[2005/12/20]


霧島酒造の芋焼酎粕リサイクルプラントに本格着工

〜国内最大クラス 焼酎粕(約400t/日)をバイオガスエネルギーへ〜

本プラントの概要本プラントの特長工事概要

 鹿島(社長:中村満義)は、大手酒造メーカーの霧島酒造株式会社(社長:江夏順行、宮崎県都城市)から国内でも最大クラスの芋焼酎粕リサイクルプラントを受注し、このたび本格的に建設工事を開始しました。

 霧島酒造は、近年の焼酎ブームもあり、主力製品の芋焼酎「霧島」、「黒霧島」の売上が好調で、生甘藷(サツマイモ)を原料とした焼酎生産量を増加するための工場を拡張中です。

 焼酎粕はアルコール発酵した「もろみ」を蒸留し製品を取出した後の残渣物であり、製品の2倍量が排出されています。最近の焼酎ブームの影響で生産量が増加すると共に、焼酎粕の排出量も多くなっております。現状では、従来行っていた畑地散布、海洋投入処分から陸上処理へと移行しつつあります。陸上処理の方法としては焼酎粕の栄養が豊富なところからメタン発酵と飼料化との併用または乾燥飼料化があります。また焼却等の方法も採用されていますが、いずれも大量の化石燃料を必要とする処理方法が多く、化石燃料消費量の低減が課題となっています。

 このたび当社が受注した芋焼酎粕リサイクルプラントは、約400t/日の焼酎粕をメタン発酵させ下水放流が可能にするとともにバイオガスエネルギーを回収するものです。また既設のメタン発酵施設から1日に60トン排出される脱水ケーキ(焼酎粕中の固形分を分離し、水分が85%になるよう脱水したもの)を乾燥し、飼料化するプラントも併設します。霧島酒造は化石燃料消費量を大幅に低減させる環境に配慮したリサイクルシステムを構築中であり、将来的には焼酎工場でのエネルギー利用も検討しています。

 本プラントのリサイクル技術を支えるのは、当社が開発した固定床式高温メタン発酵システム メタクレス(注)です。メタクレスは、これまでも多くの実績(11件)があり、現在も北海道砂川地区保険衛生組合のエネルギーリサイクル施設等の3ヶ所で稼動中です。

 今後、当社では、今回の芋焼酎粕リサイクルプラントの受注を皮切りに他の食品業界向けのリサイクル施設を積極的に受注していく方針です。

(注)メタクレスとは
メタクレスは、当社が開発した固定床式高温メタン発酵システムで、生ごみ等の有機性廃棄物を高温メタン発酵菌により高効率に分解処理し、バイオガスを取り出すものです。バイオガスは、熱、電気、または直接、ガスとしてエネルギー利用できます。メタン発酵をさせるバイオリアクタは、炭素繊維の担体を充填したもので、微生物を固定させるため固定床式と呼んでいます。また、バイオリアクタ内の微生物を約55℃で高温発酵(従来方式:約37℃)させるため、発酵が早く効率よくバイオガスエネルギーを回収できます。

本プラントの概要

 本プラントは、焼酎粕の最大受入量は400t/日であり、国内最大クラスのものです。焼酎粕の他に焼酎製造過程で発生する芋くず10トン、芋くずの希釈水として用いる洗米廃水10トンを同時に処理することができます。
 また、既設のメタン発酵施設から1日に60トン排出される脱水ケーキ(焼酎粕中の固形分を分離し、水分が85%になるよう脱水したもの)を乾燥し、飼料化するプラントも併設します。乾燥熱源はメタン発酵から副生するバイオガスをエネルギーとして利用します。将来的には焼酎工場でのエネルギー利用も検討しています。
焼酎粕リサイクルフローを参照
 

本プラントの特長

本プラントの特長は、次のとおりです。

 固形分(芋の繊維や皮等)があってもメタン発酵が可能
これまで焼酎粕をメタン発酵させるためには、固形分(芋の繊維や皮等)を前段で取り除く必要がありましたが、固形分を含んだ状態でメタン発酵が可能です。そのため、固形分離装置が不要でシンプルなシステムとなります。

 バイオリアクタ(高温メタン発酵槽)がコンパクト
固定床式のため微生物濃度が高くなり、コンパクトとなります。

 残渣が少ない
固形分の約70%を分解するため残渣物が少なくなります。(従来は固形分処理の実績なし)

 バイオガスエネルギーを効率的に回収
焼酎粕1トン当たり40Nm3のバイオガスエネルギーを回収できます。これは、従来の固形分を分離するメタン発酵と比較すると、約2倍のエネルギー量です。40Nm3は熱量で20万kcalとなります。このエネルギーは電力換算で約23所帯分の1日の電力消費量となります。

 環境にやさしい
大量のバイオガスを化石燃料の代替燃料として有効利用できるため全体としてランニングコストが安く、二酸化炭素の発生量が少なく地球温暖化を抑制します。

工事概要


工事概要


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