杭頭半固定工法では、杭と構造物を半固定状態にすることで、従来型の固定法と比較して、杭頭に集中する地震時の応力が少なくなり、杭材の損傷を少なくすることができるため、杭や基礎梁などのコスト低減が図れるという特長があります。鹿島では、2002年に「キャプリングパイル工法」を開発し、日本建築センターの一般評定を取得しました。同工法はプレキャスト製のリングを杭頭にかぶせ、杭と基礎を接合する工法で、施工性に優れ、これまでに約100箇所の現場で、5000本の実績をあげています。
しかし、キャプリングパイル工法は、場所打ち杭に対しては引っ張り抵抗が期待できない構造であるため、場所打ち杭への適用は数件にとどまっていました。そこで、鹿島では、キャプリングパイル工法に引っ張り抵抗に対する機能を付加することをメインに、適用杭径の拡大、接合部断面縮小による効率的な半固定化実現を盛り込んだ本工法の開発を進めることとしました。
キャプテンパイル工法は、半固定化により杭径を小さくでき杭断面積も少なくなるため、杭頭のせん断力に対する補強は、普通強度の鉄筋では配筋出来ず、高強度せん断補強筋の採用が不可欠となります。このことから、鹿島は、2004年4月に場所打ち杭用帯筋として高強度せん断補強筋を用いた設計法の一般評定を取得した鋼材メーカーの高周波熱錬、及び、本工法の共同開発に賛同・参加希望のゼネコン8社、以上合計9社と共同で本開発を行うこととしました。開発に当たっては、各社のノウハウを引き出し、費用も分担することにより開発期間も短縮することが可能となりました。