CFT造は、建物の構造としてRC(鉄筋コンクリート)造、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造、S(鉄骨)造に続く第4の構造といわれ、その開発は、1985年〜1989年の建設省(当時)「新都市ハウジングプロジェクト」を受け、総合建設業及び鉄鋼メーカーが研究開発に力を入れ始めました。現在、建築構造物において多くの実績を残していますが、駅舎、軌道上の建物等、建築・土木の両分野で広く活用できる構造でもあります。
そこで、CFT造のさらなる実用化と商品化に向けて研究開発を進めてまいりました。
建築物を耐火建築物にするには、従来どおり耐火構造部材を組み合わせて設計する方法の「ルートA」がありますが、ルートAを用いるとCFT柱は鉄骨造として扱われるため、鉄骨柱と同一の厚さの耐火被覆が必要となります。しかし、CFT柱は鋼管内部にあるコンクリートが熱を吸収してくれるため、鉄骨柱の半分の耐火被覆でも同程度の耐火性能を持つことが可能です。また、性能設計(ルートBまたはルートC)を実施し、径長さ比(CFT柱の長さと外径との比)・軸力比(作用軸力と常温時の断面耐力との比)等の条件を満足すれば耐火被覆を省略できますが、建物内の全てのCFT柱を無耐火被覆にすることは困難です。
【合成耐火被覆CFT柱の耐火被覆を半減】
今回、鹿島と大成建設株式会社は、CFT柱3面の吹付けロックウールの耐火被覆を半減し、1面を外壁としてPCa板やALC板で被覆した合成耐火被覆CFT柱を開発いたしました。これにより、吹付けロックウールの耐火被覆厚を従来の50%以下にすることができ、コストダウン、作業性向上および有効床面積の拡大が可能になります。
また、本構法は2005年5月に耐火構造として国土交通大臣の認定を取得しました。よって、ルートA、ルートBおよびルートCいずれの場合にも適用可能となります。本認定による充填コンクリートおよび鋼管には、JIS規格品以外に国土交通大臣の認定を取得した高強度の材料等も使用することが可能です。
@合成耐火被覆CFT柱の認定仕様
平成12年建設省告示第1433号に規定された耐火性能検証法を用いると、例えば商業施設での家具または書籍売場あるいは倉庫など可燃物量が多く開口が少ない室では、火災の継続時間が2時間を超えることがあります。
従来の乾式間仕切壁の耐火時間は最大でも2時間であり、2時間を超える場合には鉄筋コンクリート造とする必要があります。しかしながら一旦、間仕切壁を鉄筋コンクリート壁とすると、壁の位置を変更することは容易ではなく、将来のテナント変更を見据えると現実的ではありません。また、鉄骨造建物の場合、鉄筋コンクリート壁の納まりにも問題が残ります。
そこで、両社はALC板を用いて2時間を超える耐火性能を有する乾式間仕切壁を開発しました。
【改良を加えたALC板の目地部】
従来のALC板を用いた乾式間仕切壁では、目地部が弱点になり2時間を超える耐火性能を得られませんでした。今回、ALC板の目地部を改良することで、最大4.6時間までの耐火性能を得ることができました。
本構法により、火災が長く続く室でも防火区画を構成することが可能になるとともに、将来の間仕切レイアウトの変更にも迅速に対応することができます。また、工期短縮、有効床面積の拡大も可能になりました。現在、両社で改良目地に関し、特許を出願中です。
A乾式間仕切壁の認定仕様
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今後、本共同研究で開発した上記の構法を両社のプロジェクトに適用していく所存です。また、両社は今後とも適切なテーマについての共同研究開発を継続していく予定です。
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