[2005/5/16] |
世界で初めて実現場に適用
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鹿島(社長;梅田貞夫)は、三菱重工業(社長;佃和夫)、石川島建材工業(社長;藤本幸男)と共同で開発した、部分拡幅シールド工法(VASARA工法)をこのたび実際の現場に初めて適用しました。地盤改良を伴わない部分拡幅シールド工法の実現場への適用は、世界で初めてとなります。
部分拡幅シールド工法(VASARA工法)は、従来は同一断面で施工されるシールド工法において、任意の場所において地盤改良などの補助工法を伴わずに部分的にトンネル内空(トンネル幅)を大きくできる工法です。従来のシールド工法では、地盤改良を行った上でトンネル外部での拡幅掘削作業を必要としていたのに対して、VASARA工法はトンネル内部の作業だけで拡幅が可能となるため、大幅な工期短縮とコストの縮減が期待できると共に、今後の地下利用の可能性と自由度が大きく広がります。
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背景
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近年、都市部の地下におけるシールドトンネルの大深度化、長距離化はますます加速しています。そうした中、都市部の市街化の発展に伴う用地確保の困難さ、施工時の周辺環境への影響への配慮からも、非開削工法による地下開発の必要性はますます増大しています。
通常のシールドトンネルは発進立坑から到達立坑まで、同一の断面で掘り進めますが、一方で、部分的に断面を大きくしたいというニーズが、様々なトンネルの用途や規模、分野で高まっています。例えば、道路トンネルの非常駐車帯やランプ部、地下鉄トンネルの駅部の非開削施工、共同溝や電力洞道のケーブル接続部、さらに、長距離トンネル施工時の物流搬送の離合部などです。つまり、シールドトンネルの掘削中に、シールド断面の部分拡幅が自由に行えれば、これまで拡幅部で必要となる最大必要断面で掘らなければならかったのが、最小必要断面で掘り進めます。任意の必要な地点において自由に断面を拡幅することができ、効率的な施工が可能となるだけでなく、断面の縮小は事業費の大幅な削減と環境負荷低減につながります。 また、これまで部分的に断面を拡幅したい場合は、トンネルを完全に取り囲む形で地盤改良を施し、トンネル外部での拡幅作業を必要としてきました。VASARA工法では、トンネル内部の作業だけで拡幅できるため、安全に施工ができるだけでなく、工期・コストについても大幅に低減することができます。 当社と三菱重工業、石川島建材工業の3社は本工法の実適用に向けて開発を進め各種実験を行ってきましたが、このたび実際の現場に初めて適用して、その有効性を確認したものです。 |
適用工事の概要
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鹿島で現在施工中の長距離シールドトンネルにおいて、VASARA工法を適用し、トンネルの部分拡幅を無事完了しました。トンネル延長方向に3.0mに亘って、外径2,150mm(仕上がり内径2,000mm)のシールドトンネルを水平方向に両側に150mmずつ合計300mm、地盤改良することなく地中で拡幅して計画通りかつ工程を遅延することなく施工を完了しました。(拡幅率;約14%)
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施工ステップ |
今回の適用は、VASARA工法の中でもVASARA-Lというセグメントのみを拡幅するもので、コピーカッタで拡幅した拡幅部に特殊充填材を注入することで地山を保持し、円形で組み立てた拡幅用セグメントをジャッキで拡幅すると同時に、注入した充填材を回収していきます。施工性および地山保持機能については2003年4月に実施した実証実験にて確認済みです。
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今後の展望 |
今回の実証施工で、小口径シールドについては拡幅シールド工法の実証性を確立できたものと考えています。今後は、シールドマシンそのものとセグメントを拡幅するVASARA-S工法についての適用性検証を進めると共に、中・大口径シールドや高水圧下での現場適用を進めていくことで、幅広いシールドトンネルの部分拡幅技術の適用を進めていく方針です。
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