テクノプラザ: 地震災害に強い病院をめざし て 〜病院の防災機能簡易診断システム
今月のテクノプラザでは,「病院の防災機能簡易診断システム」を紹介する。震災後も,病院としての役割が果たせるように,日頃から備えるべき機能あるいは補強すべきポイントを,パソコンで簡易に抽出し,提示するシステムである。言わば病院の防災対策における「初期診断」である。


開発システムの関連性 |
●システム開発の背景
阪神・淡路大震災では,緊急医療について様々な問題が指摘された。震災後,建築物が構造的に無事であっても,医療設備や医療機器等に損傷があれば,病院として機能することはできない。実際いくつかの病院は倒壊し,残った病院も医療施設としての機能が停滞した。集まってくる被災者の対応に追われ,収拾のつかない状態であったと言われている。病院にとって,震災後の機能の保全が必須であることが改めて確認された。そこで当社では,病院の防災機能を客観的なデータから診断するシステムを開発した
●開発システムの位置付け
今回開発した「病院の防災機能簡易診断システム」は,病院の医療機能つまりソフトの面について,その防災性を評価する。本システムと各種の耐震診断(構造・設備診断)と並行して実施することにより,ハード・ソフト両面の総合的な診断結果が得られる。これによって,医療関係者に精度の高い判断材料を提供することが可能になり,適切なリニューアル計画を提案することができる。
●本システムの概要
本システムは震度7クラスの大地震が発生したという想定で,中規模以上の病院について地震発生後約3日間(緊急対応期)における防災機能を診断する。
機能評価の考え方は,都市防災を専門とする神戸大学・室崎研究室(室崎益輝教授)と共同で行った,阪神淡路大震災の病院被害実態調査に基づいている

質問シートに記入
基本的な数値記入及び選択式の質問に答える
A4版4枚で所要時間は10分程度 |

パソコンにデータ入力
全てデータベース化されているため、入力するだけで自動的に点数が計算される。
診断結果はリアルタイムにビジュアル化し、ディスプレイ表示される。 |

診断報告書の出力
レーダーチャート形式で表示され、カラー出力あ可能なので、
ビジュアル的にもわかりやすい報告書である。 |
●今後の展望
後当社では,本システム活用の展開を図り,さらに,開発済みの「地域医療対応力の評価システム」や「医療事業採算システム」「病院の耐震診断」等や免震・制震技術を組み合わせ,病院のリニューアル計画をソフト・ハードの両面からサポートしていく方針である。
阪神淡路大震災の教訓から,1つでも多くの病院が震災に強い病院に生まれ変わるよう,今回開発した「病院の防災機能簡易診断システム」が,幅広く活用されることが大いに期待される。
|