達人」
ITソリューション部 エンジニアリングシステムグループ
笠原信一さん
笠原信一さん
  笠原さんとCGとの出会いは,今から25年ほど前の大学生の頃。ゼミの教授にCG発祥の地である米国ユタ大学で作られた1枚のワイングラスのCGを見せられたことに遡る。当時の日本ではコンピュータで描ける図形は,単純な線画だけであった。ガラスの透明感までが見事に表現されたその作品に衝撃を受け,「これは,建築を表現する画期的なツールになる!」と確信し,同時に「いつかはきっとCGを研究するぞ!という将来の強い憧れを見つけた瞬間でもあった」と笠原さんは語る。 25年ほど前にユタ大学で作成されたCG
1986年に実ジョブに適用したCG作品第1号   その後,笠原さんのCGの研究を進めたいという想いが通じ,入社6年目の1985年に米国ユタ大学にて本格的にCGを勉強する機会が与えられた。半年間という短い期間ではあったが,CGプログラムの骨格を作成した。帰国後,このプログラムを社内で実用化するために改良を重ね,翌年には実ジョブに適用したCG作品第1号が生まれた。建築素材の質感をリアルに表現したその作品は当時としては他社が真似のできない画期的な技術を活かしたものであった。この仕事がきかっけとなって,当社の建築分野にCG技術が普及していった。
SIGGRAPH'89入選作品  その後も笠原さんは研究に没頭し1986年,1989年にはCGの国際会議『SIGGRAPH』での入選を果たし,国際的にも技術力が評価された。その成果や実績は社内外で広く認められることとなり,1991年に当社は米国ユタ大学との間で本格的に建築CGに関する共同研究がスタートすることになった。その功績は建築CG制作ソフト『REALS』の開発や,日本と米国との遠隔地での協調作業(時差を利用し,24時間体制で短期間にCGを作成する)というような画期的な方法などが生まれたことに表れている。
 笠原さんは当社において,CG技術の第一人者であるのはもちろん,CGの普及やCGを活用したビジネスモデルの構築に尽力した人でもあるのだ。
 笠原さんに今後の展望を聞くと,「私のめざすCGは,設計者の描いた図面を第三者がいかに忠実に擬似体験できるかが重要で,自分の色を出すものではない」とCGに対する熱い想いとは裏腹にクールに自分の役割を分析する。今後,開発した『REALS』が世界中の建築家に利用されるようになるのが夢だとも語った笠原さんは,学生の頃の想いがそのままに活き活きとした目を輝かせていた・・・。
開閉するガラス屋根で有名な札幌メディアパークSPICA