テクノプラザ:
生ごみから電気ができる!? 
  〜高温メタン発酵処理システムと燃料電池発電の組合せ

 当社では,既に,微生物の力で生ごみからメタンガスを発生させ熱源等に転用させる高温メタン発酵処理システム(商品名メタクレス)を開発・商品化しています。今回は更に発展させ,この装置と市販の燃料電池発電設備とを一体化して,生ごみ処理から電気をつくる新システムを開発しました。



●ベストミックスのエネルギー再資源化システム

 今回開発した新システムは,非燃料方式ごみ処理で発生したバイオガスに65〜70%含まれるメタンガスから更に水素を取り出し,大気中の酸素と反応させて電気をつくるしくみです。生ごみを燃やさず処理するため,石油等化石燃料を消費せず,またダイオキシン等の有害物質も発生しません。燃料電池発電により発生する熱は給湯関係のコジェネレーションシステムにも展開できます。

高温メタン発酵菌
高温メタン発酵菌(電子顕微鏡写真)

燃料電池発電装置
東京イースト21(東京都江東区)に設置されていた
200kwリン酸型燃料電池発電装置

 今までの実験結果によると,1tの生ごみから約580kw/時の電力(効率40%)が得られます。これは一般家庭の2か月分の電力使用量に相当するものです。この新システムは廃棄物再資源化対策の一環として,また非燃焼方式のクリーンな発電技術として注目されています。
 本システムは,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の即効型提案公募事業にも採用され,今年7月には土木学会地球環境技術賞にも選ばれています。

●技術研究所の実証実験装置

フロー図
生ごみ処理と燃料電池設備発電のフロー
屋内装置
左からスラリータンク,生ごみ分別機,ガス精製塔,バイオリアクター
屋外装置
左から冷却塔,燃料電池
ガスホルダー
ガスホルダー
●容器リサイクル法完全実施を見越して

 2000年からの容器包装リサイクル法完全実施に伴い,プラスチックや紙等がリサイクル用に分別回収されます。そのため,事業系一般廃棄物や家庭ごみにおける生ごみの存在が一層顕在化すると言われています。当社ではNEDOからの委託により技術研究所内に本システムの実証試験設備を設置しました。実証試験の結果を基に,大量に生ごみ処理を必要とする食品工場や大型商業・レジャー施設,ホテル,地方自治体等を対象に提案を行っていく予定です。

お問い合せ先
技術研究所 環境技術研究部
エンジニアリング本部 環境技術部