現場から:

秋吉台国際芸術村本館新築工事



 山口県秋吉台、この地に現代音楽を中心とした芸術文化の発信基地として、秋吉台国際芸術村が当社施工でこの8月にオープンした。



●自然豊かな環境の中で創作活動の場を提供
 この芸術村は、国内外のアーティストが集い、現代音楽をはじめ、美術、演劇等の幅広い創造的な活動を広げるための場である。主な施設は本館棟と宿泊棟。当社施工の本館棟は、コンサートホールとセミナーハウス、屋外劇場、ギャラリーやショップで構成されている。



完成間近の本館棟外観

●風水の考えと鍾乳洞のイメージを活かして
 設計は磯崎新氏。全体の施設配置は自然地形を活かした風水の考え方をとりいれている。敷地の選定にあたっては磯崎氏自らがヘリコプターで適地を捜したという。 コンサートホールは、鍾乳洞の入り組んだイメージから、客席とプラットフォーム※が交互に段々に配置されている。また天井には鍾乳石を連想した下がり天井を用いている。建物の外壁・内壁・床にはカルストを形成する地元石灰石が使われている。

 ※プラットフォーム:普段はフラットな床になっている。演目に応じて、立見席や椅子席、あるいは演奏者や演劇者が使えるスペースに。

 


段々に入り組んだコンサートホール
約300名収容。淡色を基調にしている


●設計コンセプトを具現化する施工の工夫
 本工事では、磯崎氏の設計コンセプト・イメージを、施工する過程でいかに具現化するかがポイントであった。3次元のパースから2次元の施工図をおこし作業員に理解してもらう。図面に現わせない部分の作業も多く、立体的な模型でないとわかりにくい箇所もあった。細かい仕様にも気を遣った。1つを仕上げるのに工程が通常の倍以上になり、業者も倍くらい使うほど丁寧な施工を心掛けた。 その結果、芸術文化の発信基地にふさわしい施設が、ここ秋吉台に完成したのである。


秋吉台国際芸術村本館新築工事
<工事概要>
場所 山口県美や郡秋芳町大字秋吉字中山田及び字山田地内
発注者 山口県
設計監理 山口県、磯崎新アトリエ
規模 鉄筋コンクリート造一部鉄骨鉄筋コンクリート造、地下1階地上4階、延べ5、109m2
工期 97年2月〜98年8月
施工 鹿島 広島支店JV