[2005/9/9]


鹿島小堀研究室の研究成果を基に、理科年表が
関東大震災の被害数を80年ぶりに改訂

★関東大震災の死者・行方不明者は10万5000人余が定着

背景改訂の内容参考

 鹿島(社長:中村満義)小堀研究室の武村雅之室次長ならびに諸井孝文上席研究員の研究成果である関東大震災による「死者・行方不明者10万5000人余」が学会で定着し、この度理科年表(丸善発行・文部科学省国立天文台編集)の2006年度版で関東大震災の項目が80年ぶりに改訂されることになりました。

背景



 82年前の1923年(大正12年)9月1日に起きた関東大震災の被害者数は、従来、震災の2年後に当時の東京大学地震学教室の今村明恒氏が発表した「震災予防調査会報告」に基づく死者9万9331人、行方不明者4万3476人とされていました。
 小堀研究室の武村、諸井は、関東大震災について資料の再調査研究を長年続けてきましたが、その過程において、被害の大きさを測る上で基本となる死者・行方不明者数ならびに住家全潰、半潰、焼失数に関する従来の数字が大きく異なっていることを解明し指摘してまいりました。
 具体的には、行方不明が当時の東京市(ほぼ山手線の内側に相当する地域)で1055人であるのに対して、被害がそれほど大きくなかった東京府郡部は3万8000人余りとその数が多いことに疑問を持ち、市町村の個別データやその他資料を再調査検討することで、行方不明者と身元不明の死者が3万〜4万人重複している可能性が高いことを突き止めました。その結果が学界でも認められ、様々な分野で活用されている理科年表の「日本付近の被害地震年代表」が書き変わることになりました。

改訂の内容



 改訂内容は、地震のページを監修する東京大学地震学教室の纐纈一起教授によれば、死者・行方不明者を従来の「14万2000余」から「10万5000余」に修正すると同時に、「家屋全半潰(壊)25万4000余」が「住家全潰10万9000余、半潰10万2000余(棟数)」に、また「焼失44万7000余」が「焼失21万2000余(棟数)(全半潰後の焼失を含む)」とそれぞれ改められる予定です。
 なお、これらの数字は2003年発行の武村室次長の著書「関東大震災−大東京圏の揺れを知る」(鹿島出版会)に紹介された他、学術論文として日本地震工学会論文報告集4巻4号(2004年9月)(http://www.jaee.gr.jp/index_j.html)に詳しく説明されています。

参考



 
●関東大震災の住家被害数および死者・行方不明者数

関東大震災の住家被害数および死者・行方不明者数
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