KAJIMAエコプラザ


KAJIMA ECO PLAZA

ウォータージェットを用いた土壌浄化工法
土壌・地下水の汚染では,地表面からの深さによって汚染の状況が異なる場合が数多くあります。
今月は,深さに応じて効率的な原位置浄化が可能な,ウォータージェットを利用した土壌浄化工法 「エンバイロジェット(ENVIRO JET)工法」を紹介します。


 土壌・地下水の汚染では,地表面近くで汚染が発生していなくとも,地下の奥深くでは汚染が進んでいるなど,地盤の深さによって汚染の状況が大きく異なる場合があります。このような場合,従来は地表面から地盤を掘削して浄化する必要があったため,余分な掘削土壌が発生して,土壌処理コストが増加するなどの問題がありました。当社が,グループ会社のケミカルグラウトと共同で開発した「エンバイロジェット工法」は,任意の深さの汚染土壌のみを効率的に浄化することができる画期的な工法です。
エンバイロジェット工法の概要図  この工法では,消防車のポンプの約40倍もの超高圧水(40Mpa)で,土壌を“切る”ように切削する「ウォータージェット技術」が用いられています。実際の施工では,噴射ノズルのついたシャフトを地盤中に入れ込み,任意の深さでノズルから超高圧水を噴射し,シャフトの回転と上下動を行うことにより,円柱状に汚染土壌を削り取ることを行います。
 削った汚染土壌は,シャフトを通じて地表面に排出したり,シャフトの先端から浄化材を注入するなど,様々な方法により浄化します。具体的には,無害な置換材料を注入して,汚染土壌を外部に排出する「ジェットリプレイス工法」,高圧水で土壌中の揮発性有機化合物(VOC)などの汚染物質を洗浄する「ジェットリンス工法」,浄化材を土壌に注入して無害化する「ジェットブレンド工法」があり,対象とする汚染の状況や汚染物質の種類,地盤の状態によって最適な工法を選択することができます。 また,これまでの工法ではコストが高く,効果的な浄化が難しかった「難透水層(粘性土等)の汚染」「深層部の高濃度汚染」「建屋直下の汚染」「埋設管の多い敷地内での汚染」「被圧帯水層(上下を難透水層に挟まれた帯水層)の汚染」などにも適用が可能です。


ジェットリプレイス・ジェットリンス・ジェットブレンド工法


ウォータージェットの噴射状況  当社は,土壌・地下水汚染浄化技術について,「調査技術」「解析・評価技術」「浄化対策工法による浄化実施」といったトータルな対応が可能な体制を整えています。今後は,浄化の精度をより高めるとともに,合理化と低コストが求められる土壌浄化工法の一つとして,積極的に提案していく考えです。