[2006/2/28]


キャプテンパイル工法、
日本建築センターの一般評定を取得

大口径場所打ち杭まで適用可能な杭頭半固定工法を開発

キャプテンパイル工法研究会

背景キャプテンパイル工法の概要施工手順
キャプテンパイル工法の特長実施体制今後の展望問い合わせ先

 鹿島をはじめとする10社で構成する「キャプテンパイル工法研究会」は、大口径の場所打ち杭までカバーできる杭頭半固定工法である「キャプテンパイル工法」を開発し、2005年12月に日本建築センターの一般評定を取得しました。

 キャプテンパイル工法は、鹿島が2002年12月に開発した杭頭半固定工法「キャプリングパイル工法」を場所打ち杭にも適用できるよう、拡張・発展させた工法です。鹿島をはじめとする10社は、2004年4月より共同研究開発に着手し、構造実験、施工実験等を実施し、設計・施工システムを確立させました。そして、このほど10社共同で日本建築センターの一般評定を取得しました。

キャプテンパイル工法研究会 加盟社
鹿島建設(株)、(株)奥村組、五洋建設(株)、戸田建設(株)、飛島建設(株)、西松建設(株)、
(株)長谷工コーポレーション、松井建設(株)、三井住友建設(株)、高周波熱錬(株)

背景 

 杭頭半固定工法では、杭と構造物を半固定状態にすることで、従来型の固定法と比較して、杭頭に集中する地震時の応力が少なくなり、杭材の損傷を少なくすることができるため、杭や基礎梁などのコスト低減が図れるという特長があります。鹿島では、2002年に「キャプリングパイル工法」を開発し、日本建築センターの一般評定を取得しました。同工法はプレキャスト製のリングを杭頭にかぶせ、杭と基礎を接合する工法で、施工性に優れ、これまでに約100箇所の現場で、5000本の実績をあげています。

 しかし、キャプリングパイル工法は、場所打ち杭に対しては引っ張り抵抗が期待できない構造であるため、場所打ち杭への適用は数件にとどまっていました。そこで、鹿島では、キャプリングパイル工法に引っ張り抵抗に対する機能を付加することをメインに、適用杭径の拡大、接合部断面縮小による効率的な半固定化実現を盛り込んだ本工法の開発を進めることとしました。

 キャプテンパイル工法は、半固定化により杭径を小さくでき杭断面積も少なくなるため、杭頭のせん断力に対する補強は、普通強度の鉄筋では配筋出来ず、高強度せん断補強筋の採用が不可欠となります。このことから、鹿島は、2004年4月に場所打ち杭用帯筋として高強度せん断補強筋を用いた設計法の一般評定を取得した鋼材メーカーの高周波熱錬、及び、本工法の共同開発に賛同・参加希望のゼネコン8社、以上合計9社と共同で本開発を行うこととしました。開発に当たっては、各社のノウハウを引き出し、費用も分担することにより開発期間も短縮することが可能となりました。

キャプテンパイル工法の概要 

 プレキャストコンクリート製のリング(PCリング)を杭頭にかぶせ、杭と基礎とを接合する工法です。このPCリングを介して地震時に生じる上部構造からのせん断力を杭に伝達させます。キャプリングパイル工法(引張抵抗機能無し)の拡張タイプであり、杭頭中央部に鉄筋(引張定着筋)を配置することにより杭に生じる引張力に対応した工法です。地震時に建物の杭頭にかかる応力に応じて、引張定着筋の要否が決まります。圧縮力タイプ(引張定着筋不要)と引張力タイプ(引張定着筋必要)があります。接合部の断面縮小には、杭頭に設置するド−ナツ状の緩衝材を用います。

キャプテンパイル工法概念図

在来工法との違い

 適用範囲についても、建物規模や形状、構造種別にとらわれることなく適用することが可能です。引き抜き力が大きくかかる超高層ビルにも適用が可能です。杭の種類についても、場所打ち杭、鋼管巻き場所打ち杭などに適用でき、杭径も800〜3000ファイの範囲まで適用できます。同一建物の杭頭工法として、在来一般工法と併用することも可能です。

   既開発のキャプリングパイル工法とあわせて、どのような杭種、杭径にも対応できるメニューが揃いました。

施工手順 

 在来の場所打ち杭施工に、引張定着筋とPCリング設置が付加されるだけです。

施工手順

(1)杭鉄筋を組立て、引張定着筋用のシースをカゴ筋に挿入する。※
(2)杭鉄筋(シース装着)を落とし込み、杭体のコンクリートを打設する。
(3)杭頭部をはつり、所定の杭天端レベルまで整形する。
(4)PCリングを設置し、PCリング外周面に緩衝材を取り付ける。
(5)杭頭部モルタル及びシース内グラウトを打設し引張定着筋をシースに挿入する。
(6)杭頭モルタル硬化後、杭頭部絞り用のドーナツ状緩衝材を設置する。

※引張定着筋を杭鉄筋に先付けする方法もあります。

キャプテンパイル工法の特長 

  1. 他の杭頭半固定工法に比べて施工性が良い

     シンプルで施工性がよく、確実に半固定性能を発揮できる杭頭接合法です。引張定着筋は、シースグラウト挿入方式を採用すれば、杭コンクリ−ト打設後の杭余盛りコンクリ−トはつりが容易になります。

  2. 杭3000mmの大口径場所打ち杭までの広範囲をカバー

     鋼管巻きを含む杭径3000mmの大口径場所打ち杭まで適用可能です。主に既製杭用として用いられているキャプテンパイル工法と合わせ、ほぼ全ての杭種、杭径をカバ−することが出来ます。

  3. コスト、工期も従来工法に比べ経済的

     杭頭接合部の要素が少なく、材料費・施工費ともに安価です。在来工法と比べて杭・基礎の工事費で1割程度のコストダウンができると試算しています。杭にかかる曲げモーメントが少なくなれば、杭径を小さくできるため、コストダウンにつながります。杭・基礎部の工期は在来工法に比べて1割近く低減できます。

  4. 専用設計ソフトを使い簡単・スピーディに計算ができる

     杭材、軸力、せん断力、地盤定数等の条件を入力するだけで、極めて短時間に固定度算出、応力図表示、断面算定を行うことができます。

実施体制 

 キャプテンパイル工法の実施にあたっては、共研10社で構成される「(仮称)キャプテンパイル工法委員会」において、設計・施工の指導・協力を行います。本工法を実施する施工会社は、共研10社もしくは、本委員会が本工法の実施許諾した施工会社とします。本委員会は定期的に設計・施工等に関する意見交換及び問題点の検討、工法の改良・改善などに努め、実施工のフィードバックを行います。

今後の展望 

 今後、本工法の一般評定取得を機に、場所打ち杭用の杭頭半固定工法として、評定取得会社が自社の現場に積極的に採用していくことはもちろん、第三者への実施許諾も段階的に実施し、シェア拡大を図っていくこととしています。また、更なる工法の改良・改善も推し進め、量的メリットを効果的に発揮し、コスト低減を実現していく方針です。


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