[2005/3/31] |
『パラレル構法』適用物件第一号完成!
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|適用第一号・聖学院小学校の工事概要|聖学院小学校からのコメント| |今後の展望| |
鹿島(社長;梅田貞夫)と富士ピー・エス(社長;河野文將 本社;福岡市中央区)が共同で開発した、PC鋼材を用いた耐震補強構法『PARALLEL(パラレル)構法』が、実工事として聖学院小学校校舎(1959年竣工 築46年)の耐震補強工事に初めて適用され、このほど完成しました。
パラレル構法は、建物の外側に、斜張橋に用いられるPC鋼材を配置し、既存の建物と一体化することによって耐震補強を行う構法です。建物の外側のみの工事で済むため、騒音・振動を気にすることなく、授業も通常どおり行うことができ、引越しいらずの「居ながら」で工事を行うことができます。補強後も室内レイアウトへの影響が少なく、室内からの眺望、通風、採光も十分確保することができます。従来工法よりも簡単な施工で耐震性能は従来構法の1.5倍を確保できる工法で、工期は3割縮減できると共にコスト低減が図れます。本構法は、(財)日本建築総合試験所の建築技術性能証明書を取得しています。 |
耐震補強工事が完成した聖学院小学校校舎 |
背景
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全国の公立小中学校において、地震時に十分な耐震性能があると診断されているのは全体の49.1%にとどまっており、約半数の校舎が耐震性能に不安があるのが現状です。(文部科学省調査 2004年4月)
従来、既存の建物における耐震補強方法は、建物内部に鉄筋コンクリート製の耐震壁や鉄骨ブレースを増設する方法などが一般的です。しかし、これらの方法では、既存建物内部の柱や梁の架構に補強構面を構築するため、工事中に建物内部の使用が制限されることや、工事中の騒音・振動の影響で、通常の授業を行いながら(居ながら)の工事は難しいのが現状でした。また、工事後には、増設された補強構面が建物の使い勝手に影響したり、その補強部材により、室内からの眺望や、通風・採光が遮られるなど、建物の機能や価値を下げることになる場合がありました。 文部科学省の専門家会議は今年3月に出した報告書の中で、児童・生徒の安全を早急に確保するために、耐震性能が十分でない校舎について、従来まで基本方針としてきた、建て替える「改築」よりも耐震補強を中心とした「改修」によって、より早くより安く学校施設を耐震化するべきであるとの提言を出しています。授業中に地震が起こったときの児童・生徒の安全、そして、地震後の地域の防災拠点としての役割を果たす学校施設の耐震化が喫緊の課題であることは言うまでもありません。 パラレル構法は、建物外部からの工事で済み、従来工法よりも簡単な施工で耐震性能は従来構法の1.5倍を確保できる工法で、工期は3割縮減できると共にコスト低減が図れます。 |
パラレル構法の概要と施工手順
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パラレル構法は、既存建物の外側に、新たに基礎とプレキャスト柱を設置し、PC鋼材を配置した上で、緊張。その後、既存建物と一体的に接合する耐震補強構法です。建物の外側にPC鋼材を設置するアウトケーブル方式により斜張橋のようなデザインの補強体が建物と一体化され、高い耐震性を発揮します。
具体的な施工は、建物の下に基礎梁を設置し、その上に工場製作されたプレキャスト柱を既存の建物の柱と重なるように建てこみます。その後、直径60〜100mm のPC鋼材で、プレキャスト柱の左右両側と基礎梁をそれぞれつなぎ緊張させます。最後に既存建物の躯体と一体接合し、短期間に工事は完了します。 PC鋼材は一般的な鉄筋の約5倍の強度を持つため、大きな地震力を負担できるほか、細いPC鋼材で視界を邪魔せず、眺望や通風、採光を十分確保することができます。
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パラレル構法の特長 |
「パラレル構法」の特長は以下のとおりです。
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適用第一号・聖学院小学校の工事概要 |