[2005/10/4]


天井カセット形パッケージエアコン室内機用
VOC除去フィルタを開発

商品名「トルイーター」(特許・商標登録出願中)


背景本フィルタの概要フィルタの商品概要本フィルタの特長
今後の展望

 鹿島(社長:中村満義)は、日本ピュアテック(社長:橋本道憲)と共同で、学校や住宅で問題となる室内空気中のトルエン、キシレンを含む多種類の揮発性有機化合物(VOC)を簡易・短時間、かつ確実に除去できる「天井カセット形パッケージエアコン室内機用VOC除去フィルタ」を開発しました。
 本フィルタは、天井カセット形パッケージエアコン室内機(以下、天井カセット)に設置される防塵フィルタ(ロングライフフィルタ)の代わりに取り付け稼動させるだけで、室内VOC濃度を短時間で低減させることができます。鹿島技術研究所内の「室内環境実験室」における基礎性能実験及び当社施工の新築工事建物においてその効果を確認しました。  
VOCフィルター

背景

 住宅や学校などの室内においては、居住者が建材や家具などから放出されるトルエン、キシレンなどのVOCによって、体調不良を引き起こすシックハウス、シックスクールなどが問題となっており、これらVOC濃度を低減することが大変重要です。厚生労働省は、13種類の物質に対して、ある数値以下となるよう指針を設けています。建材や接着剤などに含まれるホルムアルデヒド、トルエンなどについては、建築基準法、学校環境衛生の基準、官庁営繕通達等により、厚生労働省の指針値以下とするように定められています。このため、当社では、引渡しの時点で法規で定められた濃度以下となるよう、設計・施工マニュアル(「室内空気質配慮建築設計・施工指針」)を作成し、各現場において管理を徹底しています。
 一方、国内における空気質関連の規格については、ホルムアルデヒドの場合、F☆☆☆☆*などの建材規格がありますが、これ以外の物質については明確な規格がありません。また、指定化学物質以外の物質が代替物質として使用され始めていることから、それらの濃度が逆に漸増する傾向にあります。
 VOC除去対策としては、従来、吸着建材や光触媒などがありますが、吸着建材の場合、取替えが難しい、商品種類が限定される、コストが高いなどの問題がありました。また、光触媒では、室内の蛍光灯などの光量では反応に不十分であることや、反応効率、中間生成物の安全性などに問題が残っているのが現状でした。そのため、必要なときだけ使用でき、安価で容易・確実なVOC対策の開発が望まれていました。

*F☆☆☆☆(エフフォースター);平成15年7月1日に施行された改正建築基準法により、ホルムアルデヒドなどに対する規制がスタートした。建築材料は、ホルムアルデヒドの発散速度に応じて、第1種〜第3種の3区分に分類され、使用面積が制限されている。 F☆☆☆☆は3区分の上位に相当するJIS、JASの等級(発散速度0.005mg/m2/h)で使用面積に制限がない。

本フィルタの概要

 本フィルタには、高品質の吸着剤を採用し、VOCの除去効率をアップさせています。
 

エアコン室内機

天井カセット形パッケージ・エアコン室内機

 

取り付け、使用状況

フィルタの商品概要


 
商品概要


本フィルタの特長


  1. トルエン、キシレン及びその他の室内VOCを短時間で除去
     トルエン、キシレン等の規制対象指針物質は厚生労働省指針よりさらに低く、また、指針物質以外のものも含めた総揮発性有機化合物(TVOC)濃度も低減し、より清浄な空気環境を提供できます。
     除去性能については、当社施工の新築学校建物で本フィルタを使用したところ、約2時間経過後の室内濃度について、トルエンで約90%、TVOCで約90%低減し、また、その効果が長期間持続することを確認しました。

  2. 取り付け、取り外しが簡単
     天井カセットには通常、ホコリを除去する防塵フィルタ(ロングライフフィルタ)が取り付けられています。このロングライフフィルタを本フィルタと交換するだけです。女性でも簡単に交換することができます。なお、本フィルタは防塵性も保有しています。

  3. 通常のエアコンとして使用が可能
     本フィルタは空気抵抗を抑えて通常のエアコンとして必要な風量を確保しているため、通常に使用しながらVOCを除去することができます。

  4. 室内ニオイ物質も除去
     本フィルタは多種類のVOCを除去できますので室内の臭気の低減も可能です。


今後の展望


 鹿島では、シックスクールなどの空気質対策技術のひとつとして本フィルタを開発しました。今後は、当社が施工する学校、オフィスなどへ積極的に対応し、室内空気環境を更に高めていく方針です。
 本フィルタは日本ピュアテックが製造・発売する予定です(販売開始2005年10月予定)。現在、ダイキン、三菱電機製の4方向吹出しタイプ用のものを開発済みであり、順次、他メーカー対応品を製品化し、適用メーカー、吹出しタイプなど対応機種の拡充をさらに図っていく方針です。


プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。